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ういうい、思いっきりやられたの、だ(分岐、お遊び適当人形争奪戦)

一応、(人形争奪戦 其の捌)あたりから分岐してます。

 ういうい、円なの、だ。


 今、私と種の二人で確認にきたのだ。


 真っ白だった蚕が真っ赤に染まっている。


「馬鹿な、の、だっ!」


 一人で揚羽の仇をうちに飛び出し。


 そして返り討ちにあったの、だ。



 最後の最後まで抵抗したのだろう。


 傷は揚羽よりも深い。


「私達がいうのもおかしいけど。これは明らかに過剰だよ。目的のためじゃない個人のためにやってる」


 そうなの、だ。


 これまで私達は敵対しているとはいえ。


 キラキラはあくまで最低限の節度は守っていたのだ。


 それはこちらも同様、二つの間には暗黙の了解があった。


 ぶつかって命を落とすことはあるかもしれない。


 でも、これはあんまりなの、だ。


 骨は折れ曲がり、肌は切り刻まれ、抜かれ、くり抜かれ、剥がされ。


「キラキラ、見損なったの、だ」


 下を向く。


「・・・・・・円ちゃん、多分、違う。実は・・・・・・」


 種が何かを言いかけて。


 ここで私に連絡が入った。


「円ちゃんっ! 拠点がバレたっ! 早く、早く戻ってっ!」


 雲美の酷く慌てた声。


「っ! 種っ!」


「うんっ!」


 人形は隠してはあるが拠点に置いてある。


 一応、螺苛と刺苛を置いてきたが、後は雲美のような非戦闘人ばかり。


 これまで慎重に数回、移動を繰り返してたのだ。


 それなのに。



 拠点についた私達が見たものは。


 辺り一面血の海であった。


 仲間が、葵シスターズのみんなが。


 蹂躙されていた。


「・・・・・・お前らあぁあ」


 激しく睨み付ける。


 その真ん中にいたのが。


「うぴゃうぴゃ」


 この前の骨皮女。


「あらぁ、遅かったのねぇ」


 そして角にはヴァセライーター。



「え~、もう来ちゃったの。今まだ楽しんでるとこなのに」


 奥からもう一人の声。


「人形ももう頂いたわぁ」


「なんだ、とっ!」


 この時、私はとっさに下に目線を落としてしまった。


「あぁ、下にあるのね。後でゆっくり探すわぁ」


「・・・・・・誰が渡すか、なの、だ。あれは姉御のだ」


 ナイフを取り出す。


「円ちゃん。もう逃げ場はない。外は囲まれているよ」


「そうよぉ。あれ、なんだったかしら、ゾディなんとかってのに抑えてもらったわ。あそこ人数だけはいるし。あとは瑞雀ちゃんの仲間とかね」


 もうやるしかないの、だ。


「円ちゃん、ごめん。私、役に立たなかった。この人達を甘く見てた。殺人鬼連合だけならなんとかなったんだけど」


 戦力、情報力、資金力、何もかもが下回った。


 これがキラキラの一族。


「まだ、わからんの、だ。ここでこいつらを全員殺して、外の連中も皆殺し、だ」


「・・・・・・そうだね。やってみようか」


 種もハサミを取り出す。


「あらあら、やる気なのねぇ。お馬鹿さん達、かかってきなさい」


「うぴゃうぴゃうぴゃああああ、糞ガキ、潰してやる」


「あ~、待って、こいつでもう少し遊びたいのに~」


 奥から出てきた妙齢の女も加え。


 赤い赤い部屋で。


 六つの目がさらに赤く光る。


 顔が揺れる度それは斬光のように輝いた。  



       ◇


 円、だ。


 もう怒りでどうにかなりそうだった。


 心は殺すという言葉で埋め尽くされていて。


「うらぁああああああああああああああああああああああああ」


 ナイフを強く、強く握って。



 一番正面、ヴィセライーターに飛びかかる。


 対するヴィセライーターの腕には二本の包丁。


「ん、あれ?」


 いや、持ってない、ぞ。


 持ってるのは・・・・・・。


 木でできた看板みたいなもの。


 次の瞬間。


「は~い、こういうことでしたぁ~」


 それを掲げ私に見せつける。


「え、え、なに、なに、大成功?」


 看板には大成功とデカデカ書かれていた。


「はい、つまりはこれ、ドッキリよぉ~」


「え、え、まぢ、え、嘘でしょ、なの、だ」


 ヴィセライーターが微笑んでるのはいつもの事だが。


 後ろの骨女と妙齢の女も笑いを堪えている。


 そして、蹂躙されていた仲間達がむくりと何事もないように立ち上がる。


「うわ、お前らっ!」


 後ろを振り向く。


「た、種?」


 そこにはお腹を抱えている種の姿。


「あ~、何だっ、もしかして種も最初から知ってたの、か!??」


 うわ~、完全にしてやれたの、だ。


「ご、ごめん、ぷぷ、円ちゃん、マジモードだったね、ぷぷ」


「そりゃ、そうなの、だっ! 仲間があんな目にあわされたら~」


 血だらけだった螺苛、刺苛、雲美が近づいてくる。


「いや~、すいません」


「でも、私達のためにあんなに怒ってくれてちょっと感動しました」


「ほんと、騙しがいがあったよ」


 みんなの血糊や損壊具合がすごいリアルなの、だ。


「え、ちょっと、待つの、だ。てことは、蚕や揚羽はっ!?」


「円ちゃん、ぷぷ、そっち、そっちっ」


「え?」


 種が指刺す方を見る。


「あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~」


 そこにはにやける蚕と揚羽の姿。


「えへへ、円さん、ごめんなさい」


「はい、ちゃんと生きてます」


 生きてる、動いてる。


「なんなの、だ、も~~~~~~~~~っ!」


 いや、でも生きててくれて良かったぁ、の、だ。


 本当にもう、よくも騙してくれたの、だ。


 私もホっとしてどうしても顔が緩んでしまう。


 それにしても最近の特殊メイクは凄いの、だ。あれはどうみても死んでいたの、だ。


「円ちゃん、円ちゃん、まだだよ、まだドッキリは続いてま~す」


「え~? 他に何がっ!?」


 種がそういうと、奥からまた人がぞろぞろと姿を現す。


「沙凶です」


「銃花です」


「金糸雀です」


 そう自己紹介しながら出てきたのは。


 え、誰?


「え、まぢで誰?」


 見た事ない人達だった。


「はい、死んだはずの沙凶ちゃん、銃花さん、金糸雀さんですっ!」


「いや・・・・・・知らないの、だ」


「実はこの人達も生きてました~、ぷぷぷ」


 周りは大爆笑。


 いやいや、そう言われても。


「さらにさらにっ!」


 三人に続くように奥からどんどん出てくる。


「ゾディファミのオーガストです」


「同じく、ゾディファミのセオドアです」


「同じく、ゾディファミ、キョロラインです」


 もう、全く見た事ないの、だ。


「さらにだよっ!」


「ミドガルドシュランゲのエミールです」


 いや満を持して追加で来られても知らないものは知らないの、だ。


「この人達も死んでませんでしたぁっ! うぷぷぷぷ」


 種の一言でまた周囲に笑いが起こった。


「そ、そりゃ、す、凄いなぁ、なの、だ」

 

 私だけ苦笑い。


「そして、まだ終わりじゃないんだなぁっ!」


「え・・・・・・まだ出てくる、の、か?」


 その後、何話で死んだ何々ですとか。


 白頭巾に殺されたクラスメート全員とか。


 よく知らない人達がワラワラ出てきて。

 

 もう部屋はギューギューなの、だ。


 なのに、まだまだ出てくる。


「裏格闘大会決勝で原型が無くなる位に殺されたエクナイです」


 いや、お前は時系列的にまだ生きてるだろ、なの、だ。


 ていうかあの状態からどうやって生き返った。


「も、もういいの、だ。わ、わぁ、完全にダマされちゃったなぁ、なの、だ」


 これ以上出てこられてもリアクションに困るの、だ。


 ん、ちょっと待つの、だ。


 こんなモブみたいな奴らも生きてたの、だ。


 肝心な人が出てきてない。


 これは。


 まさか。


 てことは。


 ある、か。


「もしかして・・・・・・」


 静けさが。

 

 訪れ。


 それはすぐに破られる。


 奥の奥。


 最後に私の前に現れたのは。


「あ、姉御っ・・・・・・!?」


 そう確信していたのだけれども。


「ん、ちゃんリョナさん?」


 姉御ではなくちゃんリョナさんであった。


 なんで、死ぬどころかこの先も一番死なないであろう人が出てきたの、だ。


「やぁ、円」


「あれ? 流れでは最後に姉御が出てくるはずなの、だ。なんでちゃんリョナさんが」


「葵ちゃん? いやいや僕は特級でプロだからね。そこはしっかり確実に執行したよっ!」


 ちゃんリョナさんはそう胸を張って宣言した。


「いやいやいや、ここまで適当な流れで来たのに、なんでそこだけ急に真面目なの、だっ」


「プロだからねっ」


 それはもう誇りに満ちていたの、だ。


 てか、それならなんで出てきた。


「さすがリョナ子ちゃんよぉっ!」


「やはりプロは違うねぇっ!」


「そういうとこは流石だよっ!」


 周りのみんながちゃんリョナさんを褒め称える。


「はい、リョナ子っ!」「はいっ! リョ~ナ子っ!」「リョナ子っ! リョナ子っ!」


 皆が声を出しリョナ子コールが鳴り響く。 

 

「なんやねん、なの、だっ!」

 いや~ひどい。

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― 新着の感想 ―
[一言] 今週もありがとうございます。 みんなでてきて葵ちゃんはてでこないというオチが笑ってしまいました。 全部ドッキリとは(笑)めっちゃ大掛かりなものによく三姉妹も協力してくれましたね。あそこまで貫…
[一言] いやー、ひどい!!!! こうして見ると、死人沢山出てたのですね。円ちゃんもカリバさんも大量殺人鬼でしたし、沢山いて当たり前でしたが。 円ちゃん、沙凶・銃花・金糸雀さんとは会ったことあるはず…
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