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■ 5

「そういえば課長」


「ん?なあに?」




先日の飲み会から、課長は私のコイビトになった。らしい。



あの日の夜は結局べろんべろんになっちゃった課長を家まで送って、そのまま私も一緒に寝てしまった。



焼酎結構たくさん飲んでたんだから…よく考えたら私の方がよっぽど量は飲んでたんだよね。


まぁ課長ほど弱くないから顔には出てなかったかもしれないけど。







翌朝、みんなの前で盛大にお持ち帰り発言したことと、課長の好きなところを羅列した挙げ句に告白したことを思い出して一人打ちのめされていた。



でも横を見ると、それ以上に真っ赤な課長と目があった。




「…オハヨウ」



「…オハヨウゴザイマス」




二人して片言でご挨拶。


恥ずかしい。恥ずかしいんだけど。




「朝から課長の声独り占めできるって…ものすごい特権ですね…」



いやぁ、役得です。


朝だからかいつもより更に低いトーンで。素晴らしい。




「課長の声やっぱりすきですー…」



「…好きなのは声だけか?」




にやっと笑う課長。


残念。すぐに真っ赤になる課長はもうおしまいですか。




「酔ってなきゃそこまで動揺しないよ。な、かわいいあずさ」



囁いて私を抱き寄せ、軽くキスを落とす課長。




「かっ…課長…!あの…!」



「お、かわいい反応。ごちそうさま、あずさ。だけど、課長呼びはさすがにいただけないなぁ…」



「えーっと、優吾さん?」



ずっと呼びたかった名前を口にすると、びっくりしたような顔をする課長。




「お前…そこは名字呼びからの恥ずかしくて名前呼べませんの流れだろう…」



「いやいや!優吾さん前に言ったじゃないですか!飲み会のときとか二人のときは名前で呼べって!」



「…本当に?」




「本当ですよ…恥ずかしいし私の勘違いだと思われるのもつらいから呼んだことなかったですけど、でも…」




ずっと呼びたいと思ってました。




それはさすがに恥ずかしくて、面と向かって言えない代わりに、ちょっとはだけた胸元にダイブして言ってみた。




それを聞いた優吾さんは、ちょっとフリーズしたあとにぎゅっと抱きしめてくれました。





「…ありがとう、あずさ」









*****









「…で、かわいい彼女さんは、かっこいい彼氏さんを放っておいてなにをしているのかな?」



「いやぁ…実は、協力者への謝礼というミッションが残ってまして…」



「協力者?」




そう。


あの飲み会の日、課長に絡んでいたグラマラスなお姉さまは、なんと飯田の彼女さんだった。



「課長もお前も煮え切らないから発破かけてやりたくてさぁー」と言うのはいいが、飯田本人もお姉さま方にターゲットにされるとは予想していなかったらしい。




「あのあと彼女に散々怒られてさぁ…ということで、彼女にあげるアクセサリーで手を打とう」



まぁいいですけどね。喜んでいただけるなら。






そんなわけで、現在はグラマラスなお姉さまに差し上げるプレゼントを作成中。



ふわふわウェーブのかかった栗色の髪が素敵な彼女。せっかくだからお家で普段使いしてもらえそうなシュシュにしようかなぁ。



白い生地にちょっとラメの入った生地と合わせたブルーのお花。

彼氏とお家デートのときって、普段よりちょっとだけおしゃれしたいよね。

そんな気持ちを込めて。





「…そういえば、課長、私の作ったブルーの花のキーホルダー持ってましたよね」



物珍しそうに私の手元を見ていた優吾さんがびくっとする。



「あぁ…あれは、だな…」



「あのキーホルダー、私無くしたと思っていたんでびっくりしました」



「うん…実は、あれ、飯田が持ってたんだ」





またお前か、飯田。


思わぬところで出てきた名前に、今度はこちらがびっくりした。






「飯田が…吉木からもらったけど、いらないから返すって言ってて…それなら俺が…って…」



久々登場。真っ赤な優吾さん。かわいいなぁ。




「…それ、きっと飯田に見せたときに私がそのまま忘れちゃって、返却しようとしただけじゃないかと」



「俺も今ならそう思うけど!」



あの時は頭に血が昇って何も考えられなかったんだ、って。

後ろから抱きしめながら言わないでください。ドキドキしますので。





「優吾さん…ちょっと残念な節がありますよね…」



「うるさい。今は付き合えたんだから問題ないだろう。返した方がよければ返却するが?」



ムッとした表示のまま話す優吾さん。


本当に、仕事ならなんでもこなせるのに。


こんなに年上なのに、


なんでこんなにかわいいんだろう。





「大丈夫ですよ、優吾さん」



くるっと体を反転させて、正面から優吾さんにくっつく。



「元々そのキーホルダー、片想いしてる課長さんに渡したくて、飯田に感想聞いてたんです」



課長が持ってたときは、神様の魔法かと思いました。




はにかんで言う私を、いとおしそうに見つめる優吾さん。





二人で小さい子供みたいに顔をくっつけて、二人でくすくす笑って。



優吾さん。大好きですよ。



そう囁くと、お返しとばかりに耳元で大好きな声が響く。





「俺も大好きだから、大事にするよ。キーホルダーも、あずさのことも」






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