表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢の記憶  作者: 151A
4/11

伝わりにくい夢




さてそれでは前回予告していた通り、今回はちょっと明るい内容の夢について語っていきたいと思います。


さすがに毎回気持ちの悪い内容ばかりでは「いい加減にしろ!」「こんなに毎回じゃもう読む必要ない」とお叱りのお言葉も聞こえてきそうですのでちょっと頑張らせていただきます。


大体が夢というのは奇想天外、支離滅裂なものであることが多いですし、印象に残るのは悪夢が多いはず。


夢日記を綴ったノートをめくってみても、殆どが悪夢やちょっと不思議でダークなものばかりが目につきます。


今回語ろうと思っている夢は2005年4月10日に見たものです。


当時私は居酒屋で働いておりましたでその影響で舞台は似たような感じの場所でした。


家と店舗が一緒になっている古い民家。

店舗部分は土間にテーブルとイスが4つとカウンター席が5席ほど。

店の中は薄暗い。

奥の方にはガラスの嵌った引き戸があり、四畳半ほどの和室にテレビとちゃぶ台がある。

昼間だというのに男性客が2人。


店の赤い提灯が風で飛ばされているのにふと気づき、私は慌てて外へと出ます。

道を挟んだ向こう側には水量の少ない川が流れ、その向こう側には住宅や公園、支所などがあります。

ここからは見えませんが更にその先に海があり、この地域は湾を囲うようにして住宅地が広がっているのです。

そしてその住宅地を覆うように山がある。


すごい風に煽られながら道に転がった提灯を拾い上げてほっとしていると、看板代わりに掲げていた大きな提灯も強風で外れて飛んでいくのが見えました。


ころころ、ころころと赤い提灯が下流側に向かって道の上を転がっていきます。


まるで台風のようだなぁと思いながら急いで拾いに向かいました。

やっとのことで追いついた私は提灯を抱えて顔を上げると、渦巻くような風が海側から吹いてくることに驚きます。


大きな螺旋状の風のうねりが空に向かって伸びているのです。


バタバタと服が耳障りな音を立て、髪がまるでメデューサの蛇髪のように好き放題暴れまわる。

しっかりと持っているはずの提灯も下から巻き上げるような風に奪われてしまいそうです。


「たつ……まき?」


初めて見る竜巻という自然災害の恐ろしさと圧倒的な力に慄きながら、必死で店へと戻ります。


「大変!竜巻だよ!海に竜巻が!」


大声を上げながら戻った私は奥の和室へと飛び込んでテレビのスイッチを入れます。

あんなに巨大な竜巻が発生しているのだから、なんらかの警報や情報が流れているに違いないと思ったのです。


ですがどこのチャンネルもそんなことは報道していません。


もしかして、見間違いだったのか?――――そう思い始めた時、妙に明るいチャイムが外で鳴り響き「こちらは○○市」ひび割れたアナウンスが外で流れ始めます。現在△△湾にて竜巻が発生いたしましたという知らせに「ほらね!?」と何故か勝ち誇りました。


壁や窓や玄関を激しく揺さぶるように風が叩きつるようになり、注意を促すアナウンスを聞き終えたお客さん2人がゆっくりと立ち上がります。


帰るのだろうか?

でも今外に出ては危ないはず――――。


男性2人は揃って外へと出て海の方を見ると徐に「わっしょい!!」と声を張り上げました。

口元に手を当てて体をくの字に曲げて叫びます。


「わーっしょい!」

「わっしょい!!」


突然の奇行に驚いた私は「なにしてるの?」と恐る恐る尋ねます。


すると――――竜巻は楽しそうな場所へとやってくる特性がある。このまま進めば住宅地に入ってしまうので被害が大きくなるだろう。そうなる前にこちらに引きつけ海へと帰す……というのです!


「わっしょい!!」

「わーっしょい!!」


両腕を天へと突き出しながら掛け声だけでなく踊りだします。

するとそれを聞きつけたのか近くの家からも人が出てきて加わりました。


「よ、よし……私も――わっしょい!」


勇気を出して加わると、歓迎してくれる温かい眼差しと笑顔が返ってきます。

風が巻く中、声が響き渡り楽しげでありながら鬼気迫る空気は独特の雰囲気を醸し出していました。


踊り叫びながら海へゆっくりと向かっていくと、そこかしこから人が出てきて一塊の団体になります。


祭りのような高揚感、そして竜巻を海に帰すのだという使命感。


光る汗。

躍動する力。

祈りと願い、


輝く笑顔。


――――来い。こっちへ。


――――帰れ、海へ!


人々の思いと楽しげな様子に引かれたか、竜巻はアスファルトや瓦などを巻き上げながら徐々にこちらへと向きを変えていく。


「来た!!」


声には出さなくとも気持ちはひとつ。

みんなの顔が歓喜に輝き更に力強い声が響き渡る。


さあ、一緒に。


「わぁあっしょい!!!!」





さて、いかがだったでしょうか?


怖い夢よりインパクトがなく、書いている方も面白いのかどうか不安になってくるような内容です。


楽しい夢は文章よりも口頭の方が伝わりやすく、動作や抑揚がつけられるので面白おかしく話せます。


逆に悪夢は文章の方が伝わりやすい。


成程、勉強になりました。

どうやら次回も奇妙なお話になりそうです。


ではどうかみなさまの夢が、愉快で楽しいものでありますように……。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ