決断と別れ
本日何度目かです。寝ます
机に無造作に置かれた書類。
それには確かに、今しがたセリアが言ったような内容が明記され、それが冗談ではないと示すように様々な人のサインが書かれていた。
偽物の笑みを浮かべたセリアとレイヴァンを分かつように、二人の間に置かれていた。
レイヴァンは、どうしたらいいのかわからなかった。
突然のセリアの態度も、真っ青な顔で自分を見るリリーも、ひたすら同情するように見つつも眺めるだけのジオルクも、もうわからなかった。
今までは、困ったときには誰かが駆けつけてくれて、自分の代わりに正しい決断をしてくれていた。
ジオルクも、フランツも、そしてセリアも、みんなレイヴァンのことを助けてくれた。彼らの言うとおりにしていれば間違いはなかった。彼らが守ってくれていた。
だが、目の前にいるセリアもジオルクも、レイヴァンを助けてはくれない。
セリアは他人だと言い、ジオルクはセリアにつくと言った。
フランツはここにはいない。
そしてレイヴァンには、守るべき愛する人が出来た。
自分で、決めないと。
レイヴァンは頼りそうになった自分を、頼っていた今までの自分を切り替え、セリアを『他人』として、『敵』として見据えた。
「………これは、犯罪じゃないか?」
「それを望んだのは王太子様ですわよ?それに、陛下からの許可も降りております」
「父上…陛下が許しても、偽装じゃないか。これは違法だ」
「その法を定めるのも、裁くのも陛下ですのに?」
セリアが笑う。馬鹿にしたような色があるが、はっきり現れているわけではない。指摘してもただの誹謗中傷にしかならない程度の嘲りだ。
「陛下の独断でそんなことをしていたら、民がついてこないだろ。横暴だ」
「横暴?まあ、さすが王太子様は違いますわね。陛下に対して『横暴』だなんて。平民と結婚したいからと望まれたのは王太子様自身ですのに」
「……そう、だけど…でも、助力を頼んだんであって犯罪は頼んでない」
「それは失礼いたしました。じゃあジオルク、あなたならどうした?」
セリアが何気なくジオルクに話を振る。
ジオルクは、悩むこともなく即答した。
「王族に出来るならそれが一番だ。養子にしたって血が違う。妾ならともかく王妃にするのなら高貴な生まれに偽るしか方法はない。前の婚約者がセリアだから、それと同等以上でないと反発を呼ぶ。最良の解決策だな。陛下すら欺くというならともかく、陛下も主要貴族の方も了承しておられる。これ以上何を望むんだ?」
「でも、だからってこれは違うだろ!」
「じゃあどうしろとおっしゃいますの?私にはこれが最善だと思ったのですけれど」
「反対するなら代案を出せ。ないなら文句を言うな。ああ、あと先に言うが、『周りと話して説得して』とか言うのは却下だからな。平民の血で王家が穢されるかもしれない。杞憂かもしれないが、国民として、王家には尊くあられて欲しいからな」
「ジオルク、それは『王家は常に尊い』って言い返されるわよ。まあ、気持ちはよっくわかるけれど、そう邪険にするものじゃないわよ。私達貴族を差し置いて選ぶほどですもの、きっと平民でも素晴らしいお方なのよ」
「それもそうだな。お前の反対を跳ね除けるほどなんだから、よほど王家で確保して置くべき稀有な人材なんだろう。お前との婚約解消は俺のせいだが、それでも良好な関係だったのにそれを断ち切るなんて、思い切ったことする。お前と比べてお前を切り捨てるほどのやつなんだな」
「これでも私は実績を出して、この国への忠誠心も示してきたつもりなんだけれど、それ以上なのよね。すごいわあ。実績もないのにねえ」
「ところで結局、レイヴァンはどうしたいんだ?こいつの案がボツなら、こいつにどう協力してもらいたいんだ?」
「私にはただのつまらない平民にしか見えませんが、実は私以上に優れた人物であると見抜いたほど慧眼の王太子様なら、さぞ名案があるのでしょうね」
にこにことレイヴァンに言う二人。
レイヴァンは今まで甘えていた父母を敵に回し、改めてその大きさを悟っていた。
落とし所もわからず、とにかく何か言わないとと、それだけで発言していた。
「き、貴族の養子にするとか…」
「うんうん、つまり生まれながらの貴族よりその女のほうが優れているから、わざわざ養子にさせて娶るんだよな?」
「それで、養子先の家の打診をして欲しいってことでしょうか。まさかネーヴィアを養子先になさるわけではありませんわよね?」
「それはいくらなんでもないだろう。『ネーヴィア家と王家で婚姻を結びたいがセリアがあまりに不出来なので、例え平民でもそのほうがマシだから養子にして婚姻した』と言っているようなものじゃないか。お前は元婚約者なんだし、ネーヴィア家だけはないな」
「そうよね。プレシアみたいに『白髪で病弱』とか、明らかな欠点がない限り、年頃で未婚の娘のいる家は承知しないわよ」
「まあ、ウェーバーもないがな。これでも建国当時から続いている由緒ある家系なんだ。平民を迎え入れるほど安くない」
「王家との繋がりがなくても、家保ってられるものね。逆に王家と癒着しすぎると注意されちゃうぐらいよね」
「貴族があまり親王家すぎると抑制力がなくなるからな。しかし、陛下も了承なさった案を蹴った娘を家に入れるほど反王家の家もないだろうが…」
「大丈夫よ、寵姫様は尊い血に匹敵するぐらいの才覚をお持ちの方なんでしょうから。私達の心配なんて余計なお世話よ」
「その通りだが、じゃあレイヴァンは何をして欲しいんだ?そんな才覚を持ち合わせている女がいて、そんな女を見抜ける目を持っていて、あの女はいけないと散々騒いでいた節穴のお前に、してもらうことなどあるのか?家は関係ないんだろう?」
「きっと私達なんかには想像もつかないような考えがあるのよ。…王太子様、それで具体的に、私は何をすればよろしいのでしょうか」
「え、えっと…」
視線を彷徨わせるレイヴァン。
怒涛の攻撃を対処しきれない。
「はっきりおっしゃってください。この王族偽装の件を受け入れるか、自分たちだけで何とかするか、その二択しかないんでしょう?」
だから、リリーが出てきて言った。まだ顔色は悪いが、なんとか自分を奮い立たせているのが傍目からも伺えた。
「私に出来る手伝いが、王族にすることしかないだけですわ。他にできることがあるならおっしゃってください。努力しますわ」
セリアはにこやかに、あくまで作り笑顔で対応する。
「……では、貴族の、公爵令嬢のあなたの立場から見て、私達の婚姻の障害になることを教えていただけませんか」
「あなたの出自ですわね」
即答されたことにかその内容にか、リリーは眉をひそめる。
「……私の出自だけ、ですか?」
「ええ、反対される理由はそれだけですわ。賛成されない理由ならあなたとの婚姻で得るものがないなど諸々ありますが、反対される理由でしたらそれぐらいですわね」
「……それだけで…?」
「………」
リリーのつぶやきに、セリアの表情が固まった。
笑顔が抜け落ち、いつもの見下すような、冷ややかな目になった。
レイヴァンはリリーを止めようとしたが、遅かった。
「―――そうですね。それだけで、反対されてますね」
「え…?」
リリーは突然のことに追いついていけない。
しかしレイヴァンも、そんなリリーを守りに行くことは出来なかった。自分が逃げ出さないように、泣き出さないようにすることで精一杯だった。
「同じ人間で、しかも同じ国に産まれた者同士ですから、それだけで差別を受けるのはおかしいと思いますか。本人の資質ではなく家の名前で決められるのは業腹ですか。みんな同じことして女の股から産まれてますから、どの子も変わりないと。流れている血液に貴賎もないと。そう思われるのでしょうか」
「……お、おなじ、にんげん、ですから…」
それでもリリーが返した肯定の言葉に、セリアがくつりと笑った。
「でしたら、私達はさぞ滑稽に見えるでしょうね。家名なんてただの記号に拘泥して、その家に産まれたという偶然を得意がっているなんて。しかも、同じ人間同士で優劣を付け、私はお前より偉いんだと威張り散らす。実際、ヴィオラとあなたならあなたのほうがよほど優秀なのに、ヴィオラのほうが高位にいるような、能力のある人材を潰すような真似をしています。このようなごく一部の人間のみが特級階級にあるような制度は古来より数多くあり、その度に賢人は実力主義を導入してそれを是正しようと努めてきました。それでもなおこのような制度がなくならないのは、一部の人間が甘い汁を啜りたいがための、私利私欲の汚い理由からです。そんな、自分たちのズルを見せびらかしてご満悦の私達は、さぞかし道化のように見えるんでしょうね」
「……で、でも、くろうもなさってるって…」
「支配者層にあるがゆえの苦労なんて、ただの甘えです。勉強が苦しい、でもそれは自分の身になる、自分のための努力。常に民から批判される、でも自分の行動の責任を負うのは当然。派閥争いで策略謀略が渦巻いている、でも明日の食事にも困って争うのと比べればどっちがマシか考えるぐらい。泥にまみれた身分引っさげて、ただの甘えをぐずぐずと主張して、むしろ私達のほうが性根の腐った下賎な人間でしょうね―――けれど」
セリアがリリーを、睨む。
「滑稽だろうが馬鹿だろうが、片意地張って、虚栄と見栄で生きてるのよ。泥投げられようが石投げられようが、誰にも恥じないよう、誇りを胸に生きてるの。辛い思いも自分の糧にするし、理解のない民草に罵られようが鼻で笑って涙なんか見せないわよ。でも、貴族である名誉を、自分の家名を、誇りを侮辱されたら、たとえ命でも投げ打ってその泥をなぎ払うわ。そんな馬鹿げた覚悟で、私達はここに立っているの」
「………」
「改めて、指摘させていただきます。あなたが反対されるのはあなたの出自が問題だからです。それだけで、認められません。…大方、障害をピックアップして一つずつ潰して行くおつもりだったんでしょう?さあ、どうぞご自由に論破なさってくださいな。王家から誉を頂いただけの、ただの一領主にすぎないものが王家が選んだ者に文句を付けるな、などいかがでしょう。そもそも権力者の子供というだけで何の自身では権力も持たないくせに生意気、というものございますね。―――さ、いかようにでも申し立ててくださいまし。そのぐらいで傷がつくような、やわなプライドではありませんから」
「……あ、の…」
リリーが助けを求めるようにレイヴァンに視線を移す、と、
「レイヴァン、友として忠告だ、やめておけ」
すかさずジオルクが釘を刺した。
「ここにいる生徒たちは、お前とその女以外、皆貴族だ。初等部からあまり顔ぶれも変わっていないんだから、わかるだろう?―――それ以上一言でも侮辱するようなら、貴族として、王家に異議申立てをすることも考える。王家とその女が貴族を軽視するならば、こちらとしても一丸となって抵抗させてもらう」
レイヴァンがはっとして見渡すと、いつもは平和でのんびりしているクラスの空気がぴりぴりと張り詰めていた。
全ての視線が、レイヴァンとリリーに向いていた。
レイヴァンは王族であり王太子だ。リリーはそのレイヴァンの恋人だ。
もし、これがリリーのみの発言であるなら、『平民だから』で済まされる。この場にいる、初等部からAクラスにいるような高位の貴族の子供や、Aクラスに上り詰めたような有能な生徒が間違いなくリリー反対派に回るが、それだけの被害で済む。
しかしレイヴァンが一言でもリリーを庇えば、レイヴァンはそんな貴族蔑視をしている人間を私情で見逃したことになる。そんな人間が王になることは不信感を与えるだろうし、下手をすればレイヴァンもリリーと同じ考えだとみなされて王家対貴族の対立構造が出来上がる。
そして、レイヴァンの父母、国王陛下も王后陛下もセリアが大のお気に入りで、王族偽証作戦に賛成したように、レイヴァンとリリーの仲を歓迎しているわけではない。弟のエリオンもセリアとのほうが仲が良いし、セリアが『自分より賢い』と認めているぐらいの頭脳がある。レイヴァンを追放してもエリオンがいれば跡継ぎは問題ない。
どころか、リリーの主張を『身分や出自に囚われず実力主義で行こう』と取られた場合、間違いなくレイヴァンよりエリオンのほうが賢く、エリオンのほうに継承権が移る。レイヴァンが王太子なのはレイヴァンが長男で、エリオンより先に産まれた男児だから。それだけで、レイヴァンが王太子となっている。
そもそも、幼い頃から宰相室やお城に入り浸り、商売やら何やらで権力者に人脈が広いセリアや、使用人たちと仲が良く情報通なエリオンと違い、レイヴァンには個人的に味方をしてくれるような、親しい支援者や人脈がない。しいて挙げるなら祖父の跡を継ぐために宰相補佐をしているフランツだが、キレたセリアはフランツでも止められない。親戚ごとひっくるめて家を支配しようと家督をじわじわ奪っているジオルクも、今回はセリア側についていて頼れない。
だからレイヴァンが取れる行動は、リリーを見捨てるか、リリーとともに潰されるか、リリーを謝罪させることだ。
リリーの発言を窘め謝罪させた上で、『許して欲しい』と言い添えれば、セリアとて何も文句が言えないだろう。
ただ、リリーもリリーで芯が強いところがある。素直に謝罪してくれるかどうかが問題だ。
「―――なんて、冗談ですわよ」
そう考えていたら、セリアがころころと笑っていた。
あの射殺すような雰囲気は霧散している。
まだまだ油断できないとは思いつつ、それでも力が抜けてしまったレイヴァンに、
「我が家紋を侮辱するものは、例え相手が陛下であろうが物も知らない赤子であろうが、誰であれ、許すつもりはありません」
セリアは作り笑顔のまま、低い声で言った。
再び空気が凍てつく。
そんなこと物ともせず、セリアは「では、私ではお力になれることがございませんようなので」と言って形式張った挨拶をし、教室から立ち去った。
元凶がいなくなった後も、教室中に充満するその雰囲気。
「―――と、いうわけだ」
それを打ち破ったのは、ジオルクだった。
当然、レイヴァンは何がなんだかわからない。
「え、えと、何が?」
「説得だとか考えていただろうが、それはまず無理だとわかっただろう。あいつほど極まってないにしても、馬鹿のようでもこっちにはこっちのプライドというものがある。相応の実力があって昇り詰めてきたのならともかく、ただの寵愛で平民を王妃に引き上げられては堪らない。実力が付随していたとしても、王族への嫁入りなど反対しか起こらないぐらいなのに」
「……うん、それはよくわかった。俺が甘かった。俺は貴族じゃなくて王族で、同じように王家の紋背負ってるけど、セリアとかジオルクとかに甘やかされて認識不足だった。考えなおす。ごめん。ありがとう」
「ああ、そうだな」
ジオルクが頷くと、クラスメイトたちも徐々にいつもの和やかさに戻っていく。
レイヴァンはそこに、セリアとジオルクの信頼関係を見た気がした。
セリアは、確かにぶっ飛んでいる。リリーが言うように悪いところもたくさんあるし、性格悪いし、結構嫌われる性質の人間だ。
でも、それでもセリアは『貴族の中の貴族』で、自分の誇りを最上に置いて生きている。
誰から嫌われても、どんな状況に陥っても、『ネーヴィア家』の名を背負って、『貴族筆頭の家の娘』として、誰よりも誇り高くある。
だから、皆セリアを一目置いている。
家柄とか、スペックとかじゃなくて、その誇り高さを、認めてる。自分たちより上だと受け入れている。セリアになら率いられてもいいと、セリアが貴族代表だと思っている。
そのセリアの宿敵で、同じぐらいプライドが高いジオルクも、十分認められている。二人が似たもの同士で息があっているのも承知の事実なので、ジオルクが矛先を納めたから、『今現在セリアの味方のジオルクが良しとしたんだから、その判断はセリアのものでもある』とみなされ、クラスメイトたちも『セリアが引いいたなら』と引く。
そうやってジオルクがセリアの代理になれるほど、ジオルクはセリアのことを理解してる。今のレイヴァンの『貴族を馬鹿にしていないアピール』でセリアなら許容すると、ジオルク自身が判断出来る。
今まで守ってくれていた存在の大きさに、レイヴァンは心中で嘆息を吐いた。
自分はずっと甘えていたんだろう。セリアが厳しいなどと言いながら、いつまでも守られて、自分一人で飛んだつもりでも見守られていて、いつだって誰かの、セリアの庇護下にいた。
でももうセリアはいない。
これからは一人で生きて、愛する人を守る側に回るんだ。
「……ジオルク」
「なんだ」
「結局、認められるにはリリーを王族に偽るしかないってことか?」
「そんなところだな。オススメは偽証だ」
「…セリアは、なんでこんなの用意したんだろう…?」
「…最後の温情じゃないか?こうやって話をもちかけることが、あいつに出来る最後の優しさなんだろう。わかってやれ」
「………うん」
レイヴァンはリリーを見る。
リリーは覚悟を決めたように頷いた。
それを見て、レイヴァンの心も決まる。
「じゃあ、この話、ありがたく受けさせてもらう」
セリアがおいて行った書類を取る。
ジオルクはそれに、一瞬瞳が揺れたが、一瞬だけだったため誰も気付かなかった。
「―――そうか。じゃあ話を聞いていたクラスメイトたちの口止めはしておこう」
ジオルクの言葉に、レイヴァンは「ありがとう」と笑った。
何も知らずに、笑っていた。
***
ジオルクは笑う友の姿に、愛憎の入り混じった、複雑な感情を抱いていた。
レイヴァンの行為は、明らかに貴族も王家も敵に回す。
ただの平民を王族に偽るなど不敬も甚だしいし、貴族蔑視の発言を、リリーはまだ謝罪していない。レイヴァンの謝罪はレイヴァン自身の行動しか謝っていない。
リリーは未だ『貴族を侮辱した』ままで、そんな女を王族に加える決断をしたレイヴァンは、まるっと貴族を敵にした。
ジオルクはセリアの行動の意図など明かされていないが、クラスメイトたちに行う口止めは、それは簡単なものだろう。
『セリアは侮辱は許さないと言った』
その一言で足りる。
Aクラスの人間は皆賢く、家も大きいものが多い。つまりほぼ全員が、家名を誇っている『貴族』だ。事実、リリーの発言に全員敵意を露わにしていた。もはやこのクラスにリリーの味方はいないだろう。
だから、馬鹿にされた報復はセリアがやる、と言えば、それを邪魔はしない。
口をつぐんで、ただじっとリリーが落ちるのを見ているだろう。
セリアは貴族の筆頭の家の娘である自覚がしっかりあり、自分の家に向けられたものだけでなく、貴族全体に向けられた侮辱にも反応するから、貴族全体の名誉も守るとわかっているから、そうして任せていられる。
何も知らずに笑う友は哀れでもあり、憎くもある。
ジオルク自身とて、貴族を馬鹿にされた怒りはあるからだ。自分の家が名指しでではなく貴族全体だから抑えているが、友を助けようと思わない程度には怒りを感じていた。
そしてその怒りを代表して憤り、制裁を加えるセリアを、惚れた腫れたは関係なく支持していた。
だから、翌日、とても驚いた。
「私、明日から国外に留学に行くから」
そうセリアに言われて、時間が止まるんじゃないかと思うほど驚いた。
▽ レイヴァンルートハッピーエンド に入りました。
▽ 攻略に失敗しました。
▽ イベント:王家の制裁 が 発生します。
▽ おつかれさまでした。