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悪役令嬢だけれど何か文句ある?  作者: 一九三
やっとたどり着いた本編~高等部~
46/76

現在ログオフ中につき登場人物紹介~姉妹~

本日三回目の更新です。

短いです。

 ある日、ぶらぶら歩いていたら白髪の可愛い女の子を見かけた。

 迷子なのか、泣きそうな顔できょろきょろと周りを見渡している。

 その特徴的すぎる髪色には、覚えがあった。

 ネーヴィア商会のモデル、プレシアだ。

 様々な商品を出し、それがことごとくヒットすることで最近話題となっているネーヴィア商会の看板。天使のような、純白の女の子。


 可愛くて、声をかけて話していた。ついつい壁に追いやったりはしてしまったが、近くでじっくり見たいという欲求は抑えられなかったが、ただ話していただけだ。お茶に誘ったけど、仲良くなりたかっただけだからセーフ。


 そうしていたら、


 「プレシア、どうしたの?」


 凛とした声がした。

 そっちを見ると、黒髪の美少女がいた。

 自分なんて眼中にないように、白髪の少女だけを見ている。


 濡れたような、綻び一つない美しい黒髪。冷ややかにこちらを見る青い瞳。陶磁器のような白い肌。

 ほう、と溜息をつきそうになるほど綺麗で、……あまりに可愛げがなかった。

 自分より年下だろうに、あるべき幼気や可愛らしさが、まるでなかった。

 すでに成熟しているような、そんな雰囲気だった。


 彼女に呑まれている間に、白髪の少女はそちらに逃げていった。


 白と黒が映えて、綺麗だった。


 だから声をかけて、彼女がセリア・ネーヴィアであることを知って、シュシュを貰って、


 「初恋の相手は、男性ですか?女性ですか?」


 バレた。

 私の性癖が、バレてしまった。





 幼いころ、私は母を亡くした。

 父は母を愛していたので悲しみに暮れ、家庭によりつかなくなった。

 一人で、寂しくて、母が恋しくてたまらなかった。

 だから私は母の遺品にすがった。女性を、母性を求めた。

 気づいたら、自身を女性だと思い込んでいた。

 おかしいとわかっていたからそれをひた隠しにしていたが、バレて、受けいられて、……現在に至る。



 「あんた本当に、勝手よね」

 「急に何よ」

 「言いくるめて飴を与えて、飼い殺し。ひどいわ」

 「本当に急に何?いくら私でも傷つくわよ?」

 「嘘おっしゃい。あなた笑ってるじゃない」

 「仕方ないじゃない。で?何なの?」

 「……ふと思っただけよ。コンプレックスを受けいられるのって、正しいのかしらって」

 「あら、どういうこと?」

 「私って、こうじゃない?でもあんたはそんな私の性格も受け入れてくれて、こうやってそれを活かす仕事をくれて、毎日を充実させてくれたわ。もう恩人ね。ありがとう」

 「どういたしまして」

 「でも、思うのよ。私は自分が女性だと思っているけれど、そんな思い込みを押し込んで、男性のフリをしていれば、本当に心から愛する女性に出逢えば、変わるんじゃないかって。こんなコンプレックス、なくなってたんじゃないかって」

 「ふうん」

 「勿論あなたに感謝してないわけじゃないわ。毎日楽しいし、あなたみたいなお友達が出来て嬉しいわ。でもこの『欠点』を受け入れず、立ち向かうべきだったんじゃないかって思う自分もいるのよ」

 「私は褒めて伸ばす教育方針なのよ」

 「王子様にさんざんやっといて、よく言うわ。…プレシア、いるじゃない。この前私、言われたのよ。こんな容姿でも役立ててくれるセリアには感謝してるって。これっていいことよね?」

 「そうね。容姿磨きもきちんとしているし、自信もついたし、良い変化だと思うわ」

 「容姿は変えようがないし、あれはあの子の心の問題だったところもあるもの。受け入れられることで改善したいい例ね。でも性格は変えられるわ」

 「それで?」

 「……ある女の子に出会ったの。とっても可愛くて、お茶に誘ったけど逃げるように断られちゃったわ。それがおかしくて、ついつい構ってたら、言われたの。先輩は女の子によく声をかけてますよね、わざわざ私にまで絡んでこないで下さい、迷惑ですって」

 「ま、ひどいことを言う子ね」

 「あなたほどじゃないでしょ。だから仕事関係とプレシア以外慎んで、他の人は仕事関係だからって話したら目をひん剥かれて、私のせいですか?なんて訊いてくるの。あなたのためって答えたらなんとも言えない顔になって、それがまたおかしくて。―――そこで思ったの。もしかしたら否定されることのほうがいいのかもしれないって」

 「………マゾ?」

 「いやあね、違うわよ。何でも受け入れてくれる友達は大事だけど、その人の隣に立ちたいからって目標になる人も、必要なんじゃないかって」

 「まとめると、あなたは恋をして、女性の自分ではその人にふさわしくないんじゃないかと悩んでるってことね?」

 「ええ。だからそれから男になっても、男に戻って、あなたは友達でいてくれるのかしらって」

 「当たり前じゃない。でもデザインが駄作になったら容赦なくクビにするわよ」

 「それは心配いらないわ。その子のことを思うと色んな案が浮かぶの。すぐにあなたが脱帽するような案を持ってきてあげるわ」

 「あらあら、それは楽しみね」

 「本当に、恋っていいわ。苦しいことも糧になるもの。―――あんたもどう?」

 「私も?いつだってあなたに惚れてるわよ?」

 「そうじゃなくて、本当に恋するのよ。あんたのお兄さんも、恋して楽しそうじゃない。私が意中の子とちょっと話しただけで笑顔で凄んできて、吹き出しそうになったわ」

 「お兄様ったら、今さらスカイなんかに惚れるような方じゃないっていうのに」

 「本当にね。だからあなたもどう?」

 「考えておくわ。恋は盲目にするもの。今は、目を曇らせてるような暇はないの。そのうち時間が出来てからじっくり考えるわ」

 「そういうんじゃないのよ。気づいたら、もう落ちてるものなのよ、恋ってのは」

 「落とされたくせに、幸せそうじゃない。妬けるわね」

 「ふふ、あんたのことも変わらず好きよ。盲目ってわけでもないわ。……プレシアのことも、考えなきゃいけないし」

 「プレシア?順調だって、さっき言ってたじゃない」

 「ええ、今のところね。でもそれで満足してたら駄目。親元にいたらいつまでも子供のままなのよ。可愛がられて愛されて、それだけじゃないのに。今度は自分が誰かを愛することになるのに…」

 「……水差していいかしら」

 「駄目、って言ってもするんでしょう?」

 「ええ。―――正直その辺どうでもいいわ。

  ていうかあなたの云々も恋してる馬鹿な子の馬鹿な話だと思って聞き流してたぐらいよ。

  そういう、なんかふわっとした抽象的な話、どうでもいいのよね。

  あなたが自分の性格を見なおしてっていうのはまだわかるのよ?そんな弱味を改善しようって言うんだから、デメリットを減らして求婚しようっていうんだから、それは良いと思うのよ。ええ、本当に。やっと自覚してくれたのね。

  でも、プレシアに何か問題ってあるかしら?

  可愛くて天使で、それで問題あるの?相手がいなくても、保護者は好きにさせる方針なのよ?あの子自身学業にも励んでいて、それでなお、何か問題ってあるかしら?

  抽象的なのは好きじゃないの。具体的に、それによって生じる可能性のある危険をはっきり示して頂戴」

 「あんたって本当に、女じゃないわよね」

 「失礼ね。ちゃんと女よ」

 「女の子のふわふわした可愛らしさとか、欠片もないじゃない。どうしてこうなったのかしら…」

 「いいじゃない、それで助かってるんだから」

 「ええそうね。もういいわ。あんたは私とプレシアが幸せに生活できるよう、商会を切り盛りして、真っ当に経営してくれたらそれでいいわ。プレシアの面倒は私が見る」

 「さすがね、お姉さん。…そういえば、あなたが惚れた女の子って、どんな子なの?」

 「あら、言ってなかったかしら。リリーっていう、あんたのクラスメイトでね―――…」





◇◆◇◆


スカイ・ボルナノフ:女遊び先輩→女好き先輩(オネェ)

本作における友人ポジ。ただし同性枠。

母を亡くし、その寂しさを埋めるために母性を求めた。結果、オネェに目覚めた。

可愛い物好きで、現在デザイナーとしてネーヴィア商会で働いている。裁縫も得意なので試作品を作ることも余裕。女子力は高い。

プレシアは好みストライク。妹のように可愛がっている。可愛い物を閉じ込めてしまいたい願望もある。


本来

攻略対象その五。

一時期オネェっぽく思うこともあったが、恋愛対象は女性だし、一過性のものとして過ぎ去った。

女性を口説いていても本当の自分でないような気持ちはあったが、主人公に恋して全部吹っ飛んだ。




プレシア・ウェーバー

本作における不憫枠。可愛い可哀想な子。

ジオルクの妹。白髪で病弱のため、田舎で療養していた。そしてそんな自分にコンプレックスを抱いていた。

が、セリアに木っ端微塵にされ、利用され、もう諦めた。人生のままならなさを早くも学んだ不憫な子。でもネーヴィア家で可愛がられ、家庭では感じなかった『家族』というものを感じ、意外と幸せに暮らしている。


本来

特典ディスクでの主人公。

特典ディスクで主役張るぐらいには悲愴で可憐な女の子。

主人公に救われて、その後どん底に叩き落とされる。

家族に疎まれ愛されず、やっと見つけた救いがダウトだったという、原作でも不憫で可哀想な子。

スカイと恋話してるのが書きたかっただけ、などと供述しており…

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