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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

懇願

作者: 湯吊

 ねえ愛されるのと愛すのだったらどっちがいい?

今日の小テスト、部活の話、嫌な先生の話。そんな他愛もない話をしているとき、彼女は急に話題を変えるのが好きだ。どっちか? うん、どっちか一つだけ。

私は愛されるより愛す方がいい。

最初はそんな彼女に驚いていたが今はそれくらいでおどろいたりはしない。どうして? そっとこびるような上目遣いで聞く。私の方が背が高いから自然彼女は上目遣いになるのだが、彼女のこぼれ落ちそうな大きな目には媚びという字がよく似合う。

こんなことに理由なんてないよ。感覚。強いて言えば、

そこで言葉を切る。強いて言えば愛されるのは重いから。私は自分が愛した人以外からの愛なんていらない。そして、急に黙り込んだ私は怪訝そうな目で見る彼女をじっと見る。私は自分が愛している人から愛されることなど絶対にない。

愛されるなんて私にはもったいない。愛すだけで十分なの。

彼女はどうなのだろう。あなたは? そんな目線で見る。

私は絶対愛される方がいい。

にっこり。満面の笑み。持っている人の笑い。勝者の笑みだ。

誰かから愛されるって幸せじゃない? 私自分を愛してくれるなら誰だっていい。私もその人を愛するよ。

彼女を押し倒して無理矢理唇を奪って

愛してる。私はあなたを愛してる。だから私を愛して

そう言ったら彼女は私を愛してくれるだろうか。そんなことを瞬時に考える。無駄な妄想。根拠のない想像だ。実際の私は欲が無いなあなんて言って苦笑いするだけ。○○くんが悲しがるよ。そんなこと言ったら。

そんなことないよ。私のこと愛してくれるの○○くんだけだもん。

だから私も彼だけを愛しているの。

△△、あんたなんだかんだいって結局惚気たかっただけでしょう

呆れ顔で言うと少し赤くなった顔でばれた? と笑う。怒らないでね。怒るわけない。私が彼女を。

というわけで今日は○○と帰るね

了解! 私はこの本読み終えて返してから帰るから

んっあんまり遅くなっちゃだめだよ。危ないからね

ばいばいと手を振って教室をでる彼女の背中を見送る。私の愛が言わずとも伝わればいいのに。意気地のない私はそんなことを考えるけれど彼女はもちろん振り向かない。


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