表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王はリア充を滅ぼしたい  作者: 藤原ゴンザレス
第4章 エルフの帝国編 ~おうちに帰るまでが革命です~
64/65

宇宙の外の絶対神

「にゃ、にゃにい! 拳王が竜殺しのアレックス!!!」


 どうやら私は有名人のようです。


「あ、あの……貴族の間で流行している「アレックス・クエスト」の主人公! ドラゴンを討伐し、不死の魔神は叩きのめし、天からの侵略者を倒した!!! 自称、愛と正義のヒーローなのにいたいけな貴族を叩きのめし、女と目が合えば手込めにするわ、辺境部族の長の娘を愛人にするわ、王女までをもたらしこむわ! 史上最悪の女狂い!!! ひいッ! 寄るにゃさわるにゃ!!!」


 誰だそいつ?

 私から一番遠い存在やないですかい!


 ドラゴン → あやうく殺されかかりました。(守備兵団が討伐しました)

 アンデッド → マナ製造施設にしました。(幻術で永遠に眠らせました)

 錬金術師と愉快な怪獣たち → ヘリと飛行機で半殺しにしました。(今は舎弟です)

 麻呂 → 石の中に閉じ込めました。(考えるのをやめるまで放置します)


 誰一人、まともな手段で倒してねえ!!!


 エリザベス → 友達です。

 ホルロー → 友達です。

 シルヴィア → 相棒です。

 運命の男性(ショタ) → まだ見つかってません。


 ハテ……?

 せ、責任者出てこい!

 一発殴らせろ!

 いっぱつなぐらせろー!!!


 どうやら私のねつ造されまくった情報は他国にまで伝わってしまっているようです。

 どうしてこうなった!!!



 我々はヘリで移動してました。

 途中、ヘリに乗るのが初めてのミリアムが吐きました。

 三半規管弱ッ!

 ヘリが飛んでいると遙か先に何かが見えます。


 それは巨大な麻呂。

 どこまでも嫌すぎる!!!

 そして近く付くにつれ、麻呂の声が聞こえてきました。

 それは血を震わせるかのような大きな泣き声でした。


「嫌でおじゃる! 閉じ込められるのは嫌でおじゃる! 嫌でおじゃるううううッ!」


 ……あれ? 目から汗が。

 そうですか。

 彼もまた転生という名の悲劇の被害者だったのですね。

 そうか。

 そうかー。ふふふふふ。


「家臣1000名。三食昼寝付き……」


 ……今何つった?


「たった2000人のハーレムなんていう酷い待遇など嫌じゃあああああッ!」


 うん。

 殺そう。

 絶対に殺そう!


 私は心に誓いました。


 憎悪の絶対神を殺すには相棒の力が必要です。

 そろそろ念話が可能な範囲に到達するはずでした。


「クラディアアアアアッ!」


 やばい気づかれた!


「死ねい! 絶対☆神キャノンッ!!!」


 そう叫ぶと絶対神は口をパカッと開けました。

 ビームだ! ビームに違いない!

 クソ! 口の中が光ってる!

 ひいいいいいッ!


「待てい!」


 声がしました。

 誰?

 私がヘリから外を見ると自らが投げた大木を足場にして飛んでくるハーフエルフさんたちが……


「今こそロリ王様の恩に報いるとき!」


 え? ちょっと待って! ロリ王って何? 拳王じぇねえの?

 お前ら名誉毀損でマジで訴えるよ!!!

 この世界だと決闘で解決だからな!

 覚えてろ!

 そんな私を置き去りにしてハーフエルフさんたちがクライマックスを迎えます。


「喰らえ! ハーフエルフ聖拳最終奥義! チクビーム!」


 っちょ! ハーフエルフ聖拳ってなんだ! 初めて聞いたぞ! オイコラ!


 モノローグ。


 古代帝国に伝わるエルフ神拳。(え? な、なにが始まったんですか!)

 その伝承者争いに敗れたものたちが集まり作られたのがハーフエルフ聖拳である。(いやだから!)

 立ち上げられた流派は広く社会に広まり、(だったら最初から使えよ!)108の流派に分かれたという。(っちょ! ド変態の流派が108もあるですって!)

 その最終奥義がチクビームである!!!(どうして誰も止めなかった!)


 私のツッコミもむなしくハーフエルフさんたちの乳首が七色に妖しく光りました。

 そして七色の光線が発射されました。


 一人一人は細く小さいビームでした。

 ですが一斉に発射されることでそれらが集まり巨大なビームに変化していきました。

 そして遅れて発射される絶対☆神キャノン。

 圧倒適量の赤黒い憎悪のオーラが口から発射されます。


「一人はみんなのために、みんなは一人のために」


 スペードさんがみんなに発破をかけました。

 どこかで聞いたことがある薄っぺらい台詞です。

 みんなの気を集めたチクビームと絶対☆神キャノンがぶつかり合い……ってひでえ字面。

 爆風が周囲を包みました。

 相殺のようです。

 ですがハーフエルフさんたちは膝をついていました。

 次々と崩れ落ち落下していくハーフエルフさんたち。

 あ、大丈夫です。

 こいつらこの位じゃ死にませんので。


「ま、またしてもハーフエルフは絶対神の後塵を背す……」


 やかましいわ!!!

 私は全力でツッコミました。

 ですが……絶対神は次のビームまでチャージが必要なようです。

 チャンスが出来たのは事実と言えるでしょう。


「ホルロー! ミサイル発射! 遠慮無しで全弾ぶち込んでください!」


「了解」


 魔法のミサイルが絶対神目がけて撃ち込まれました。

 「あれ? 絶対神って全属性無効なんじゃね?」ですって?

 もちろんです!

 私はクラウディアの記憶を取り戻してからというもの、何度も何度も絶対神を殺す方法を考えてました。

 一つが壁の中にいる。

 もう一つが拷問にかけて精神を壊す。たとえ無効でも攻撃されりゃ痛いのです。

 もう一つが……


「ノームさん!」


「なーにー?」


「麻呂の足下掘ってください!」

 

 爆発で目の前が見えなくなった巨大麻呂。

 その片方の足の下が沈みました。


「な?」


 バランスを崩した麻呂を見て私はほくそ笑みます。


「サラマンダー!!!」


「ひいいいッ!」


「玉潰されたくなかったら地面を溶岩にしてください!」


 絶対神がバランスを崩して手をついた先が溶岩に変わりました

 溶岩に手が埋まっていきます。


「あついいいいい! あついいいいいい!」


 いける! これならいける!

 あいつら厄介なところは攻撃が全て無効化されてしまうことです。

 そこでクラウディアは攻撃用ではない道具で戦うことにしました。

 その目論見は成功し、絶対神を殺すことに成功したのです。

 それを踏まえて私は転送魔法の事故で封印することに成功。

 それ元に私はある考えに辿り着きました。

 「奴らの想像を超えたところから攻撃すれば良いんじゃね?」って。

 たとえばこれがただの自然現象なら?

 たまたま足下の土がなくなって、転んだところにたまたま溶岩があって手を突っ込む。

 溶岩ではダメージを与えられないかもしれません。

 ですが、溶岩がいきなり固まったら?

 面白いと思いませんか?


「ウィンデーネ!」


「ショター!」


「溶岩を冷やしてください!!!」


「ショタアアアアアアア!」


 あっという間に固まる溶岩。

 絶対神は四つん這いの状態で動けなくなりました。

 よし! 動きは封じた!!!

 あとはシルヴィアです。

 シルヴィアさえいればヤツをぶっ殺せます!


 私は念話でひたすら呼びかけます。

 シルヴィアのマナを使える距離まで近づきさえすれば……


「アレックス!」


 繋がった!!!



「アレックス!」


 繋がった! やはり生きていた!

 無事だったか?

 ……と声をかけようと思ってたのだがなぜか出てくるのは罵声だったのだ。


「こんの! どこ行ってた! バカ! アホ! ホモ!」


「ほほほほほほほ、ホモちゃうわ! 私、女ですもん! チ○コついてても女ですもん!」


 バカはまだ現実が見えていないらしい。

 なぜか目から流れ出た涙を拭うと急にムカついてきた。

 あのバカのせいで髪の毛のセットも着替えも女中やエリベスにやらせるハメになったのだ!!!

 我は女は苦手なのだ!!!

 寄るな! さわるな!

 ……でもドレスなんて一人で着れないのだ!!!

 なんで我が国は一人で着られないデザインを採用してるのだ!!!

 アホか! バカか!

 そもそもTシャツとジーンズの黒ウニブランドで女性ファッションを出す前に行方不明になったアレックスが悪いのだ!


 なにが、


「かわいくない……やりなおしです(血走った目で)」


 だ!

 着られりゃいいのだ!


 どれもこれも全部! 全部! アレックスが悪いのだ!!!


「あのー……いいですか?」


「なんなのだ!」


「すいません! すいません! すいません!!! 謝りますんで魔法お願いします!!!」


「にゃー!!! 後で二人っきりで話し合うのだ! とりあえず言え!」


「ひいいいい! ……えっと今から麻呂がビーム撃ちます。たぶん水平射撃だと思います」


「で、どうするのだ?」


「えへへへへ。新しい魔術ですよ! えっと空間転移の方程式を改良して……」


「っちょ! そんな複雑なの今からやるのか!!!」


「大丈夫です! 私が三次元で魔方陣書きますんで!」


「三次元?」


 どういうことなのだ?



 わかっちゃったもんねー。

 へへーん! わかっちゃったもんねー。

 へいへいへーい!


 水。ウィンデーネ。

 地。ノーム。

 火。サラマンダー。


 四大元素のうち三人目の精霊までもが集まりました。

 でも何か足りませんか?

 そう風です。

 シルフ?

 ちゃいます。

 私ですよ! ハイエルフ!

 ハイエルフが風の精霊なんです。


 じゃあ魔法どうやって使うんだよ?


 うふふふふ。うふふふふ。うひゃひゃひゃひゃひゃ!!!

 わかりましたよ!

 普通の魔法はね! 頭で考えるんですよ!

 方程式や魔方陣や呪文!

 要するに理知の部分で使うんです!


 ところがね!


 私の固有魔法であるヒールは違うんです!

 BLとかのエロいことや反社会的なロックの事を考えてればガンガン使えるんです!

 つまりね。

 煩悩を力に変えてるんですよ!


 だからね!

 他の魔法も使えるはずなんです!

 いやね……練習しましたよ!

 砂漠をキャンパスにして風の力でわいせつな絵を描いたり、砂でエッチな像を作ったり!

 街に来てからは教会に落書きしたりですね!!!

 ふははははは!!!

 魔方陣を三次元展開など楽勝ですよ!


「さあて、眉毛のミリアムっち! 手伝いなさい!」


「にゃ?」


 ミリアムも私と同じ先祖返りです!

 同じ魔法が使えるに違いありません!


「風で砂埃を舞いあげてください! できねえなんて言わねえよな?(脅し)」


「うにゃあああああああああ!」


 ミリアムを泣かせ強制的に魔法を使わせます。

 そして私はヘリの中から土埃で魔方陣を書いていきます。

 それと同時に絶対☆神キャノンのタメが始まりました。

 今からは時間との勝負です!


 私は集中するためにエロいことやブルータルなことを考えます。


 半ズボン! ケツ! お姉ちゃん! らめ! (ゴゴゴゴゴゴゴゴ!)

 クソバカどもを正座させてタコ殴り! 一神教の教会を破壊! 美形にした麻呂 × オーク軍団!!!(ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!)


 お医者さんごっこ!!!(クワッ!)


「絶対☆神キャノン!!!」


「行きますよ! シルヴィア!!!」


「おう! なのだ!」


 黒いビーム。絶対神キャノンが発射されました。

 私は魔法詠唱を開始。

 シルヴィアも私の援護のため魔法詠唱をします。


 ビームは予想通り水平射撃でした。

 私は魔法を起動!

 何も無い空間が歪みます。

 空間の歪みにビームが吸い込まれていきました。

 これをエネルギーにして更に魔法を展開!!!


「これで最後ですよ!!!」


 絶対神に転移魔法をかけます。


 貴方の敗因は神だったこと。

 インプさんたち家臣を信頼せず、元絶対神以外の仲間も持たなかったこと。

 魔王なんてゴミみたいな存在です。

 私なんて瓶詰めの蓋だって開けられませんし、領民の皆さんがいなければインフラの維持すらできません。

 BL小説だって誰かが作ってくれないとすぐにネタ切れします。

 シルヴィアだって髪の毛のセットも一人じゃできないし、ドレスも一人じゃ着られません。

 エリザベスは虫が苦手です。しかもストーカーなうえに目立ちたがり屋です。

 ホルローはお金の計算が苦手です。

 ゼスさんは融通が利かないし、理事長は肉体労働なんてできません。

 パパはママを取り戻すことすらできませんし、サブちゃんたちも誰かが守ってやらなければすぐに騙されて身ぐるみはがされます。

 スペードさん、クラブさん……みんなド変態です。

 怪獣はバカばかりです。

 それにレイ先輩はいい年こいてDTです!!! しかもシスコンです。

 

 でもそれでいいのです。

 『絶対』や完璧、完全なものは成長の余地がありません。

 1000年以上生きている私だって常に成長してるのです!

 無駄な殺しはしなくなりましたし、力を鼓舞することはありません。

 後が怖いことを学習したもん。

 シルヴィアだって同じです。

 シルヴィアは女友達だったら会話が可能になりました。

 前は母親以外とは会話もできなかったんですよ!


 私は悠久とも思える転生の先に仲間と家族を得ました。 

 これからの私の人生がどうなるかはわかりません。

 何が起こるかわからない。

 完全な生き物じゃないから何かが起きるだけで全てが変わってしまいます。

 でもそれでいいのです。

 私たちは精一杯生きさえすればいいのです。

 そして失敗したり怒ったり泣いたり笑ったり……それでいいのです!


「転移ぃぃぃぃッ!!!」


 次元の壁を抜け絶対神が消えていきます。

 これは悪意も攻撃性もないただの転移呪文です。

 石の中などの若干の例外はありますが、殺すこともできません。

 クラディアが殺した完全体の絶対神や巨大怪獣を閉じ込めるのは無理なのです。

 そして通常は宇宙空間なども無理です。

 出力が足りませんからね。


 普通は。


 ですが通常を超えたパワーの入力があればどうでしょう?

 例えば「絶対☆神キャノン」とか。

 つまりそういうことです。


 じゃあどこに飛ばしたの?

 答えは宇宙の外。

 誰も見たことのない未知の場所です。

 帰ってこれるか帰ってこれないかすらわかりません。


 私はずっと考えてました。

 なぜ絶対神なのに私たち虫けら如きに知覚できたのでしょう?

 なぜスプーンで脳みそ(略)なのでしょう?

 私の知っているもっとも進んだ世界では宇宙の外の仮説を議論していました。

 それは完全に私の理解の範疇を超えていました。

 そして私はある結論に至りました。

 本当に神がいるとしても知覚はできません。

 我々と同じ土俵にいるはずが無いのです。

 偉いとか偉くないとかじゃありません。

 我々に知覚させる意味などないというだけです。

 私たちが何らかの方法で知覚している以上、ヤツらは物理的存在なのです。

 つまり神という連中。ヤツらは全員生物です。

 自称神(笑)なのです!!!

 だからこんな裏技で滅ぼすことも可能なのです!

 私たちも神も大いなる世界、そのシステムの前では平等に無価値です。

 でもそれでいいのです。

 自分の存在の意味づけなど自分が行えばいいのです。


 そして神は消えました。


「おわったにゃ……」


 ミリアムがため息をつきました。

 あー。そうだ。言わなきゃ。


「ミリミリ。ミリミリ。ちっといい?」


「ミリミリって……まあいいなんにゃ?」


「今回の絶対神討伐の報酬として帝国ください。全部」


「にゃにゃにゃ! にゃにおー!!!」


 ヘリの中にミリアムの悲鳴が響きました。

 そんなに酷い話じゃないと思いますけどね。

次回完結。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ