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魔王はリア充を滅ぼしたい  作者: 藤原ゴンザレス
第4章 エルフの帝国編 ~おうちに帰るまでが革命です~
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ミリアム

「ハイエルフ……?」


 なんで知っているのでしょう?

 精霊さん達に言わせるとどうやら私は先祖返りのようです。

 とは言っても、見た目は完全に人間なのでわからないはずです。

 エルフさんには同族をかぎ分ける能力でもあるのでしょうか?

 今後の研究が待たれます。

 できれば被験者は美形のショタで。


「そうだハイエルフ(にょ)! 私は帝国第二皇女、ミリアムだ! 貴様どこのものにゃ?」


「えっと……千谷沢村(ちゃーざーむら)?」


 私はとっさに適当な地名を出します。

 あらゆる世界にある理想郷伝説。

 その代表例がエルドラド、シャンバラ、桃源郷、そして千谷沢村です。


「そこはどこにゃ? つかそれどこ……じゃなくて……どこの家中のものか? と、聞いていりゅのだ!」


 酷い質問です。

 まず、地方も含めて貴族なのが前提です。

 そもそも医療が酷い場所ではみんなポコポコ子ども産んでポコポコ死んで行くのが普通です。

 そんな時代では富裕層は未亡人や孤児の面倒を見るのも義務です。

 そうじゃないと経済とか維持できないもん。

 決してやましい……ことがないはずはないとして……ロリコンではありません。

 ロリコンちゃうのよ。

 昔の人が子ども相手にマジ恋愛するの意味あるんよ。

 金持ちほど痛いロリコン(またはショタ)話がついて回るのは仕方ないんよ!

 それにロリだけじゃないのよ!

 こういう時代で、セシルのように自由恋愛推奨の都市でもなければ「あーXXさんのXXちゃん。いやあ旦那死んじゃってさ。子ども産んだことあるから子ども孕んでも死なないよ。どうよXX嫁にどうよ?」ってな具合に経産婦はすげえ大事にされます。

 だって近代まで女性の死亡原因第一位は出産ですから。

 ひでえ話ですけど。


 ……こほん。脱線しました。

 というわけで金持ち富裕層は人を食わせるのが義務なので、あちこちに愛人やらを作っているはずです。

 DNAばらまき放題なのです。

 庶民にも貴族の血が流れないはずがありません。

 ……私は千年喪女でしたけどね!


 第二に正直に「王国の竜殺しアレックスちゃんれす」なんて言えるわけがありません。

 敵国ですからね。

 ですので通称を名乗りましょう。


「えっと……拳王です?」


 私は目をそらしながら言いました。

 なんか自分で名乗るのが嫌だったのです。


「拳王? うにゃ……けんおおおおおおお!」


「はいな?」


 とりあえずプロレスLOVEのポーズ。

 イィィィィヤァッ!!!


「かくごおおおおぉッ!」


 ツッコミすらありませんでした。

 酷い話です。

 いいもん。

 じゃあ相手しないもん。


 私は跳躍すると壁に貼り付き、夏のゴキブリのようにカサカサと逃げ出しました。

 ツッコミ待ちの放置プレーがこんなにも……こんなにも苦しいなら!

 もはやツッコミなどいらぬぅッ!


「逃がすか! エルフ剛掌波」


 拳の形をした気の塊が飛んできました。

 なぬ気功使い!

 私は必死で壁を這い回りながら逃げます。


「ぬう! 降りてきて、わらわのエルフ神拳の奥義を受けるのだ!」


 その時、私はようやく気づきました。

 アヘ顔Wピースで気絶したエルフさん。

 それは秘孔とかツボとか経絡によるものだったのです!

 なんというゴッドフィンガー!!!


 そして私の脳裏にある考えが閃いたのです!

 私は手を離し壁から飛び降ります。

 そして手を上に上げます。


「な、なんじゃ!」


「ふ、フハハハハハハ!」


 笑いが漏れます。

 笑いが漏れてしまうのです!


朋友(ポンヨウ)よ!」


 このとき私が考えていたこと。

 それはエロゲでした。

 ずっと疑問に思ってました。

 エロゲのHシーン。

 多くの場合、設定上、童貞×処女もしくは童貞のはずなのに、まるでAV(アダルトビデオ)のような超絶プレイをします!!!

 彼らは実技も無しにまるで熟練されたアスリートのように大人の寝技を繰り出すのです!!!

 受けも攻めも無駄な動き一つなくポジションを三次元展開するのですよ!

 なんであんなに積極的なんよ!


 ……もちろんそれは妄想の産物(ファンタジー)だからです!

 ですがそこにエルフ神拳の奥義が加われば……妄想が現実のものに!!!

 私の目が血走ります。

 これを……応用すれば……エッチなドラマCDの世界を再現できる!!!


「ふしゅるー、ふしゅるー! 奥義を寄越せええええッ!」


「ひ、ひぃ! サラマンダー!」


 うん?

 サラマンダー?

 召喚魔法?

 炎と共に現れたのはアフロヘアーのおっさん。

 こちらをチラッと確認するとマイクを握りながら、いい声でシャウト。


「ロリィィィィィッマァァァァイラえぶらッ!」


 その叫び声を聞いた瞬間、私はサラマンダーさんの股間を蹴り上げていました。

 ナッツをクラックなのです。


「ああああああッ! サラマンダーが見たことない表情で悶絶してる」


 これ以上の出オチなど許さん!

 私が埋没する!


「さあ! 私に秘伝を伝授するか、さもなくば死ぬか選びなさい!」


「ぬう!」


 ふふふ。精神的に優位に立ったぞ!!!

 これで、我が野望を現実のものにしてくれる!!!


 いきり立つ私。

 ですが私が調子に乗っているときはいつも邪魔が入るのです。


 それはヘリの音でした。

 バリバリバリバリという空気を破壊する音。

 サーチライトの明かり。

 この世界でヘリを持っているのは私たちだけです。


 そう。

 仲間がやってきたのです!



「アレックス!」


「クラウディア!」


 ホルローにエリザベスです。

 あっれー?

 相棒の姿がありません。


「シルヴィアは?」


「それが大変なんだ! セシルが独立を宣言して帝国に宣戦布告した! シルヴィアも先日まで前戦で指揮を執っていたがそこに巨大怪獣が現れたんだ!」


 私は思わず眉毛娘ミリアムをガン見します。

 ミリアムは額にしわを寄せていました。


「とうとう現れたか……」


「なにがです?」


「最悪の祟り神じゃ。絶対神の憎悪の心が産んだ神……我が帝国の始祖。偉大なる戦士エルヴィンが絶対神と契約して封印した最悪の神じゃ!」


「なんでうちの初代族長と同じ名前なのだ?」


 ホルローが首をかしげました。

 あー!!!


「あんたら実はダークエルフなんですね! そっか! 私たちと同じで人間さんと交わったせいでハイエルフやエルフの先祖返りが出たのか!」


 つまり、権力争いで王国まで追い出されたのがダークエルフさんなのです!

 つーことはハーフエルフさんを無意味に虐待してるのは!


「コンプレックスなんですね……実はハイエルフの血統は王国にしかありませんでしたという……お前ら、実は見た目がエルフなだけで一人残さずハーフエルフなんですね!!!」


 まあハーフも含めてエルフは美形ですからね。

 繁殖力が高い人間さんが近くにいたらそりゃ交わるだろと。

 そうか!

 ハーフエルフがいるのに人間がいない理由がそれか!

 てっきり人間さんを皆殺しにしたのかと思ってたけど、違うんだ!

 そもそもハーフエルフしかいないんだ!!!


「く、くう! そうにゃ! この国のハイエルフはもはや私だけ! 私の子どもがハイエルフ出でなかったら……この国は滅ぶのにゃ!」


 そうか一族に先祖返りが出なかったのか!

 それで焦ってハイエルフの噂を聞いて確保しようとやってきたんですね。

 この世界の文明レベルじゃ遺伝などわからないは仕方ありません。

 孫の代に出ないとは限らない。

 それがわからなかったんです。

 更にそのオチまでわかりました!!!


「……エリザベス。エルヴィンってクラウディアの仲間でしょ?」


「ああ。究極の精霊魔法の使い手にして拳法の使い手、武僧(モンク)だよ。ダークエルフのね」


「ここにいないって事は?」


「絶対神討伐後に絶対神の分神と手を結んだんだろうね。呪いを解いて貰う条件で」


「そうですか! なるほどなるほどなるほどォッ!」


「ちなみに魔法使いで解説役(セージ)は……」


「理事長でしょ?」


 なんの捻りもありません。


「知ってたのか……」


「突っ込み入れるほど無粋じゃないです。過去なんて未来に比べたら無価値です」


 うわ私カッコイイ!

 くうぅッ惚れる!


 あ、内容はようやくわかりました!

 そして私の脳内に必勝の一手が閃めいたのです。


「ミリアム。取引です。私は竜殺しのアレックス! 絶対神をぶっ殺したスーパーウルトラセクシィなヒロインです!」


 私はとうとう名乗りましたとさ。 

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