表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王はリア充を滅ぼしたい  作者: 藤原ゴンザレス
第3章 産業革命編 頑張ったけど街が消滅しちゃった……もう自重しないもんね
51/65

王スポ

「一神教放火ってなんじゃわりゃーッ!!!」


 慌ててジェイコブのオッサンの元へ向かう私。

 ホテルのロビーではジェイコブさんがいてこっちに走って来ました。

 私を探してたようです。


「っちょ!これなんですか!」


「わからん!うちの新聞もなぜかやったことにしてる!」


「うがああああ!そもそもおかしいでしょ!多神教神殿襲撃と一神教に放火が同時なんて!」


 困りました。

 これはハメ殺しフラグです。

 断言できます。

 なぜ断言できるかと言うと、前世の私がやったからです。

 一方的に悪者にして攻撃しまくり。

 ネットが無いのでアホなマスコミにツッコミ入れて遊ぶ人たちもいません。

 ぬー。


「あークソッ!」


 私は携帯の『童帝』をタップ。


「あーレイさん……」


「はーい。レイちゃーん!なんかこれから声するのー」


 それは女の声でした。

 ……女……だと!


「うわッ! 貸せ!…(ガサガサゴソゴソ)…お、おう。アレックス!」


 ……レイ先輩は仲間(非モテ)だと思ったのに!

 レイ先輩の裏切り者!

 うわあああああああん!


「お、おい!アレックス!黙るな!どうした」


「えっとリア充(勇者)のレイ先輩。何の価値も無い非モテゴミ野郎のアレックスちゃんです。生きててごめんなさい。えーと、一神教の中央教会が放火されました。私が犯人にされそうです。現場検証したいので王城に使い出してください。生きててごめんなさい」


「なんでそんな卑屈なんだよ!」


「いやあアレでしょ! やらないか! あっはーんレイ様ス・テ・キ! ずぎゅーんばきゅーん! げへへへ俺はアレックスみたいなお子様と違うんだよ! 俺の爆裂魔法を喰らいやがれ! あっはーんって!」


「今の発言、一字一句違わず団長に報告するからな」


「ひいいいいッ!」


 鬼ですかあんた!

 どよーん。


「つうかあれ姉ちゃんな」


 ですよねー♪

 同じ非モテですよねー。

 仲間ですよねー。


「レイのア・ニ・キ! とにかく使い出してください♪」


 回線切断と。

 次はシルヴィアです。

 『相棒」をタップ。


「うーん。お外いやなのだ」


「いきなりそれですか!えっとマジでピンチです。連続放火犯に仕上げられそうです」


「おー知ってるぞ」


 知ってるんかい!


「犯人の心当たりでもあるんですか!」


「おー。あるぞー。でも証拠が必要だ。現場検証するぞ」


 さすが相棒!



 一神教中央教会跡。

 私達はマスコミを引き連れて現場検証です。


「やはりな」


 シルヴィアがドヤ顔晒しました。


「なにがです?」


「ステンドグラス見てみろ。割れたんじゃなくて溶けている。それに……」


「良くあることじゃないんですか?」


「よく見ろ、石造りの壁まで溶けている。普通の人間の技術ではまだこれは無理だろう。おそらく手口は教会内からの火炎魔法だ」


 確かに壁に空いた大きな穴に溶けたあとがあります。

 つ、つまり。


「あんたが犯人……でげぶらッ!」


 私の喉へ超高速のチョップがめり込みました。


「一緒にいただろが! 殴るぞ!」


 殴ってから言うのは 酷いと思います。

 ボケにも覚悟を固める時間というのがありましてね……

 私はまだボケとして甘いということでしょう。


「こんなことができるのは我らと誰だろうな?」


「あー。また勇者(リア充)ですか……」


 モヒカンのヅラが必要ですね。


「ジェイコブのおっさーん!」


 私は近くにいたジェイコブのおっさんを呼びました。

 こっちに走ってきます。


「なんか用か?」


「左翼系マスコミってどこの社ですかね?」


 共産主義がまだ存在しないこの世界での左翼系とは、ただ単に議会の左側のいる政党を指します。

 具体的には、海賊党のことです。

 ええ、あの勇者(リア充)どもです。

 彼らか彼らの関係者の仕業と見て間違いないでしょう。

 とは言っても、領地へのテロに関しては武器屋の嫌がらせ以外は関与してないそうですが……

 バイロンは野良の勇者っぽいですし、エリザベスの父親は党員資格は持ってなかったようです。


「王都日日かな?」


 王都日日新聞。

 発行部数数百部(だって文字読める人少ないもん)。

 お値段はギャグみたいに高い。

 一部銀貨5枚程度でしょうか。

 高給取りの船員さんの月給に相当します。


 紙も印刷所もうちの施設使っておきながらそれな。

 なんかムカつくわ。


 さて殴りに行きましょう。

 やー!


「なあアレックス……」


「なんですシルヴィア?」


「印刷所使わせなければいいのではないか?」


「……ん?」


 その発想はなかった。


「ちょ、ちょっと待て! 印刷所って! アレお前のものなのか!」


 ジェイコブさんが私の胸倉を掴みました。


「いやーそうみたいっスねー」


「ということは王都の書籍ビジネスの仕掛け人もお前か!!!クソッ!俺達は貴様の手の平で踊らされていたのか!」


 そう言えば最近安くなりましたね。本。

 追い出されたときより本屋がいっぱいあるんで驚いたんですよねー。

 そっかー私が犯人だったのかー(他人事)

 別に手の平で躍らせてるつもりはなかったんですけどね。


「いやー。なんか趣味全開で遊んでたらいつの間にかそんな感じに……」


「趣味だと! お前……印刷所の規模知ってるのか!」


「えー? 商業印刷で金とって、小説とか漫画なんかの同人活動の印刷を無料にしてるんでたいしたことありませんよー。商売なんて、税金払って従業員の給料出してちょろっと飲み代が残りゃいいんですよ」


 ね、そう思うでしょ?


「そんな規模じゃねー! 王都だけで創業2ヶ月で30店舗って世界征服でもするつもりか!」


 あー……増えたんですね。

 そういや従業員に『仕事多すぎて死んでしまうでござる。機械と人増やしてくださいでござる』って言われたので印刷機の増産したな。

 30店舗もあるんですね。

 いやー知らなかった。


「ちょっと待ってくださいね。詳しい数字調べますんで」


 ちょっと気になったのでローレンスさんにお電話。


「ひゃ、ひゃい! ローレンスでございます!」


 ここにもお爺ちゃんが……(ほろり)


「アレックスです。忙しい中すいませんけど聞かせてください。うちの印刷事業って凄いんですか?」


「現在、印刷事業はセシルグループの中でも急激に伸びておりまして、特に新聞事業は我々がいなければ成り立たないほどで……つまり」


「つまり?」


「すでに現在の時点で写本事業を独占しております」


 自分が知らないところで商売が凄いことになっている!


「もしかして新聞社買収できます?」


「はい。可能かと思われます。実際、すでに王スポはセシルグループの傘下です」


 先ほどからセシルグループというのが出てますが、あらゆる分野に手を広げすぎたので財閥形式にしました。

 BL本の印刷から流通、建築、白物魔道具、魔導パイプラインまで、それがセシルグループです。

 ちなみに王都青果組合や王都宝石商組合などに仕事回しまくっているので、他の商人の評判も悪くはありません。


「では日日を全力で買収してください! 手段は問いません。また何かありましたらお願いいたします」


「かしこまりました」


 回線切断と。


「えっと。ジェイコブさん……王スポって知ってます?」


 私は冷や汗を垂れ流しながら乾いた声でそう言いました。


「日付以外全てが胡散臭い新聞だな。とは言っても他の新聞も大して代わらんがな。値段が安いので商人などの中間層の読者が多い。今は『隣国は宇宙人と密約している!』の連載記事が人気だ」


 レベル高けーなおい!

 どうやら私の会社が知らないところで雪だるま式に規模を拡大しているようです。


 私は笑みを浮かべました。

 ええ。作戦思いつきました。


「犯人捜しを続けながら王スポとラジマゲドンで煽りましょう。もちろん日日に関してあること無いこと書きまくってです!」


「そんなことして顰蹙買わないか?」


「ジェイコブさん大丈夫です。私のバカ話も流しまくりますので。その辺はシルヴィアお願いします。バカニュースは瓦版とかの独壇場でしょ?」


「了解なのだ!」


「ジェイコブさん」


 うにゃり。


「お前の言うとおりにはならんぞ!」


「好き放題書いてください。今の悪巧みも含めてです」


 私は今まで一番邪悪な微笑みを浮かべたのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ