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魔王はリア充を滅ぼしたい  作者: 藤原ゴンザレス
第3章 産業革命編 頑張ったけど街が消滅しちゃった……もう自重しないもんね
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アレックスの仕返し

 あれからはお仕事が超忙しかったのです。

 早く兵隊さんにお土産を持って帰って欲しかったので仕入れのついでにサクサクッとボディを座席にしたトラックでシャトル輸送。

 3万人もいるのでかなりの日数が掛かってしまいました。

 やはり鉄道を作るべきですね。

 鉄道のチートっぷりは半端じゃありませんね。


 そんな中、私は仕返しのための作業に没頭します。

 ラジオ放送自体は文句のつけようがありません。

 なにせこの世界ではまだ放送法とかガイドライン自体が存在しません。

 プライバシーなどに至っては概念自体存在しないのです。

 何より新しい文化を力で抑え込むこと自体が私の美学的に許されないのです。

 文化は市民の手によって成熟されるべきです。

 例え嘘ばかり書いて利敵行為を繰り返すバカであっても、オシオキするのは世間様でなくてはなりません。

 民衆を扇動するメディアは民衆の手によって倒されるべき。

 私はそう信じてます。

 

 ラジマゲドンも同じです。

 今のところ被害者は私だけですし、それも悪意で行われたものではありません。

 酷い内容に関しても経験をつめば洗練されてくることでしょう。

 

 Q.あれぇ仕返しは?


 A.はい。領主としての力をラジマゲドンに振るわない。これは私の信念です。ですが私が個人的に仕返ししないとは言ってません。うふふふふ。


 ラジマゲドンの運営責任者は理事長。

 従業員は最近暇になった守備兵団&警察の連中。

 そこまでは突き止めました。それで充分です。

 私は羽ペンを走らせます。

 数百年ぶりの創作活動です。

 私は睡眠時間を削って仕返しに勤しむのです。

 うふふふふ。


 私の仕返し。それは所謂BLです。


 タイトルは『裸の騎士団』。


 女子禁制の男の世界。

 そこに放り込まれた領主の美少年。

 (私のことですが何か?)

 私を巡って起こる争い。

 ピュアな恋愛とホモォ。

 乙女の女子力(物理)と脳汁が解放される逸品です。

 たまに……ごくたまに理事長が縛られて総受けになりますがね(ボソッ)


 簡単に言うと。

 うわああああん。アレックスちゃん!理事長が酷いんだー!

 だーじょうぶだよ。アレックスちゃん。

 ぴこぴこぴこん。

 輪転印刷機ー!

 これで理事長が総受けになる薄い本を作って仕返しだー!


 よっし!なんか楽しくなってきたぞ。


 ※全て独り言です。


 ということです。


 小説の完成後、私は女性兵士にネオセシルの富豪の遣いを装い近づきました。

 そして手渡すのはBL小説『裸の騎士団』。

 それと秘密道具。

 やはり娯楽がなにもないこの世界。

 計画通り流行ったようです。

 でもまあ所詮はサブカルですから教会に影響出るほどではないでしょう。

 仕返しはそのくらいでいいのです。

 魔王は数多くあれど、くだらないものを作らせたら私は三千世界一です。


 えっへん!



「アレックス君。聞きたいことがあるのだが」


 殺気立っているのはラジマゲドン関係者一同。

 なんでしょうかね?うふふふふ。


「これは何かね?」


 理事長が差し出すのは、理事長っぽい男性が半裸で縄で縛られた表紙の薄い本。

 私は絵はかけませんのでどなたかの二次創作ですね。うふふふふ。

 この世界ではまだ存在しない紙製です。


 セシル領に限っては紙の生産は建材生産のついでに行っています。

 さらに言うと私は秘密結社的な創作者の横のつながりで印刷機を自由に使用させています。

 つまり元をたどれば私の犯行です。


「アレックスちゃんまだ5歳だから鬼畜系びーえるとかよくわかんにゃい」


 理事長のこめかみに血管が浮かびました。


「君、いや……君かその協力者の仕業だよね……ねえ?」


 裸の騎士団は私の作品なんですけどね。

 男の子が、こういうの書いたとわかると面倒なので黙ってましょう。


「やだなあ。何もシテナイヨ」


 私はしらばっくれます。


「いや……キミにしかできないのはわかっている……」


 そうでしょうね。

 でもこれでアイコだもんねー。

 絶対に謝らないもんねー。

 理事長は絞り出すような声を出します。


「……もっとだ……もっとやりたまえ」


 あれぇ?なにかおかしいです。


「っちょ!理事長なに言ってるんですか!止めて下さい」


 抗議する団員。私の気持ちがわかったか!ばーかばーか!

 ところが、その後の理事長の行動は私の予想を超えるのです。


「じゃかしー!お前ら!この芸術性がわかるのか!このクソつまらない世界にインモラルを持ち込むという革新性!受けのケツは普通と男とは違う!やおい穴の描写というファンジー!全てが素晴らしい」


 ……ただ単に具体的な描写がわからんかっただけだもん。

 しょぼーん。


「アレックス君……もっとだ……世界を壊せ!それがロックだ!」


 理事長ロックンロールの人なのか!

 餌あげてしまった。つまんない。しょぼーん。


「男色は教会にばれたら死刑ですよ!」


「それがどうした!一度は完全に死んだこのセシル領!最早怖いものなど何もないわ!」


 理事長は魔王時代(若い頃)を思い出し、完全に正気を失ってます。


「トラックにエアコンに印刷機に上下水道、プールにラジオにカラオケ!もうね!教会に目をつけられるのは時間の問題なんだよ!それなら攻めてしまえ!攻めて攻めて攻めまくれぇぇぇッ!」


 あははははははは!と笑う理事長。

 あー完全に壊れましたね。

 ああそうだ!用事忘れてた。


「あー理事長?そういや忘れてたんですが学校作りません?ここに」


「あははははは!魔法学校だね!いいだろう!今まで日陰者だった魔法研究者を呼び寄せるとしよう!」


 ヘブン状態の理事長はちょろいので大好きです。

 そんなささやかな復讐劇での勝利の余韻。

 それは次の瞬間ぶち壊されたのです。


「領主様!た、大量の客がやってきました」


 商工会関係者が悲鳴を上げながら駆け込んできました。

 


「無理なのだー!」


 ろり太郎侍の悲鳴が轟きます。


「しーらーぬーわー!」


 私は非常に切り捨てます。

 まさに外道!

 

 実は薄い本を渡した女性兵士さんには一緒に超小型電波中継基地も一緒に渡しました。

 彼女らには王都やその途中に適当に設置してもらってます。

 電気式とは違いマナを使い魔法で適当に増幅する方式ですのでいくらでも小型化できます。

 バッテリーは数年持ちますので、おいおい電波塔を建築すればいいかなと思ってます。

 そしてポータブルラジオを持った兵隊さんたちによって、ラジオは王都に三万個も持ち込まれました。

 あ、お子様のドワーフさんには無理させてませんよ。

 徹夜で作業させたのはパンチパーマのアホどもですからね。

 ブラック企業?いいえ。違います。だって労働法ないもん。


「ラジオ楽しい!私の一番好きな魔道具です!」


 瞳孔がかっ開いた目でそう言うのは元荘園主の男性(42歳)。

 セシルの街が滅んだのをいいことに私を抹殺しに来たアホです。

 どうやら一日16時間労働をさせた効果が出たようで、いい感じに仕上がって来ました。

 もう一押しして、天国と地獄の違いがわからなくなるまで追い込みましょう。

 

 へへーん。


 さて、ラジオを持ち帰った兵士さんたち。

 早速家族や友人に聞かせます。

 ラジオから流れるのは無駄に景気のいいネオセシルのニュースや時代を先取りしまくった自由な音楽……あと、ろり太郎侍。

 夢が溢れています。


 その後の展開は容易に想像できます。

 

 あるものは上司への贈り物として。

 あるものは生活や夢を叶える資金として売却。

 あるものは街頭で放送を流して(有料)。

 もちろん自分の家で使うのが多数派かと。


 贈答してよし、売ってよし、自分で使ってよし。

 ククククク。欲しいよな!欲しいよな!ふはははははははは!


 売って売って売りまくってくれるわああああ!


 このためだけにバスや宿泊施設も生産しました。

 パンチパーマ軍団の血と汗と涙の結晶です。

 そして私は魔王時代のような最高に邪悪な顔でお客様を出迎えるのです。

 圧倒的なプレッシャーを出すお客様。

 目の前に陣取るのは身なりのいい貴族のお嬢様方。

 彼女達は私の護衛として来ている守備兵団の面々に黄色い悲鳴をあげます。


「キャー!生『裸の騎士団』!」


 あっれー?


「ギル×レイ!ギル×ゼス!ギル×ニコ!ギル×レイ!ギル×ゼス!ギル×ニコ!ギル×レイ!ギル×ゼス!ギル×ニコ!ギル×レイ!ギル×ゼス!ギル×ニコ!」


 あっれれー?


「ホモをよこせえええええええええ!」


 あれれれれれれー?

 裸の騎士団大人気です。

 私は冷や汗を流しながら他の集団を眺めます。

 そこには身なりには最低限しかお金を使ってないと思われる大きいお友達がいました。

 彼らは雄たけびを上げました!


「エ・リ・ザ・ベ・スちゃーん!!!ひゃっほー!」


 ……うん。見なかったことにしよう。

 さらにその奥ではお年寄りの集団。


「のう、おばあさん。お侍様に会えるかのう?」


「お爺さん。きっと会えますよー。ねー?マー君」


「ろり太郎はぁはぁ……」


 ……やっべー。全方位で違う層に流行りやがった。

 しかもラジマゲドンのコンテンツ全てに金を湯水のように落としてくれる、大きいお友達のファンがいます。

 どうしよう。ここまで流行るとは思わなかった。

 これでステージの一つもやらなかったら……

 暴動が起こってまう!


 私は焦りながらシルヴィアのところに吹っ飛んで行くのです。

 ここで先ほどのやり取りへ戻ります。


「もうね!あんたらのステージにかかってるんです!ラジマゲドンの責任取りなさい!」


「にゃー!無理無理無理!」


 ろり太郎にはゴスロリ風にアレンジした(かみしも)を無理やり着せました。

 歌って踊るアイドルに仕立てる予定です。

 ろり太郎には前回の放送『ろりろり峠の三悪人』の劇もやってもらいます。


「エリザベス!あんたもですからね!」


「クラウディアの仰せのままに。ふふふふふふ」


 エリザベスにはアイドルっぽいヒラヒラとした衣装を着せました。

 ノリノリです。

 彼女はいつも歌ってる持ち歌だけなので楽でしょう。


「あ、あのう……領主のアレックス?」


「なんですかレイ先輩?」


「なぜ俺達の衣装は上半身裸で首にリボンなんだ?」


「エロイからです」


 私は断言します。


「いやあのね……」


「るせー!乙女の獣のような視線を受けやがれ!!!」


 レイ先輩は司会させるとして、ステージに不慣れな他の団員は騎士団唱歌とこの辺の民謡だけを歌わせる予定です。

 メンバーもギル主計長は捕獲しましたがゼス団長は逃げやがりました。

 おそらく逃亡を幇助したのはゼスさんの嫁のアデルさんです。

 私はいつか捕獲することを胸に誓いつつ宣言しました。


「このネオセシルの未来は皆さんのステージにかかっています!一緒に盛り上げましょう!」


 ボルテージを上げようと激励する私。

 死地に赴くかのような顔をする私以外。

 この世界初のアイドルのライブが始まろうとしてました。


 ……カオス気味に。

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