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魔王はリア充を滅ぼしたい  作者: 藤原ゴンザレス
第3章 産業革命編 頑張ったけど街が消滅しちゃった……もう自重しないもんね
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第3章プロローグ 真相

 こんにちは。アレックスです。

 未だに領主の館は仮設住宅です。

 でもマナエネルギー式のエアコンつけましたので結構居心地はいいです。

 そのせいか、なんかジジババが勝手に集会所にしてやがります。

 暑いの寒いのと小うるさいです。

 ちょっとイラついてないかって?

 ええイラついてますよ。

 エドガーとお話しないといけませんのでね!


「つまり犯人は海賊党ということですか?」


「うん。そうだよ。君らを何度も何度も殺した勇者の互助組合。それが彼らの正体だよ」


 あっさりと真相をベラベラと喋るエドガー。


「じゃあ、武器商人組合も……」


「そっちは違うよ。君も知っているだろ。この世で一番恐ろしいのは人の欲。利用はさせてもらったけどね」


 さらっとどす黒いことを口走ります。

 父親を封印したところ上機嫌で寝返ったエドガー。

 海賊党の党員の情報など知っている情報をベラベラと喋ってくれています。


「アイツらは何で私に嫌がらせするんですか?」


「キミを試そうとしたらやりすぎちゃったみたいだよ。さすがにやりすぎて街一つ潰しちゃったんで、しばらくは大人しいんじゃないかな?」


 ぶっ殺したい。割とマジで。

 つうか口で言え。人様巻き込むな。

 さすが魔王退治の旅の中で人様の家のタンスや壷を勝手に漁る連中です。

 自分以外はゴミ扱いです。

 こういうヤツラが深夜スーパーに子供連れで来て、冬に買ったスイカがまずいと難癖つけるんですね。


 Q.お前も問答無用で人類滅ぼそうとしたことあるよな?


 A.はい。ですが殺されまくったので学習しました。なるべく敵は作らない主義です。勇者とは違います。


「あ、そうそう。ボクも君のハーレムに入れてもらうことにしたよ」


 ハーレム?


「えっと何のことでしょう?」


「ガラハッドにダークエルフ。手当たり次第嫁にしてるそうじゃないか。

やっぱ男の子はダメだねー。エロいことしか考えてない。

でね、ボクも女の子になることにしたよ。今日からエリザベスって呼んでくれ」


「5才児には物理的に無理ってわかってますよね?」


「私も5歳だけどエッチなことしか考えてないよ?」


 ダメだコイツ。

 言ってることがムチャクチャすぎて、『でね』がどこに繋がってるのかすらわかりません。


「今からライバルを消していけばクラウディアを自由に。ウフフフフ」


 えんぴーばりー!

 ちーかーよーらーなーいーでー。

 バカがうーつーりーまーすー!

 

 しかしエリザベスの話は参考になりました。

 勇者の襲撃はしばらくは無いし、当面の敵は武器商人だけです。

 そしてこちらには切れるカードが何枚も。

 

 私は邪悪な笑みを浮かべます。

 今度こそ、あの忌々しい武器商人組合を泣かせる事ができるのです。


 うふふふふふふふ。


「あ、そうそう。クラウディア。武器商人に報復しようと思っても無駄だよ」


 え?


「組合の理事を調べてみなよ。各政党の党首に大臣に有力議員、それに高級官僚。へたに手を出すと国が止まっちゃうよ」


「王族でも無理ですかね?」


「無理だね。この国は議会ありの制限君主制。クーデターを起こして独裁でもしない限りは好き勝手はできないよ」


 やはり無理でした。

 裏技があるのかと思ってましたがダメのようです。

 うーん。殴りたい。 


「でもさ、嫌がらせする方法なら教えられるよ」


「へえ。話だけは聞きましょう」


 思わず笑みがこぼれます。

 ようやくこの怒りを八つ当たりできるのです。


「うふふふふふふ。素直な子は好きだよ。

そうだね。どこから話そうか……詐欺の件があっただろ」


 守備兵団に納入された不良武具。

 どうやら王国の各地で同じような犯行が起こった模様です。

 結局、犯人はエリザベスたちに粛清されて真実は闇の中に葬られました。


「あれねー。各地で監禁してたドワーフが脱走してね。納期に間に合わなかった業者が自分で作ったんだ」


 なにその超展開。


「でね。困った組合は口封じに支部を皆殺し。これが真相」


「嘘ですね。ドワーフさんを逃がしたのは海賊党。これが真相でしょ?」


 私はニヤニヤしながそう言いました。根拠はありません。カマをかけただけです。

 エリザベスも人懐っこい笑顔を浮かべています。


「うふふふふふ。やはりクラウディアはすごいなあ。でもそれは答えられないよ」


 でしょうね。

 あれだけ自分からベラベラ喋っていたのです。

 それが『答えられない』のですから。

 私の為か自身の為かはわかりませんが何か理由があるのでしょう。

 エリザベスを無理矢理吐かせるのは、私には無理でしょうし。

 話題を変えましょう。


「ドワーフさんたちはどうなったんですか?」


「安心して。逃げ切ったみたいで今も行方不明だよ。海賊党の手にも落ちてないよ」


 ああよかった。

 私は胸をなでおろしました。

 後で教えてやらないと。

 舎弟の不幸は嫌なものですから。

 そこまで考えて思いつきました。

 なるほど。

 ドワーフさんが肝なんですね。


「嫌がらせの方法ってもしかしてですけど……」


「うん。生産力とクオリティの落ちた組合。そして生産力を手に入れた僕ら。商売したらどうなるかな?」


 エドワードことエリザベスはボールがきゅっとなる笑顔でそう言うのでした。

 それにしても何ヶ月経っても武器商人が来ないのはそういう理由ですか。

 向こうも建て直しの最中だったんですね。

 ドワーフさんいないんじゃ無理でしょうけど。

 うん納得しました。

 

 それにしてもエリザベスの計画は穴があります。

 何が悲しくて相手の土俵で戦わんとならんのですか!


「もっと良い手があります。しばらく待ってください」


「さすがクラウディア!どこまでもキミに付いて行くよ!」


 ぞわっ。

 なぜか背筋が寒くなります。

 なに!何なの!

 どうしてこの笑顔を見ると本能的に恐怖を感じるのでしょうか?


「うふふふふふふふふふ」


 そう笑うエリザベスから、私は逃げ出しました。

 恐怖ゆえの行動です。

 あーソウダッタヨ。パパ ガ キテルン ダッケ ……


 

 シルヴィア救出の軍勢を率いていたのはパパでした。

 3万もの兵は空いてる建物が無いのでテントで休んでもらってます。

 それにしても……3万人もの観光客。その宣伝効果を考えただけで……じゅるり。

 おっと涎が出てしまいました。

 魔法温泉スパにプールの建設は間に合いました。

 (宿泊施設だけできていませんが)

 各種魔法製品のお土産。

 エメラルドを無償で配布してもいいかもしれません。

 それだけの投資をしても元は取れるでしょう。

 相変わらず食料はひっ迫してますが、冷暖房は作ったし冬に向けてハウス栽培の実験をやる予定ですので大丈夫かと。

 (フルーツは収穫まで数年かかるので無理なのが残念です)


 と、現実逃避をしているところです。


「君はなんて事をしたんだ!」


「アレックス!お前は何をしたんだ!」


 ダブルで怒られてます。

 ええ。理事長とパパにダブルで怒られているのです。

 私はへそを曲げます。

 怒られることなんて何もしてないのですから。

 

「ちょっと魔力プラントを電力代わりに500年ほど先の発明品で街を満たしただけじゃないですか!えっへん」


「開き直りやがった!」


「あのなアレックス。お前が優秀なのはわかった。でもな……物事には限度と言うものがあるんだ!」


「あのねパパ!バカな地方貴族が横領しまくり。エメラルド鉱山にオリハルコン鉱山。冬の食料は足らない。武器商人は好き放題やってるし鉱山狙ってる。巨大怪獣は襲ってくる!もうどうしろって言うのよ!」


「え?だって徴税官の出納帳ではキチンと税は納められてるし……怪獣だって初めての事なんだ!」


「嘘に決まってるでしょ!ホルローたち遊牧民は家畜食べられちゃうんで、一年間逃げ回ってたって言ってたよ。あいつら知ってて放置してたの!パパは一度でも視察してるの?してないでしょ!ここはとんでもない土地なの!」


 人と書類を信じすぎるのは人間としては美徳ですが、領主としてはゴミです。


「大体ね!セシルの街を滅ぼした怪獣!正体はパパが荘園任せてたチャールズ・コルソン一味ですからね!」


 口を開けて固まるパパ。

 なんでオヤジの不始末を私が片付けなければならない。


「理事長。本当ですか?」


「ええ。本当です」


「いやだって、お前の叔父さんもいるし……安全だと」


 ん?今なんつった?


「叔父さんって誰?」


 とたんにパパの顔が青くなっていきました。

 何か隠してます。


「あーいや……それはだな……とにかく大人しくしてること!わかったな!」


 パパはそう言って逃げました。

 やだぷー。

 いいもんねー。知ってそうな人に聞くもんねー。 


「で、理事長。教えてくれるんですよね!叔父さんの事」


 笑顔。


「ぼ、ボクもその件に関しては無理だ!無理だからね!」


 ふーん。そんなにまずいことなんですかね?

 私はさらに笑顔で続けます。


「他に誰が知ってますかね?」


「ろ、ローレンス氏だ……街の重鎮の彼なら知っているはずだ……」


 ふーん。

 


 ローレンスさんは私の設計したトラックの試作品を見学してました。

 サブが華麗に運転するトラック。

 領内を走っているインチキ軽トラとは違い完全なスペック追求機です。

 マナ&瘴気Wエンジン搭載。最大積載量25トン。最大時速100キロ。連続航行距離2000キロ。

 オリハルコン加工のエンジン&フレーム搭載で600馬力で連続稼動が可能。貨物コンテナに冷凍装置搭載。

 カーエアコンとカーラジオも搭載。

 魔法ラジオ放送は試験的に開始してます。

 エネルギーの供給がネオセシルでしかできないのが残念です。

 これでエメラルドを持っていって食料に代えてくることが可能です。


「いいでしょう。トラックは」


 最近、男の世界がわかるようになってきました。

 こういうの男の子は大好きですね。

 もういつまで経っても子供なんだから。(ドヤ顔)


「でかくて速くてカッコイイ。まさに男の夢ですな……」


「トラックの量産によって我々は物流を制することができます。なにせエネルギーは旧セシルの街でしか産出しませんので」


 今あるのはロードローラーにショベルカー。

 フォークリフトにブルドーザー。ホイールローダー。

 エメラルド鉱山や建築現場で活躍中です。

 フンフンフンフン♪

 何でしょうね?

 男の子になったら重機設計するの楽しすぎ!

 異常なほどテンションがアゲアゲです。

 そのうち船と飛行機も作ろ。

 陸海空を制し、最強の国家を建設するのだー!


「アレックス様は恐ろしくはないのですかな? 余りにも強大な力。それは、この土地が常に火種になるということです」


「それに関してもプランは考えてあります」


 そのプランには理事長の力が必要ですが、許可を出さざるを得ないようにしました。

 あ、そうそう。本題本題っと。


「ところでローレンスさん。私の叔父さんって誰ですか?」


 笑顔で圧力をかけます。

 ところがローレンスはなんでもないようにサラッと言いました。


「ゼス団長です。母上様の弟君にあたるお方です」


 やけにお尻ペンペンが容赦ないと思ったら身内でしたか。

 なんだー。でもなんで隠すの?


「なんでみんなして隠すんですか?おかしいじゃないですか」


「それには複数の原因がありますが、まずゼス様は非嫡出の身分です」


 道ならぬ恋の末ってヤツですかね?

 確かにスキャンダルではあるのですが、貴族社会だと珍しくもありませんね。

 将軍家の婚外子が騎士というのは割とあります。

 エリザベスレベルからが本当の異常です。

 うーん。隠す理由がわかりません。


「それだけだったら叔父と名乗っても問題ないようですが」


「これは公然の秘密と言うやつですが……シルヴィア殿下の御母上の弟君でもあらせられます……」


 Wオジキですと!

 いきなり危険度がMAXになりました。

 王族の血縁者が騎士階級で田舎で守備兵団の団長やってると。

 スキャンダルもいいとこじゃないですか!

 マジでシャレになりません。

 ああ、なるほど。

 あくまで一騎士であることを貫き政治とは一切関わらない。

 だから政治利用はされないで生きてこれたと。

 さすがゼスさん。納得です。

 良くわかりました。


「うん。聞かなかったことにします」


「賢明なご判断です」


 やっべー!

 これは絶対に触らないぞ!

 あとでめんどくさい事になっても触らないからね!

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