表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王はリア充を滅ぼしたい  作者: 藤原ゴンザレス
第2章 内政編 議会議員の司教を脅迫したら追放されたでござる
34/65

VS リョウメンスクナ 1

 剣で斬りつけると、爆発して瘴気を撒き散らすゾンビ。

 瘴気を撒き散らしながら攻撃してくる死霊騎士。

 それらによってセシルの街を覆った瘴気はどんどん濃くなっていく。

 ついにはそこ等じゅうに毒の沼が発生していた。

 倒しても倒しても事態は良くならない。

 シルヴィアはどんどん焦っていった。

 そんな焦りが団員にまで伝わったとき、それは起こった。


 悲鳴。


 上空からこの世の全てを呪うかのような悲鳴がした。

 それは人間の声ではなかった。

 男でも女でもない音。

 悲鳴は空に現れたものが出現する際の音であったのだ。 


 空を見ると、ぽっかりと黒い穴が空いていた。

 穴の出現とともにアンデッドやゴーレムが宙に浮いていく。

 そして次々と空にあいた黒い穴に吸い込まれていく。

 呆気にとられてそれを眺めるシルヴィアたち。


 突如悲鳴が止み、黒い穴から地面が響くかのような大きくて陰気な声がした。


「準備は完了した。お前らも俺もこの世に生きる全てを贄として闇に捧げる。ガラハッドよ。魂まで闇に喰らわれるがよい」


 黒い穴から手が出てくる。

 良く見るとそれはゾンビの塊であった。

 

 瘴気が一気に濃くなる。

 このままでは生身の団員たちは死んでしまうかもしれない。

 シルヴィアは団員に瘴気よけの結界を張る。

 これはマズイ。そう思ったときだった。

 

 カタカタカタカタカタ


 村正が揺れ始める。

 シルヴィアは何事かと思い村正を抜く。

 瘴気が村正に集まっていく。

 村正は黒い輝きを放ちながら瘴気を吸い取っていく。

 徐々に光は強くなり、村正は瘴気の代わりにマナを放出する。

 

「なんなのだ……」


 シルヴィアは黒く光る刀身を見つめていた。


◇ 


「な、なんじゃこりゃー!」


 私たちがセシルの街に着くと街は瘴気に包まれていました。

 街の入り口には人達が列を作り、守備兵団やダークエルフたちに先導されて非難をしてました。

 再突入を図ろうとするとしているのでしょう。

 濃い瘴気を前に守備兵団が作戦を練っています。

 恐らく無理でしょう。

 彼らは魔法も気功も使えない普通の人間ですから。

 この濃さの瘴気では倒れてしまいます。


「状況を説明してください!」


「アレックス様。住民の避難完了いたしました。ですが、この瘴気のせいでシルヴィア殿下の護衛をしていたギル主計長の班と連絡が取れなくなりました。中にも入れません」


「オリハルコンは?」


「持っていますが瘴気に効果がありません」


 厄介です。困りました。


「あ、アレックスちゃん!」


 ドワーフさんが手を振りながらやってきました。

 彼らが最後尾のようです。


「おさむらい様を助けれてくださいです」


 そう言うとドワーフさんは私に包みを渡します。

 中には金色に輝く剣。

 この異常な輝き、オリハルコンで磨いだパチモンではないと思われます。

 総オリハルコン製の剣。


「えくすかりばーです」


 王の剣ですね。鞘なくすと死亡フラグが立つやつ。

 ラスボス戦の装備です。

 またもや理不尽装備。

 もはやなんでもアリです。

 彼らにツッコみ出すと際限がないので細かい点はスルーです。


「ありがとう。今から助けに行きますね!」


 私はドワーフさんたちに礼を言いうと馬から飛び降り、気功を練って空を飛びました。

 もう、前に出るな!とか聞いてる暇はないのです。

 全部無視して救出しに行くのです。

 後ろを見るとエドガーが上機嫌で手を振っているのが見えました。


 怖いから見なかったふりー。


 中に入るとそこは地獄でした。

 遠くが見えないほどの濃い瘴気。

 瘴気のせいで自然発生する毒の沼。

 これだけ濃い瘴気ですと一般人では動けなくなるかもしれません。

 幸いなことにエクスカリバーの効果で私には瘴気の影響はないようです。


 シルヴィアへの念話も通じません。

 どうやら瘴気のせいで通信が届かないようです。

 困りました。


 おそらくチャールズ・コルソンは奥の手を隠してます。

 そうです。前世で発動させた、世界をアンデッドで満たす魔法。

 かなりやっかいな魔法がまだ残っているのです。

 

 歩く死体はどこからやってきたのか?

 墓場なのか。

 それとも他なのか。

 この瘴気は奥の手の発動条件なのか、それとも他に意図があるのか?

 それが問題です。


 私が考えていると空が光りました。

 雷? いや色が違う。あれは光属性の攻撃。

 光属性の攻撃が爆発する。

 一瞬、黒い瘴気のベールがはれ、そこから巨大な何者かの姿が現れる。

 身の丈数十メートル。頭の前と後ろに顔があり、腕が4本も生えた巨人。

 それが光属性の攻撃を受けていました。

 巨人がいる方向には領主の館。

 やはり巨人と戦っているのはシルヴィアのようです。



 私が領主の館に着くと、館のすぐ近くで激しい戦闘が起こっていました。

 ギルさんたちに瘴気よけの結界を張りながら器用に戦うシルヴィア。

 ディフェンサーとしてシルヴィアをフォローするのは光属性の死霊騎士。

 って、なに作ってるんですか!

 そう私は心の中でとツッコミながら、巨人に向かって飛び蹴りをぶちかます。

 エクスカリバーが黄金の光を放ち私を包む。

 豪音をあげながら私は加速していく。

 光に包まれた私の蹴りが巨人の肩の辺りにヒット。

 私の蹴りで爆発がおき、巨人が崩れ落ちる。


「助けに来ましたよ!」


「おう!早速で悪いが、作戦考えるのだ!」


 相棒は相変わらず酷いヤツです。


「あーっもう! 大きい相手と戦うときは?」


「アレックスが足止めして、我が大きい魔法!」


 はいよくできました!

 打ち合わせどおりです。


「じゃあ行きますよ!」


「スケさん!カクさん!アレックスを守るのだ!」


「オーケーボス!」


 私はエクスカリバーを抜く。

 剣が黄金に光りマナを放出する。

 魔法が使える!

 そう判断した瞬間には魔法を詠唱。

 大きいヤツでなくていい。

 足止めさえできれば!


 起き上がった巨人が足を振りかぶり、蹴りを放つ。

 私はエクスカリバーを地面に突き刺しマナを放出。

 そして詠唱していた魔法とは違うものを超高速で詠唱。

 多重詠唱。

 前世での私の得意技です。

 地面が隆起し巨大な棘になりながら巨人の足を襲う。


 アーススパイク。


 巨人は足に穴が空きながらも構わずアーススパイクを蹴り壊した。

 私は飛び上がり詠唱を続けながら、マナを放ち巨大な剣と化したエクスカリバーで巨人の足を切りつける。

 ゾンビを撒き散らしながら巨人の足が崩れていく。

 ゾンビでできた体は痛みを感じないようだ。

 その証拠に壊れた足で地面に立ち、器用にバランスを取っている。

 

 足を壊された巨人は四本の腕で殴りかかってくる。

 私は最初の魔法を詠唱完了。

 

 サラマンダー!


 巨大な炎の蜥蜴が巨人に襲い掛かる。

 私は同時にエクスカリバーで足に斬りかかる。

 エクスカリバーから放出される黄金のマナ。

 それは攻撃すればするほど、より強くより激しく放出された。

 巨人を形作るアンデッドがマナに触れた瞬間に消滅するほどに。

 

 ということは……!


 巨人がアーススパイクを受けたときに飛び散ったアンデッド。

 その行方は。

 ふと周りを見るとスケさんとカクさんが雑魚と戦っていた。

 スケさんが金属バット的なもので殴りかかる。

 だがその瞬間だった。

 ゾンビが爆発した。

 吹き飛ぶスケさん。

 同時にとてつもない勢いで瘴気が噴出す。


「リョウメンスクナよ!呪え!呪え!呪え!」


 怨嗟の声が空から響く。

 空にまた穴ができる。

 今度は穴から大きな眼が見えた。

 なんかイラッとした私は気功弾を目に向かって発射。


 人間のものではない悲鳴。


 目は血を浮きだす。

 その血が新たな死霊騎士になっていく。

 それがリョウメンスクナの手足を再生する。 


「何をしてるのだ!」


 さーせん。

 事態が悪化しました。

 うーん難しい。

 

 まとめると


 ・リョウメンスクナに攻撃 → 瘴気 → 死霊騎士生産 → リョウメンスクナ回復


 なるほど、倒せば倒すほど増えるアンデッド。

 一定数まで増えたらリョウメンスクナの生産と。

 バイロンの世界がどうなったかわかったような気がします。

 ということは全てを一気に吹っ飛ばすしかないんですね。


「シルヴィア詠唱終わりましたか?」


「終わった」


「今からアレを目の所に打ち上げます!一緒に消し去ってください!」


「了解である」


 私は新たな魔法の詠唱を始めました。

9/30 間違い修正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ