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魔王はリア充を滅ぼしたい  作者: 藤原ゴンザレス
第2章 内政編 議会議員の司教を脅迫したら追放されたでござる
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数字って美しい

 みなさんこんにちはでござる。アレックスでござる。

 今それがしは新しいキャラ付けの可能性を模索中でござる。

 ところで、ある世界の伝説のサムライは10歳の嫁をもらったそうでござる。

 それがしは5歳。

 あと5年であの伝説のウエディングドレスとやらを着れるに違いありませぬ。

 一度しか着ないドレスがレンタルなのにアホみたいな値段。

 値段を見たダーリンと朝まで大喧嘩。

 親まで戦いに乱入して親戚一堂巻き込んで大揉め。

 嗚呼、それすらも羨ましいでござる。

 羨ましすぎるでござる。

 憎しみだけでリア充を抹殺できるチートが欲しいでござる。


 ……うん。めんどくさい。やめよう。

 

 結局、あのゾンビは瘴気を撒き散らす特別製という事がわかりました。

 というかそれくらいしかわかっていません。なんでしょうね?

 現在調査中です。

 さて、今私は男爵領の地方貴族のリストを見ています。

 地方貴族は荘園主や徴税官などの役職についる人たちです。

 官位は低いので『厳密には貴族といえるか?』という所で学者間でも争いがあるそうです。

 現代で置き換えると税務署長クラスからが貴族と考えるとわかりやすいかもしれません。

 なぜ今までやらなかった地味な作業をしているのかと言いますと、つい先日アカデミーからの学生たちが到着したのです。

 これでようやく細かい分析が可能になったのです。

 なので早速分析をかけているところです。

 敵対組織が見えないのでまずは自分の部下の分析です。

 まずは平均的な作物の産出量を出します。

 これによって荘園ごとの出来高がわかります。

 私は最終的に税金として補填されればいいという考えなので黒字にはこだわりません。

 それよりもある程度の雇用を生み出し従業員に適正な報酬が払われ、それが物流に還元されていることが重要です。

 ごく小数の大金持ちを生み出すよりもある程度の余裕のある中間層が多いほうが良いことが多いのです。

 で、ここで重要なのはこの世界では生産技術はどこでも変わらないということです。

 つまり収益が高すぎる土地と低すぎる土地は両方とも要注意なのです。

 とは言っても、殆どは相場と言うものがわかっているのでボロは出しません。

 帳簿上は。

 そこで現代式の分析なのです。


 うふふふふふふふふ。


 私はニコニコしながら帳簿や日誌を分析します。

 嗚呼、数字って美しい。

 

 さて、私はある貴族に注目してます。

 その男はいわゆる荘園主。それも大規模な。

 もうこの規模だと村長と言ってもいいかもしれません。

 ただし村人まで荘園主の持ち物ですが。

 荘園の収益はごく平凡。

 良くも悪くもなく良いときも悪いときもあると。

 ただこの男に横断的な分析をかけると不審な数字が浮かび上がります。

 男爵領への貢献度が低すぎるのです。

 まず、逃げ出した小作人の人数が微妙に多いですね。

 罰金が払えない犯罪者の労役の受け入れもほとんどしてません。

 労役は無料で使える労働力なので競争率が高いはずです。

 しかも人口が妙に少なく増減も全くないと。

 確かに帳簿だけを見たら痩せた土地で平凡な収益を上げるためになんとかやりくりしてる様に見えるでしょう。

 私は騙されませんが。


 通常、収益に反して人数が少ないと一人当たりの労働が過酷であることは想像できるでしょう。

 これ自体は人間の命の価値が高い世界の考え方です。

 普通の領主は直訴されてはじめて理解できる話かもしれません。

 ですが、魔王を何度もやった私には非常に重要なことです。

 なぜなら反乱や一揆のフラグですから。


 なのに反乱の一つの起こっていない。

 完全に異常ですね。

 逃げ出した行方不明者が多いはずなのに!


 行方不明はいても餓死者は出ていない。

 セシルの街ですら前の冬には餓死者が出たのにです。

 餓死者が出れば補助金が支給されます。

 もちろん補助金支給の際はボンクラ領主でも調査は致しますがね。


 つまり、

・領地に貢献する気などない。

・調査はされたくない。

・行方不明者は中央に来てないし、あとは知らん。

・外からは人は受け入れない。


 ということでしょう。

 何でしょうね?これ。

 私の父親がこの異常性に気がつかないほどボンクラだったという動かしがたい事実は考えないようにしましょう。

 

 さてここで重要な情報があります。

 この男は税金を現金で納めてます。

 普通だったら現金で納めるのは非常に良いことなので推奨されます。

 作物の営業や売買までやってくれますからね。領主にとっては楽なのです。

 ですが山賊やダークエルフが闊歩するこの土地でどうやって作物を換金したんですかね?

 セシルの街すら通過してません。

 数十人程度の武装組織を作れる集団で商売した形跡がないのに現金をたくさん持っている。

 ホントなんでしょうね?うにゃり。


 私はその男の名前を確認します。


 『チャールズ・コルソン』


 会うのが楽しみです。


 

 さて。チャールズさんに会う前に税金を誤魔化してたイケナイ子にお仕置きタイムです。

 私はなんの捻りも無く帳簿を誤魔化してた荘園主や徴税官の中でも特に悪質な数人を呼び出します。

 隠蔽すらできないバカってどこにでもいるものですね。


 私は執務室に入ってきたおじさんたちを眺めます。

 まあ!なんと見事な成金スタイルですこと。

 私は足の先から頭までを観察します。


 靴は王都で流行している派手なウエスタンブーツみたいな靴。

 原色の水玉タイツに股間部分が開いたスカート。

 スカートの隙間からは宝石をちりばめたコッドピースが見えます。

 しかも先っぽが骸骨。

 コッドピースとはいわゆるチンコケースです。

 それ以上の説明は勘弁してください。

 肩からは動物の毛皮を羽織っってます。

 さらに頭には牛さんのような模様のついたテンガロンハットに宝石と水鳥の羽があしらえてあります。

 顔は白塗り、口元はカイゼル髭。

 顎髭までカールで先にはリボン。

 王都ですら見たことの無い超前衛的なファッションです。

 それが何人も。

 って誰が流行らした!私は絶対にあんな格好しませんからね!

 全く持って悪意しか感じません。

 金をどぶに捨てるとはまさにこのことでしょう。

 全身で幾らだこれ?

 私があまりの悪趣味さに目を丸くしてるとお貴族様(ブタ)が何を勘違いしたのか怒鳴り始めました。

 

「この程度の金のことで呼び出すとは無礼な!」


 完全に開き直っています。


「いいのか小僧!ワシがいなくなったら誰が荘園を管理する!困るのはお前だぞ!」


 バカです。バカがいます。

 ここには二軍どころか契約解除クラスの選手しか集めてないのです。

 コイツらの飼い主が助ける気がないのは調査済みですし、万が一反乱を起こされても全く困らないようなヤツしか呼んでません。

 男爵領への貢献度が著しく低くしかも金を懐に入れてる。そういう連中です。

 何の貢献もしてない無能の中の無能。

 キングオブ無能だからこそ呼んだのです。

 なのに現実がわかっていらっしゃらない!

 ですので馬乗りになって成金ブタをボコボコにする妄想をしながら私はニコニコと愛想よく言いました。


「やだなー。おじちゃんたちに貸したお金の話だよー」


 普段よりも高い声を出して子供をアピール。

 私は腹の中ではニヤニヤしながらベルを鳴らします。

 すると羊皮紙の束を持った理事長が入ってきます。


「アレックス閣下の補佐を致しておりますニコラスと申します。

これは過去10年間の徴税記録と同時に行われた貸付記録でございます」


 そう言って羊皮紙をブタどもに差し出します。

 横領と断罪すれば処分しなければなりません。

 でも処刑しても私が愉快なだけです。

 彼らの財産を切り売りしてもタコが自分の足食べてるようなものです。

 だって彼らの財産って私のものですから。


 だからお金を貸したことにしました。


 記録上お金が消えて誰かさんの財布に入ったのですから貸したと私が言えば貸したことになるんですよ。

 権力ってステキ。

 もちろんゼスさんのよる私へのオシオキレベルの非道な行いではありません。

 相手の経歴に傷はつかないし、私や行政のメンツも守られます。

 誰も傷つきません。

 うん、我ながらすばらしい解決方法です。

 私は心の中でゲラゲラ笑いながら無邪気な顔でサラッといいました。


「ねんりは25%でいいよ♪」


 法律上、領主に借りた金を返せない場合当事者は処刑です。

 主人の金に手をつけたんだから命で賠償しろという理屈です。

 横領が処刑なのも同じ理屈からです。

 財産や家族は領主が自由にできます。

 王都の裁判所の判例でも同じ見解です。

 これは理事長にも確認しています。

 利息に関してもトイチまで認められています。

 やはり法的な見解でも年利25%は異常な数字ではありませんでした。

 この世界では借金は短期の返済がメインですから。

 もはや『この程度の金』の話しではなくなってますが落としどころはちゃんと用意してます。

 そんなことを考えながら彼らを眺めているとどんどん顔色が赤くなっていきました。

 さて次は落としどころへの交渉ですね。うふふふふ。


「は、払わんぞ!払わんぞ!」


 豚が怒鳴りました。

 あっれー?私の予定と違います。

 そもそも私の目的は利子を払わせることではなく金で縛った奴隷を作ることにあります。

 金を貸しているので経営指導の名の下に作物の種類から荘園経営、肥料からなにから全てに口を出す予定でした。

 金は出すけど口も出すってやつです。

 反感買うだろって?

 なあに一度金の貸し借りの関係を作ってしまえば彼らも私に依存するしかありません。げひゃひゃ!

 それに税金を払いながら生活水準を維持できる程度に経営状態を良くしてあげれば表面上は文句も出ないはずです。

 もちろんそれは相手も理解しているはずでした。

 ですので次のステージでは、私の要求を呑む代わりに利息を下げる方向で交渉するのだと思ってたのです。

 ところが思ったよりもバカだったようです。

 これでも処分としては大甘なんですけどね。断ったら縛り首ですし。

 しかたがありません。

 交渉ができないレベルのおバカに一番効果的な交渉をしますか。

 私はニコニコしながら机の上にあったペーパーナイフを手に取り机の上の花瓶を切りつけます。

 パリーンという綺麗な破壊音がして陶器製の花瓶が真っ二つに。

 お、なかなか綺麗に切れました。

 私がブタどもを見ると、彼らは私を凝視してました。

 これは殺し文句を言うタイミングがやって来たようですね。

 あー。やだなー。あの台詞美しくないんだよなー。(棒)

 でも仕方ありません。私は美しくない台詞を吐きました。


「ねーおじちゃんたち。竜殺しのアレックスちゃんの裁定になにかご不満でも?」


 もちろん気功でオーラの幕を張りズゴゴゴという音をさせて圧力をかけます。

 いわゆる暴力を用いた脅迫です。美しくありません。

 私はそのままニコニコとしながらブタどもににじり寄っていきました。

 ペーパーナイフを持ったまま。

 顔に恐怖を浮かべるブタども。

 私はそのままペーパーナイフを近くのブタの股間、コッドピースに振り下ろします。

 先端の骸骨部分を一撃で切断。

 コッドピースの先端の骸骨が下に落ち室内に金属音が響きました。

 私はまた高い声で言いました。

 

「あーやっちゃったー。ごめんなさーい。おじちゃんたちの借金からひきますねー」


 もちろん棒読みです。

 このころには全員が私を見てガクガク震えてました。

 バカを説得するのは楽ですね。

 てへ♪逆らうと殺っちゃうぞー♪


「たち?」


 理事長が首を傾げました。

 ここは打ち合わせてません。

 私はとびきりの笑顔でこう言いました。


「うん連帯債務だよー。おじちゃんたち全員が全員の借金の全部を背負うの。一人でも逃げたらわかるよね♪」

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