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魔王はリア充を滅ぼしたい  作者: 藤原ゴンザレス
第2章 内政編 議会議員の司教を脅迫したら追放されたでござる
19/65

お説教&お尻ペンペン(気功無効、魔王キラー、ずっとゼスのターン効果)

 私がリアクション芸人のように調子に乗ってひどいわーと言っていると真面目な顔でゼスさんが質問し始めました。


「ところでアレックス様。

敵対組織の裏切り者候補を割り出してから具体的にはどうするのですかな?」


「あ、はい。

たとえばマフィアや山賊ですが、まずは貢献度が低い幹部でなぜか重用されているやつを裏切らせて呼び出し殺します。

過大評価されてるやつなんて大した情報は持ってません。

ですが万が一を考えて一応殺すまでに拷問しておきましょう。

死体は彼らのアジトにでも投げ込んでおけばいいです。

そして死体発見後、仲間内の評価が微妙なヤツが死んだことによって連中は疑心暗鬼になります。

次に同じく評価が微妙なヤツを殺します。

タイミングさえ合えば敵対組織の仕業だと勘違いするでしょう。

まさか領主の犯行だとは夢にも思わないはずです!

げひゃひゃひゃひゃひゃ!

抗争を激化させ組織を疲弊させるのです!(スイッチ入った)

その後、パニックに陥ったマフィアを離反工作で裏切り者を出させて組織の全様を吐かせます。

この頃には組織はもう終わりだと勘違いしてますからベラベラ喋ってくれるでしょう!

その証言から犯罪行為が見つかるでしょうから罪を水増しします。

罪さえあればどんな非道な殺し方でもできます。

恐怖で逃げ回るネズミどもの姿が思い浮かびますわ!ゲラゲラゲラ!

勝負はスピードにかかっています!

我々に暗殺者を送り込む暇もないくらいの電撃戦です!

最終的には後でめんどくさくならないように早い時点でこちら側に寝返った幹部以外皆殺しです。

うひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!踊れ!逃げ回れ!虫けらども!(ヘブン状態)

残った幹部も裏切り者として一生命を狙われるでしょうから良い死に方はできないでゲブラッ!」


 私の目の前に火花が散りました。

 それと同時に伝わる衝撃。

 それは拳骨でした。

 ゼスさんに拳骨されたのです。

 頭を抱える私をゼスさんは無言で自身の脇に抱え上げます。

 それはあの伝説のお尻ペンペンスタイル。

 そうお説教が始まったのです。


「騎士とは何ですかな?アレックス様」


 なななななな何?

 声のトーンがむっちゃ低いです。

 わ、私に脅しが通じるとでも思いますか!

 負けませんからね!

 質問の意図がわからないので私は反抗心むき出しにしてごまかす様に答えます。


「私は政治家です」


 パーンッ!お尻に衝撃が走ります。

 ちょっと待て!今気功のバリア突破したよな!

 お尻ペンペンに気功無効化効果があるなんて聞いてないぞ!


「貴方様は将軍家のご嫡男です。

これから一度は騎士になるご身分です。

その運命からは逃げることができません」


 パーンッ!もう一度お尻を叩かれます。

 ひぎいい!痛い!

 パパにもぶたれたことないのに! ※シルヴィアにはよく殴られてます


「もう一度聞きます。騎士とは何ですか?」


「わだしはぜいじがです」


 パーンッ!

 っちょ!仲間がぶたれてるのに何黙ってんですか!シルヴィア!理事長!

 私は非難するような目を向けます。

 目をそらしてました。二人とも。

 お前ら止めろ!な、マジで!

 パーンッ!えぐッ!二度ぶった!


「騎士とは何ですか?」


 私は妥協して素直に答えます。


「正義です!!!ぐすっ……」


 私が大嫌いな胸糞悪い言葉を無理やり言わされました。

 この人鬼だ!


「よろしい。

では正義をなす為には何が必要ですか?」


「建前と隠蔽工作です(キリッ!)」


 パーンッ!

 ぴぎゃああああああああッ!

 本気で答えたのに!何!何が悪いの!


「もう一度聞きます。我々が正義をなすには何が必要ですか?」


 わ、わかりません。マジでわかりません……

 正直に答えましょう。


「わ、わかりません」


「わかりました。お教えしましょう。それは信念です。悪と戦うため信念です!」


 はい?つまり精神論?

 ぶ、文化が違う。意味がわかりません。


「信念を持って悪と戦うためにはどうすればいいかわかりますか?」


 またもや意味不明な質問です。

 質問の意図も全くわかりませんが正直答えます。


「もちろん相手より数段上の非道な手法に出るべきです(キリッ!)」


 ズパーンッ!ひっぎいいいいいいッ!

 尻が消滅したかのような衝撃。


「国と民を守る騎士や領主が自ら非道な行いをしてどうする!」


 パーンッ!


「で、でも国や民のために私は!」


 パーンッ!


「シルヴィア!理事長!あなた方も政治家として同意してくれますよね!」


 私は涙目で助けを求めます。

 

「ナ、ナノコト?セイギカコイイ、ノダ」


「ウ、ウン。セイギダイスキ」


 こいつら!ざっけんなあああああ!

 もうこの時点で交渉は諦めました。

 素直に聞きます。


「じゃ、じゃあ。どうすればいいんですか?具体的にいえますか!」


「ギル!騎士団十戒独唱!」


 そうギルさんが号令をかけるとギルさんが脊髄反射で直立不動の体勢になり、恐ろしいほどの力強さで十戒を口にします。


「強くあれ!

 勇敢であれ!

 高潔であれ!

 正直であれ!

 誠実であれ!

 寛大であれ!

 礼儀正しくあれ!

 崇高であれ!

 高邁であれ!

 全て正義の名の元に!」

 

「え?なにそれ無理」


 つい口を滑らしてました。

 パーンッ!パーンッ!パーンッ!

 三回もぶったぁー!


「卑怯は悪です。悪だからならぬのです!」


 ムチャクチャだ!この人ムチャクチャだ!

 つまり彼の主張はこういうことです。


 つまんねえ理屈なんざ知るか!正しいことをしろ!(異論は認めない)


 この理不尽に私はかつてないほどの怒りを感じました。


 だいたい正しいってなによ!

 正義って何よ!

 その正義って誰が決めたのよ!

 レンフォールみたいな野郎が正しいのかよ!

 ふざけんな!


 理不尽への私の怒りを感じたのかもしれません。

 ゼスさんはきっぱりと宣言しました。


 「アレックス様においてはご不満もおありでしょう。

一人前の騎士となられたあかつきには我が首を差し上げまする!

ですが私の目の黒いうちは悪に手を染めることは絶対に許しません!」


 難易度ナイトメアモードからインフェルノモードへの変更のお知らせ。

 真のラスボスは部下の中にいたのです。

 首なんていらねえから言うこと聞けよ!

 抗議の意思を表明する代わりに足をバタバタさせる私。

 そんな私にゼスさんはさらに畳み掛けます。


「私には貴方様を一人前の騎士にする義務があります!ついては来週から週一回見習いとして研修を受けてもらいます!」


 え?今なにを?騎士……見習いとして働けと?

 そんな面倒なことはできません。

 時間も精神力も足りないのです!つうかヤダ!

 『ハイ』は押忍!『イイエ』そんなものは存在しない!

 体育会系のそういうノリが無理なのです。

 そんな文化は繊細な私には耐えられません。

 前世でも男目当てのテニサーすら孤立して挫折したのに!

 そ、そうだ!中等部出てないと 騎士にはなれないはずです。


「り、理事長!私、最終学歴小学校中退ですよね!(震え声)」


「ごめん。言うの忘れたんだけどキミ学位持ってるから」


 はい?


「画期的な薬を開発した人間を追い出すのはアカデミーとしても体裁が悪いから理事会で学位贈呈が決まったんだ。大学卒業おめでとう!」 


 はい?

 しかし考えてる余裕など与えられません。

 ゼスさんは固まる私に羊皮紙を差し出します。

 私を脇に抱えたままで……

 逃げ出さなきゃ逃げ出さなきゃ逃げ出さなきゃ逃げ出さなきゃ逃げ出さなきゃ逃げ出さなきゃ!


「御父上様からも陛下からも教育係を正式に任命されております!これが任命書です」


 しかし回り込まれてしまった!

 すでに全方位ガッツリ囲れてました。

 逃げ出す穴が見つかりません。


「し、シルヴィア……助けて……」


 私は助けをマジで求めます。

 もう偉い人に頼るしかないのです。


「あ、あの!領主の仕事は凄くたいへんなのだ!それはさすがに酷すぎると思うのだ!」


 よっしゃ!我が親友はなんとか助けてくれそうです。持つべきものは友です。


「シルヴィア殿下。貴女にも我が妻を教育係につけます。こちらが正式な任命書です」


「え?」


 シルヴィアも固まりました。

 目の前の脳筋ゴリラの妻です。

 鬼に違いありません。


「あうあうあうあう……ぴいいいいい!女の人と会話するとか無理なのだーーーーーー!」


 おい。現役女子。


「なにをしゃべればいいのだ?ああ……歯磨いて服装ちゃんとしなきゃ。頑張ってもどうせ裏で『キャハ!あの子臭いぃ♪』とか言うのだ!そして指差して笑いものにするのだ。しかも倒しても倒しても延々仲間呼び続けるのだ。殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ!」


 シルヴィアが過去の辛い体験を思い出して壊れました。

 肝心なところで役に立ちません。

 殺さなきゃを連呼するシルヴィアを前に私は己の尻をどう防衛するのかだけを考えていました。

ゼスさん = 理不尽 です。

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