表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王はリア充を滅ぼしたい  作者: 藤原ゴンザレス
第1章 魔王が転生しました
13/65

リア充はじめました

 はぁーい☆魔王ちゃんだよ!

 あの議会での演説(ただの恫喝)でアタクシにハートをズギューンされち ゃった美少年増加中!

 とうとうアタクシにモテ期の到来!

 こーんなにラブレタア貰ったよ!

 はい。読んでみましょう!


 親愛なるアレックス様

 小生あの議会での演説にいたく感動いたしました。

 ついては薄汚い売国奴に支配された我が国家を再び我らの手中に収める手 助けを!

 今こそ薄汚い虫けらどもを抹殺するのです!

 殺せ!焼け!焼き尽くすのです!

 どうか我々の血盟にご入会を……


 グチャッ!ッポイ!次!


 あの声が聞こえる。

 笑い声だ!ヤツラに付け狙われてる!

 ヤツラを滅ぼさなければ!

 賢いアレックス様ならわかるでしょう!

 全て教会の仕業なのです!

 我々を集団でストーカーするヤツラ……殺される前に殺さなければ!


 ビリビリッ!ッポイ!次。


 アレックス卿。

 金貸し……


 ぐちゃぐちゃぐちゃげしげしげしぐりぐりッポイ!


 ……大丈夫なのかこの国。貴族やべえぞ。

 最後に残ったパパが上機嫌で渡してきた羊皮紙に賭けるしか!



 勅命


 アレックス・シーモア=セシル セシル男爵領領主

 プリンセス・シルヴィアとの婚姻の件について召喚を命ずる。

 三日後に後見人実父アイゼンハワー・シーモア=セシル シーモア伯爵領およびその他諸領地領主を伴い王城へ登城せよ。


 国王 ジェイムス1世



 この世界の爵位は『どこどこの領主』というのを表すものです。

 ですので爵位間の上限関係はなく伯爵領の領主だから伯爵、男爵領の領主だから男爵という程度のものです。

 貴族間の上下関係があるとすれば職業軍人の家系以外で構成される議会での役職くらいでしょう。

 職業軍人の家系の我々はあまり関係ありません。別枠です。

 蛇足ですが、お金持ちは偉いですね。商人でも豪商レベルだと我が家より発言権があります。

 領地経営がド下手なうちには関係ありませんが(血の涙)


 それはいいとして私って男爵だったんだ。へぇー領地あるんだ。

 何してもいい広い土地。趣味の園芸で遊べますね……うふふふふふ。


 って婚姻ってなんじゃい!ゴラァッ!!!



 私は今、理事長のとこでお茶しています。

 理事長は我々の秘密を知っているのでクソむかつくけど相談するにはちょうどいいのです。


「そりゃ当たり前だよ。アレックス君」


「いやね!私もシルヴィアも5歳ですよ!少しは常識というものを!」


「結婚は王侯貴族の義務だよ」


 あっれぇ?おかしいです。

 本当に王侯貴族の義務なら私は……なんで処女……

 私は疑問を口にします。


「じゃあ……なんで……私は全ての前世で誰にもお嫁に貰っていただけなかったので?(震え声)」


「うん……まあ……ねえ」


 理事長は一瞬哀れな生き物を見るような目を私に向けたあと、すぐに露骨に目をそらしました。

 声上げて泣いていいですか?


「話を元に戻すとね……はっきり言って国は君もシルヴィア様も持て余してるんだよ。なんせこの世界最強の二人だ。誰が制御できるかな?じゃあ一個にまとめちゃえ!ってね。まあそういうことさ。それにもっと前から計画自体は存在したらしいけどね」


 自業自得ですと!


「私の美少年ハーレム計画はどうなるとですか!」


「ぶっちゃけこの国では男色は死刑だよ。君を逮捕できる人間がいるかは疑問だけどね」


「私は魂は女です!女のように愛して欲しいと思ってるだけのどこが悪いんですか!」


「あはははははは。全部かな。……でもそれが原因で暴れたらマジで世界敵に回すからね」


 ロリはOKでホモォがだめな世界なんていつか滅ぼしちゃる。


「あの……できれば国家の干渉などなく放っておいて欲しいのですが……」


「あははははは!世界を滅ぼせる君らを放っておけるとでも思うのかい?賭けてもいい。君らのこれからの人生はしがらみでがんじがらめにされ続けるよ。僕もそうだった!」


 理事長の目が本気と書いてマジでした。

 目だけ笑ってません。

 つかちょっと待てよ……


「もしかして理事長……」


「ああ、僕も元魔王だ。ただ君らに比べたらゴミみたいなものだがね」


 最初から言えー!!!


「他にもいるので?」


 当然の疑問です。我々がたくさんいたら私も少しは自重すべきです。

 いなければ好き放題やりますけど。


「いいや。僕もこの世界は長いのだけど元同業者に会ったのは君らが初めてだよ」


 私は理事長の発言か本当かどうか考えました。

 嘘をつく理由はありません。ですが……


「おっと。妻との待ち合わせがあるんだ。そろそろ失礼していいかな?」


 そんな理事長は部屋の隅に立てかけている外套を取り出かける準備をし始めます。

 私は時間がないので最後の質問をしました。


「……えっと理事長はご結婚されてるので?」


「ああしてるよ。子供が三人。孫が四人いるから……しがらみでがんじがらめさ」


 孫?目の前の白髪長身の男はどう見ても30代……いや20代でも通用します。

 つうかこのオッサン何者だ……

 それにしても結婚か……しがらみとして単純にして巧妙。

 確かに押さえつけたい相手に友情以上の感情を与えることができれば効果は抜群です。

 打開策を考える私を見て理事長はニヤニヤとした顔で笑いかけます。


「まあせいぜい許された範囲での自由を楽しみたまえ。じゃあねー」


 私は最後に野郎が浮かべたニヤニヤしたツラを一生忘れません。

 忘れませんからね!

 私の負け犬の遠吠えが私の中で響きました。



 役に立ちません!大人なのに!権力者なのに!

 そこは裏から手を回して助けてくれるとこでしょ!!!

 私は怒っていました。


 自業自得じゃん?

 うるせー!!!反省できたら魔王なんてやってないわー!


 フラストレーションたまりまくり。

 さてストレス解消しましょう。

 今、私は黒幕レンフォール司教のおうちの裏にいます。

 で、私の足元にあるのは、はらわたぶちまけた馬の死骸。

 あ、殺生してませんからね。事故死したのを片付けてあげるからと貰ってきました。

 生き物には罪はありません。

 その死骸も本来はこのように扱ってはならないのですが……

 とりあえずごめんなさいをしておきます。

 ついでに念仏も。おーみどーほー。


 そして私は形ばかりの供養をしたそれを大きく振りかぶって!!!

 元気よく投げ込みます!


 ガシャーンという音。何かに当たったかな?まあいいや。

 すぐに悲鳴があがります。

 ゲヒャヒャヒャヒャヒャ!!!ルンタッタールンタッター。

 私はピンポンダッシュをしたガキんちょのようにスキップしながら逃げていきます。

 そんなことしてもバレるだろって?

 別に構いません。現行犯で捕まらなければいいだけです。

 あとはどうにでもできます。


 酷いヤツ?

 いえいえ。私も異端審問で追われるのはイヤなので必死です。

 ですから、私に喧嘩を売るということがどういうことなのか教えてあげたいのです。

 私はいろいろ調べました。

 坊主は結婚しないのですが、そこは権力者!

 いないはずの子供の存在がありやがりました。

 週一で通ってパパやってるそうです。

 それがこの家です。

 いきなり子供さらって小指送りつけたりしないだけ優しいんですよ!超イージーモードです!


 ええ。いきなりはしませんよ。これ以上、我々の事を詮索しなければ。うふふふふふ。(ゲス顔)



 子供らしいかわいいイタズラをしたあと上機嫌でおうちに帰った私を待っていたもの。

 それはシルヴィアでした。

 私は真剣な顔をしてシルヴィアに聞きます。


「例の話聞きました?」


「結婚の話か?」


「そうそう。全力で妨害しましょう!」


「うーむ別に妨害しないでいいぞ」


「っちょ!マジで結婚させられたら、私とおしべとめしべがナニしてアレするんですよ!わかってるんですか!」


 私は動揺しながら、わけのわからないことを口走ります。


「いやー言うの忘れてたんだが……我はバイだぞ……まあ清い体=全転生だが」


「いやあああああああああああああああああああああッ!」


 私は少女のように悲鳴を上げました。

 もう遅かったのです。

 私の周りはすでに全方位ガッツリ包囲されていました。


「あがががががががが……あんた!私の本性知ってるでしょ!」


 動揺のあまり何を言ってるかわからなくなってきました。


「我の本性も知ってるから気を使わないでいいし、疲れなくていいのだー」


 あかん。話が通じない。

 頭痛が痛いです(動揺)。

 世界が……世界が回ります。

 めまいのあまりヒザから崩れ落ちる私。

 それを見てシルヴィアが一言。


「そこまで動揺するのはさすがに失礼だと思うぞ。あいかわらずメンタル弱いのー」


 ってめ!ざけんなゴラァ!

 と喧嘩を売る気力もなくスライムのように回る世界から逃げるように這いずり部屋から撤退する私。


 ああ、こういうときは果物……飴……とにかく糖分です。

 そうです!糖分のために一時撤退するだけなのです!


 泣いてなんかいません。

 泣いてなんかいません!

 全てはリア充どもの罠なのです!

 人類なんて……人類なんて……いつかぶっ殺してやる。

 うわああああああああああん!


 元魔王アレックス・シーモア=セシル5歳。

 彼はまだ自分がぼっちでなくなったことを理解していない。


 第一部・完

前回、更新の間隔が空いたせいか酷いミスがあったので強引に修正しました。

伯爵領の名前が抜けてるのを修正。


6/17 激しくおかしいところを修正。うん何考えてたんだ私。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ