おっす、オラ無職!
俺は無職になった。
いや、元々クズカメラなんて世間から見ればペットのような扱いなので、ニートが無職になったくらいの感じだろうか。
しかし、これには『配信を世界に広めるため』という崇高なる目的があってのことなので、別に無職でも悲しくはない。
……悲しくはないぞ!! 無職とは自由でフリーダムだ!! オールマイティでトランプのジョーカーだ!!
前前世のトラウマらしきものを刺激されたのか自分でもあり得ないような歪んだ表情をしながら、目的地へとやって来た。
さて、配信を世界に広めるための次の一手――それは新たな才能を発掘することだ。
さすがに歩いていてまたクロレベルの原石に出会うとは思えないので、配信者が多く在籍する冒険者ギルドの集まりにやってきた。
ここにパートナーとして入れば、才能持つ配信者を見つけることもできるだろう。
「面接を受けに来たクズカメラのヤマダと申します」
受付は困惑しながらも、面接官がいる部屋まで案内してくれた。
その部屋で面接官たちと向かい合い、椅子に座って――もといサイズ的には椅子に乗ったところで就活というトラウマが蘇ってテンパってしまう。
「名前にヤマダとありますが、クロ・クロウリィの元パートナーさんですか? 本当に?」
「は、はい」
「うーん……そのような方がここに来られるとは思いませんが……」
初っぱなからメチャクチャ疑われているようだ。
そういえば、クズカメラの俺には身分証なんてものは存在しないからこの場では証明することができない……やばいな……。
「履歴書には『特技は進化の秘玉』とありますが、これはどういう意味ですか?」
「はい、進化の秘玉とは自分でもよくわかりませんが、何か一定時間進化することで進化的なパワーを得ることができます」
やややややややばい、自分でも何を言っているのかわからない。
変な構文になってしまう。
「……で、その進化の秘玉はこちらで活動するにあたって、どのようなメリットがあるのでしょうか?」
「はい、モンスターが襲ってきても人間(全裸)形態になって敵を押さえ込めますよ」
「では、実際に使ってみてください」
おっ、脈ありやんけ!!
これは進化の秘玉でイケメン(たぶん)の〝ヒトカメラ〟になってアピールすれば勝ち確だぜ!!
よし、進化の秘玉でヒトカメラに……!!
ぬん……!
……ヒトカメラに……なれない……な!
「どうしました?」
「少々お待ちを」
力む、メッチャ力む。
しかし、進化しない。
「もういいです、帰ってください」
「あれれ? 怒らせていいんですか? 本当に使いますよ、進化の秘玉を」
「どうぞ使ってください。その進化の秘玉とやらを」
「じゃあ、お言葉に甘えて……うおお! 進化の秘玉!!」
「……」
やはり発動しない。
面接官の視線が痛い。
俺は椅子からシュタッと降りて、ドアへ移動しつつ、ふり返りながらキメ顔で言った。
「……運が良かったな。今日は調子が悪いようだ」
「二度と来ないでください」
***
俺は新たに出来たトラウマによって悶えながら、地面をゴロゴロと転がっていた。
はずかししゅぎるううううう!!
進化の秘玉、全然コントロールできないじゃん!!
え? 面接なんてクロとかミミルに頼めばどうにかなりそうだって?
それじゃあ格好付けて独り立ちしたのに、すぐ頼ってしまうということになるだろう……。
まるで実家を出てひとり暮らしを始めて、速攻で母親に頼るシチュのような。
お、俺にだってプライドが……!!
「はー……現実逃避に配信を見よ……」
雑談配信を流行らせたから、そういう枠が結構あるな。
その中にはトーク力が足りなくて、雑談配信でも炎上に頼る者も出てきているか。
サムネイルを見ると『あの人気配信者クロがパートナー種族と熱愛!?』とか書いてある。
……どこの世界でも週刊紙みたいな内容になるんだなと思ってしまう。
俺が一瞬だけ人間形態になれたから、こんな噂が流れているのだろう。
こういうのが以前にもあったので、クロに対して『きっぱりと否定した方がいいのでは?』と提案したこともあるのだが『このままでいいですよ』と笑顔で返されてしまった。
伝説の呂布――じゃなくて風説の流布はよくないと思うのだが、本人がこのままでいいと言っていたので仕方なく放置だ。
まぁ今のところ過激な誹謗中傷にも繋がっていない。
「他に何か配信やってないかな。……あ、バド・バズの奴がまた炎上配信をしてるっぽいな」
タイトルは『新人に危ないドッキリを仕掛けてみた』だ。
アイツらのことだ、本当に冗談じゃなく危ないのだろう。
配信を実際に見てみると生配信中だった。
バド・バズたちが、かなり若い……幼女と言っても過言ではないくらいの娘に対して指差して。
『お前はもうPTにいらねぇ! 追放だ!!』
――と、言っていた。
俺はクロを思いだし、またバド・バズが理不尽さをぶつけているんだろうと察した。
『ひどい……。そっちから誘ってきたのに……』
ボロボロの姿の幼女の呆れたような声。
そこで配信は終わってしまう。
「さすがに度を超えたことをやっていたらミミルに通報しないとな……。どういう事情でこうなったのか確認するか」
しばらくするとアーカイブ化――ようするに生配信の録画が見られるようになったので、最初からチェックすることにした。
何事も行動を起こす前に、きちんと一次ソースはチェックした方がいい。
そうすれば世間の噂などに流されることもないし。
まぁ、バド・バズが悪いというのは予想できるが。
面白い!
続きが気になる……。
作者がんばれー。
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<(_ _)>ぺこり




