表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/9

二人だけの卒業式と口付け

 それからのことを話そう。

 俺の進化の秘玉の効果は一定時間で消えて、元のクズカメラに戻った。

 そして、クロは無事に石化病の薬を手に入れた。

 母親にそれを飲ませると、すぐに具合が良くなり歩けるようになっていた。

 そのときの様子も本当は配信したかったのだが……少し無粋だと思ったので、後日リスナーたちに口頭で伝えるだけにした。


 号泣しているリスナーも多かったらしく、何だかんだ良い奴らだと思った。

 さて、次はこれからのことだ。


「クロ、俺はお前の専属カメラから卒業しようと思う」

「えっ、冗談ですよね……きっとこれも撮れ高とか言って……」

「いや、配信はしていない」


 今、俺とクロがいるのは最初に出会ったパートナーを探すための場所だ。

 今日は、ここでクロに新しいパートナーを選んでもらおうと思ってやってきた。


「理由は……何なんですか? 私が頼りなかったなら、もっと努力しますから……!」

「クロが頑張っていたのは俺が一番知っているよ」

「じゃあ、どうして!?」

「俺の目的はこの世界の配信全体を盛り上げることだ。それに関して言えばとっかかりを作ってくれたクロにはとても感謝している」

「わ、私一人じゃ飽きてしまったってことですか!?」


 周囲の人々がギョッとして、一斉にこちらを見てきた。


「誤解されるようなことを言うなよ!?」

「私を捨てるんですか!?」

「変な噂で炎上するから止めろおおぉぉ!!」


 恋愛関係の炎上はマジで怖い。

 いったいどれだけの配信者が真偽関係なく、飛ばし記事で燃やされてきたか……。

 おっと、炎上関連は考えると闇が深くなるので今は止めておこう。


「理由も話さず、そんなことをいきなりだなんて……ひどいです……」

「うっ、たしかに……それは俺が悪いか」

「そうです、ちゃんと話してくれれば私だって……いえ、納得はしたくないですが」

「どっちだよ」


 何かクロから少し圧を感じる気がする。

 怖い。


「別に二度と会わないってわけじゃない。クロは百万人も達成したし、功績を認められてSランク冒険者にもなった。だから、他に才能を持つ奴も探して配信全体を盛り上げ――」

「浮気ですか? 許せません……ヤマダさんを殺して私も死にます……」

「そ、そういうことじゃないだろ!?」


 よく考えたら、昔のクロと違って今はメチャクチャ強いので、その気になったら俺なんて一瞬で破壊されてしまう。

 まずったか……?


「冗談ですよ」

「そ、そうだよな……。別にもし本当に浮気だとしても、クロが気にするはずもないし……」

「それはどうですかね?」


 冗談のはずなのに何か寒気が……。


「と、とにかく! 俺は配信全体を盛り上げるために色々としたいんだ!」

「まぁ、仕方ないですよね。ヤマダさんの情熱を止めることはできません。そういうあなたも好きですから」

「ははは、俺もお前の努力家なところは好きだぞ! 次の配信者も同じくらい努力家だったら嬉しいな!」


 なぜかクロはムッとした表情になり、クズカメラ状態の俺を顔の前まで持ち上げてきた。


「クロ巣ファミリーのみんなにはナイショですよ」


 キス、されてしまった。

 俺の機械の肌でも感じてしまうくらいに柔らかく、温かい唇。

 そのあとにギュッと抱き締められた。

 何というか空気的に言いにくいが胸の感触が……。


「ありがとうございます、ヤマダさん。あなたの配信のおかげで救われました」

「バーカ、お前も配信で色んな人を救ってるよ」


 配信の世界は繋がっている。

 また同じ場所できっと出会うこともあるだろう。

 俺のカメラには、クロの最高の笑顔が映った。

 卒業に幸あれ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ