幕間 夢のお題箱
賞に出そうと思ったら文字数がちょっとだけ足りなかったので幕間で稼ぐことに(直球な理由)。
ふと俺は、過去にお題箱配信というのがあったのを思い出した。
それはリスナーからお題を募集して、配信者が答えていくというものだ。
事前に募集さえかけておけばかなり手軽にできるので、少し試してみることにした。
「というわけで、リスナーであるクロ巣ファミリーさんたちから送られてきたお題に答えていきますね」
今回は家の中でクロと二人で配信を開始した。
俺はカメラに徹して、お題をカンペで出していく感じだ。
まず最初のお題はこれだ。
『ヤマダとキスをしていましたが、お二人は付き合っているのですか?』
そう、最初に俺が選んだお題は軽めの……軽めの……?
あれ? 俺こんなの選んでないぞ?
いや、ヤバいだろ、なんだこれ。
こんなのクロも答えられな――。
「ヤマダさんとは付き合っているというか、結婚よりも深い絆で結ばれています」
「なに言ってんのお前!?」
カメラに徹しようと思ったが、ついツッコミを入れてしまった。
「お題にはきちんと答えなければいけませんからね。そうですよね? ヤマダさん?」
「そ、それはそうだが……」
「気持ちは一緒、一蓮托生ですよね? ヤマダさんが死ぬときは一緒に死にますよ」
<始まってからいきなりフルスロットル>
<クロ様ってヤマダへの気持ちが重いよな……>
<クロ巣ファミリーたちも段々慣れてきた、ヤマダは大変そうだけど>
「よーし!! 次のお題へ行こう!!」
<逃げた>
<逃げたな>
<甲斐性無しの男……いや女か?>
うるせー! まだ死にたくない!
そう本能で思いながら次のお題を出した。
『実家の弟くんとは最近会っていますか? クロママのその後も気になります。とてもご家族の仲が良さそうだったので、また実家配信が見たいです』
「よし、今度はちゃんと俺が選んだお題だな……」
「最近は忙しくて実家に帰れてませんが、配信技術を使った通話をしたりはしてますね。二人とも元気そうでした」
「クロのご家族にはお世話になったから、改めて挨拶して、お土産とかも持っていきたいところだな」
「もう母と弟はヤマダさんを家族として受け入れてるから大丈夫ですよ」
「いや、何の話だ? 怖い。……次のお題にいこう」
<外堀も埋められているヤマダ>
<観念しろヤマダ>
<こんやがやまだ>
アーアーキコエナーイ。
はよお題を出そ……。
『ニシカちゃんがクロ様クロ様って言ってますが、ぶっちゃけどう思ってますか? 妹みたいで可愛い?』
「そうですね。私の後輩ですし、妹みたいな子ですね。でも、慕われているのはわかるのですが、様付けで距離感があるので、もっと気軽に接してほしいかなとも思いますね」
「こういうのでいいんだよ、こういうので」
<てぇてぇ>
<お姉様と妹みたいな見守っていたい関係>
<ヤマダが完全にオレたち側で草>
「次で最後のお題かな、このまま良い感じに終わろう。えーっと、内容は……」
『最近、ヤマダさんはモテモテですが、もちろん一番好きなのは私ですよね?』
「え、このお題も知らないんだけど……。というかこの『私』って誰だよ……」
「私です」
目の前のクロがそう言ったのだ。
ゾッとした。
背筋が凍った。
「ああ、やっぱり優しいヤマダさんは一番を選べないんですね……。ヤマダさんを殺して、私も死にます。これで私がヤマダさんの一番です……」
「いや、その手に持っている魔剣をしまえ……ウギャアアアアアアアアアアア」
***
「はっ!? 夢か!?」
不思議なことにクズカメラでも夢を見るらしい。
さすがに汗はかいてないが、生きた心地がしない状態でベッドから起きて――横にクロがいた。
「うおあっ!? なに!? なんでここにいるんだよ!?」
「起きるまで寝顔を見てました」
「めっちゃビックリする!!」
「ところで、これを見てどう思いますか?」
クロは手に何かを持って見せてきた。
夢のことを思い出して怖くなったが、握られていたのは魔剣ではなかったのでホッとした。
ただ、その紙束が何かはわからない。
「以前、ヤマダさんが提案してくださった〝お題箱〟の企画書です。やるのが楽しみですね」
……アレは夢ではなく、死の危険を訴える予想だったのかもしれない。
というわけで、これにて『配神が支配する異世界』は一区切り付けさせて頂きます!
本当は配信ものをもっと書いてみたかったのですが、あまり読者さんに支持されなかったので(というか一話目のPV自体が低すぎるから見つけられてすらいない)、精進あるのみですね。
賞には応募しているので、そこで再評価された場合は続きを書けると思います(そのパターンは割とある)。
そして、新作の投降を始めました!
そちらもよろしくお願い致します!
【タイトル】
『モンスターを鎧にする仕事 ~お前は釣り合わないと婚約破棄されたけど、手先が器用なので服とか鎧を作って自由に暮らしてたら、なぜか国中が俺を探すようになった件~』
https://ncode.syosetu.com/n5346lw/
【あらすじ】
模型雑誌ライターのイストは異世界召喚されてしまった。
どうやらレアな存在らしく、いつの間にかお姫様と婚約させられていたが、スキルも魔力も無いことが判明した途端に手の平返しをされてしまう。
婚約破棄を宣告され、追放されてしまったのだ。
しかし、イストは手先の器用さでモンスター素材から防具を作る楽しさに目覚める。
実はその防具は、この世界では異質なほどに強く、その噂を聞いた国中がイストを探し始めるのだった。
そんなことは気にせず、今日もイストは山奥でマイペースで好き勝手にモンスター防具を作っていく。
今日は少しセクシーな軽鎧? 異形のローブ? 格好良いドレス?
いつの間にか周りの冒険者たちが最強になっていくのだが……?




