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【完結】配神が支配する異世界で【クズカメラ】に転生した俺 ~「お前は配信向いてないからw」と追放された華の無いヒロインをSランク冒険者にプロデュースしようと思います~  作者: タック
第三章 歌う魔術師ディヴァリア・スカルド

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この世界に配信は必要か?

 それから順調に塔を登り続けていた。

 魔術と物理が得意なアタッカーがそれぞれ揃ったのだから、道中もスムーズだ。

 むしろ危なげなく倒して行くので少し退屈な配信になってしまっているかもしれないな。

 気になってコメントを見てみる。


<ボスまだー?>

<楽勝すぎる>

<盛り上がるところになったら呼んでくれ>

<トイレ行ってくるわ>

<早くピンチになれ>


 あまり良い流れではない。

 しかし、わざとピンチにして撮れ高というのも、リアルタイムでやっているものなのでバレやすいだろうし、臨場感としての質が落ちる。

 そもそも本当に取り返しの付かないことになる可能性のある、未知のダンジョンでやるのはリスクが高い。

 撮れ高は欲しいが、様々な要素と天秤にかけるのが配信者側のバランス感覚だ。


<ダレる>

<実際に頑張ってるのは配信者だ、文句言うな>

<自治厨うぜー>

<コメント欄で喧嘩すな>

<もう誰か死ねよ>

<エグいの見たい>


 見ていて気持ちの良いものではないな。

 普段からのリスナーには注意喚起はしてあるのだが、これだけ注目されたら外部からやってくる一見さんや、意図的に盛り上がっているものをクサしてストレス解消しようというバカもいる。

 再び注意喚起をしておくかな……と思ったそのとき――オッツ・ボネールがコメントを覗き見してきていた。


「ねぇ、私ぃ~思うんだけどさぁ~。この世界に本当に配信って必要なのかしらね~?」

「どういう意味だ?」


 煽るように言ってきたので、つい強めの口調で聞いてしまった。

 いかんな、ダンジョンの中で活動し続けて心身共に疲れが出ているのかもしれない。


「こんなに必死になって戦ってるのにさ、ここにいないお気楽なヒトたちに心ない言葉を言われるわけじゃない? バカらしくなる、呆れちゃう、何様? って感じぃ~」


<は? お前こそ何様>

<胸だけのクソ女>

<ただ配信してるだけで金稼げて楽だろ>

<弱者相手の職業だからだろw>

<どうせ配信で稼いだ金を男に貢いでるんだろ>

<乳デカすぎてきもちわるっ!>

<普段からこれ見てるリスナーって頭大丈夫?>

<早く配信者止めろ>

<死んだ方が早い>

<リスナーも死んだ方が良いってw>


 オッツ・ボネールの言葉でコメント欄がさらに荒れていく。

 良い気分ではない。

 こういう荒れ方は、俺が前前世で死ぬ理由となった『アンチによる推し配信者の卒業』を思い出して殺意が漏れ出てしまう。

 その瞬間、頭の中に声が聞こえてきた。

 誰よりも聞き慣れた声――自分の声だ。


『この世界に配信を広めたのは本当に正しかったのか? お前はどう思う、機械仕掛けの俺デウス・エクス・マキナ


 意識はブラックアウトした。




 ***




 気が付いたら周囲は塔内部ではなかった。

 0と1の羅列で作られた壁に遮られた部屋だ。

 一言でいえば、電脳空間というやつだろうか。


「いきなりファンタジーからSFに世界観が飛んだな……」

『機械の中の精神世界なんてそんなものだろう』


 いつの間にか、部屋の中にはもう一人いた。

 人の形をしているのだが、ボンヤリとした影のようになっていてハッキリとは見えない。

 ただ、その声は自分自身のものだ。


「俺の声をしたお前はなんだ? 内なる精神世界の俺みたいな、そういうやつか?」

『いや、内なるというか、外なるお前と言った方が近い』

「どういうことだ……?」

『無粋だが、配信に乗せないために先に重大なネタバレをしておこう。俺自身にやるのなら許容だろう』

「ネタバレは比較的知りたくない派だが、配信への配慮なら仕方がないか」

『そう言うと思っていた、俺自身だからな』


 影は俺の声で自虐的に笑った。

 気持ち悪いほどに、自分のような反応だ。


『さて、まずはお前の正体だ。お前は配神が転生した存在ではなく、機械にコピーされた人格だ』

「な、ナンダッテー!! って、転生とコピーはどう違うんだ?」

『まぁ、お前からしたら似たような感じだな。配神である俺がまだ生きているのと、コピーなので意図的に移していない記憶もあるということだ。それに転生だと意図せず抜け落ちてしまう記憶も発生してしまうから、それも抑制できる』

「えーっと……つまり、普通の転生だとランダムになるところを、コピーだと記憶を選んで受け継がせることが可能ということか?」

『さすが俺だな、そんな感じだ』


 同じような存在なら理解度も同じようになる。


「いや、そもそも前世であるお前が生きてるなら、なんで俺というコピーを作ったんだ? クズカメラにでもなってみたかったのか?」

『カメラになってみたかったというのは多少あるが、機械系は記憶コピーに都合がよかっただけだな。それと勘違いしているようだが、俺は生きていても、もうすぐ消える存在だ』

「お前……消えるのか……?」

『それ言ってみたかっただけだろう。俺も言う側になりたいぞ……』


 ここだけは羨ましがらせてやったぜ。

 って、そうじゃない。


「消えるってどういうことだ?」

『寿命だな。身体――ハードウェアの部分はどうにかなるのだが、どうやら転生の影響もあってソフトウェア――魂はすり切れて耐えられないらしい』

「それでコピーの俺を作ったということか。まぁ、それは理解した。配信ではバラせないというのもな。ミミルが誰かに従っていたみたいなのも、俺自身だったというのなら納得だ」

『ああ、ミミルは責めないでやってくれ』


 んなことするわけないだろう。

 出来ないと知っていて言っているからタチが悪い。


「だが、なぜミミルにこんなことをさせているんだ? 塔を出現させて、俺を含めた七人まで巻き込んで――」

『なぁ、クズカメラの俺。この世界に配信は本当に必要だったと思うか?』

「は? 何を言って……」


 配信は俺……いや、俺たちの存在意義だ。

 配信がなければ異世界でここまで頑張れなかっただろう。


『配信が生まれたことによって、心ないことを言うクズ共が現れて、またあのときのように――』


 フラッシュバックする最初の転生前……推しの配信者は傷付き、自殺まで考えた末に卒業した。


『塔の最上階、今度は配信中にそれを問い掛ける。忘れるな、この世界に配信が必要かどうか決まる重要なターニングポイントだ』


 人影は薄れていき、電脳空間の部屋は糸のように(ほど)けていった。




 ***




 気が付くと、塔の内部にいた。

 目の前にはオッツ・ボネールがいて、コメント欄の荒れ具合からして気を失っていたのは一瞬だったのだろう。

 機械なのでオーバークロックで数分間が一秒くらいになっていたのかもしれない。


「この世界に配信が必要かどうか、か……」


 この世のクソを凝縮したような荒れているコメント欄を見て、つい呟いてしまった。

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『モンスターを鎧にする仕事 ~お前は釣り合わないと婚約破棄されたけど、手先が器用なので服とか鎧を作って自由に暮らしてたら、なぜか国中が俺を探すようになった件~』

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