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配神が支配する異世界で【クズカメラ】に転生した俺 ~「お前は配信向いてないからw」と追放された華の無いヒロインをSランク冒険者にプロデュースしようと思います~  作者: タック@コミカライズ2本連載中
第三章 歌う魔術師ディヴァリア・スカルド

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22/22

魔術師の思い出

「さてと、休憩雑談タイムだ」


 このダンジョンの数少ない良いところといえば、転移させられてきたので少し戻ればコの字型の部屋に戻れることだろう。

 出入り口が一つしか無いので、そこだけ見ておけばモンスターに対処できる。

 もっとも、このダンジョンは特殊っぽいのでモンスターは徘徊せずに留まっているタイプな気がする。

 それでも念のためにそちらに警戒しながら休憩をしているのだ。


「よっしゃ! 雑談ならオレが話を回すか!!」


<バド・バズの雑談って誰が求めてるんだよ>

<炎上配信以外やってねぇだろ>

<引っ込んでてもろて>


 バド・バズに対して辛辣なコメントが来ているのだが、割とその通りなので何も言えない。

 俺はコメントを見ていないバド・バズに優しく言ってやった。


「お前の雑談は需要ないって……」

「おい、またコメントに何か書いてあったのか!? てめぇら!!」


 コメントに殴りかかろうとするバド・バズだが、文字相手に暴力は効かない。

 文字は拳より強し、だ。


「じゃあ、私がお話をしましょうか」


 ディヴァリアはそう言ってくれたが、少し心配になってしまう。


「喉は平気か?」

「あらあら、そんなに私のことを大事に思ってくれているんですね、ヤマダさん」

「そりゃそうだろう、大事なんだから」

「あ、あらあら……」


 ディヴァリアは自分でからかい気味に言ったのに、俺が真正直に答えてしまったからかカウンターで照れてしまったようだ。

 そんなリアクションをされると俺まで照れくさくなってしまう。


<これがてぇてぇというやつか>

<男とは許さん!>

<ヤマダは性別がないからなぁ……>

<人間形態になっても性別不明だったしな>

<性別があったらセンシティブでBANされる全裸形態>


「ヤマダさん、魔力を伴った発声じゃなければ喉への負担は少ないので平気です。こう見えても歌が趣味で喉は頑丈ですから」

「そうか。でも、あまり激しく喋らないようにな」

「では、囁き雑談で私の昔話でもしましょうか」


<さっきの戦闘も格好良かったけど、雑談配信もしゅき>

<囁き雑談配信とか最高すぎる>

<ママァアアアア!!>


 俺も囁き系は好きだ、むしろ嫌いな奴なんているのか?

 いや、いない(断言)。

 何をダンジョンでノンビリしているんだ、と思ってる奴らもいるかもしれないが、こういう初戦というのがボスよりもきついというケースは多々ある。

 ここで焦って次の戦闘へ行って何かやらかすよりも、休憩を入れた方がいいだろう。

 それにディヴァリアが自然と避けていた昔の話をしたくなったというのも、させないよりはしてもらった方が精神的にも楽だろう。

 そんなこともあってか、ディヴァリアは少しだけ余裕のある笑みを浮かべながら話し始めた。


「私は物心ついたときから、この声のせいで苦労してきたの。生まれは魔術師の家系で、両親も厳しかった。だから必死に魔術を勉強したけど、この声のせいで詠唱にコンプレックスがあった」


<オレも魔術師の家系だからわかる>

<両親の期待かぁ>

<ニートになったら期待すらされなくなったぜ!>


「私も結果的に期待されなくなっちゃった。両親が死んだから」


<なんかゴメン>

<つらいパターン>

<さすがに茶化せない>


「アレは、まだ頑張ろうとしていたとき。こんな声でPTを組んで詠唱をバカにされて、嫌になって、それでも頑張ろうとして再びバカにされて嫌になって……と悪いループをしていた頃。両親が敵対していた勢力に殺されて、私は奴隷として売られようとしていたの」


<ひどい>

<許せねぇな、その勢力>

<オレらで潰すか>


「ううん、もうその勢力は存在しない。私の恩人がやっつけてくれた。奴隷として売られそうになっていた私も救出された」


<助けてくれてありがとう、恩人!>

<その人に感謝だな>

<もしかして、個人で勢力を潰した……?>

<神すぎる>

<どんだけ強いんだそいつは>


「そのあと身寄りがなくなった私を、その人が引き取ってくれて……。あ、正確には引き取ってくれたのは忙しいその人に変わって、そのパートナーさん。私の二人目の母親というか、姉というか、とにかく家族だと思っているの。一見クールだけど、とても情熱的で優しい方で、私のことも大事にしてくれた」


<ええ話や>

<舞台化決定>

<具体的な名前は出せないのかな>

<人の巡り合わせって素敵>


「その人と暮らしている最中に、私が歌が好きだって教えたら、専用のホールまで用意してくれちゃったり」


< 専 用 の ホ ー ル >

<大富豪過ぎる>

<マジで何者なの>


「けど、人のいない環境だったから歌ばかり上手くなっちゃって、一念発起して人前で魔術も使えるようになろうとなって……まぁ、それからはみんなも知っての通り! これが私、ディヴァリア・スカルドの人生!」


<で、オレが産まれたってわけ>

<お前じゃねぇ、オレだ>

<ママァァァァアアア!!>

<その人と暮らしている間には歌以外に何をしていたの?>


「うーん、企業秘密?」


<なんだろう>

<一人で勢力を壊滅させることのできる奴のパートナー……>

<普通いないだろ>

<普通はいないけど、まさかな>


 コメントでは考察が始まっている。

 マジで誰なんだろうな、ディヴァリアを救ったすごい奴と、そのパートナー。


「ね、ねぇ。そろそろ進まない?」


 急にオッツ・ボネールが提案してきた。

 俺としてはディヴァリアさえ良ければオッケーなのだが。


「あらあら。たしかに喉の調子も戻って、魔力も安定してきました」


 どうやら平気らしい。

 そろそろダンジョンのボスを目指そう。

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