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配神が支配する異世界で【クズカメラ】に転生した俺 ~「お前は配信向いてないからw」と追放された華の無いヒロインをSランク冒険者にプロデュースしようと思います~  作者: タック@コミカライズ2本連載中
第三章 歌う魔術師ディヴァリア・スカルド

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20/22

事前作戦会議コラボ

 というわけで、配信者六人とそのパートナーたちが集まった。

 場所は貴族たちも会食に使う、セキュリティ万全の老舗レストランの個室だ。

 高級マホガニー材の丸いテーブルは立派すぎて、円卓の騎士伝説を思い出させる。

 その周囲に座っている面々なのだが、まずはチラッとクロに視線を向ける。


 クロは昔と違って大物感が出て落ち着いた感じに見えるが、最初からこちらを見ていたのか目が合った。

 というか凝視されている。

 その表情は怒っているようでもあり、悲しんでいるようでもあり、何というか迫力がすごい。

 まだ何か言ってくればいいのだが、無言である。

 作られたロールプレイではなく、本当の無言の圧でクズカメラのボディが圧壊してしまいそうだ……。


 ロールプレイといえば――ニシカをチラッと見る。

 ニシカの方は、クロを嬉しそうにニコニコ……いや、にへら~と鑑賞している状態だ。

 そういえば、ニシカはクロの大ファンだったなと思い出す。

 こちらの視線に気が付いたニシカは、コホンと咳払いをしてからロールプレイ状態の暴虐の王っぽい表情に戻った。


 まともなのは俺とディヴァリアくらいか……と思ったが、横のディヴァリアも様子がおかしかった。

 クロの視線から守るように、俺を手でブロックしているのだ。

 なんだこれ。

 もしかして、俺を連れ戻されないようにしているのか?

 まぁ、しょうがないか……自分で言うのもなんだが俺はカメラとして優秀だからな……。


 おっと、忘れていた。

 バド・バズたち三人組もいたんだった。

 そちらは凄まじく居心地が悪そうにしている。

 そりゃそうか……自分が追放した三人が、それぞれ人気になってしまっているのだ。

 普通に考えたら復讐されてもおかしくない。

 この状況自体が世間でいういわゆる〝ざまぁ〟展開なのかもしれないが、何か俺も変な立場になっている状況なので少し同情してしまう。


 そんな空気の中、誰も喋ってくれないので意を決して第一声を放つ。


「と、とりあえず何か注文しようぜ! 今日は俺のおごりだ!」


 一応、それなりに配信で稼げているので貯金はある。

 この空気の中で割り勘にするよりはいいだろう。

 全員を集めたのは俺だし、さすがにコイツらも遠慮してそれなりの金額のものしか頼まないだろう。


「えっ!? おごりなのか!? ヤマダ、お前良い奴だな。それじゃあオレは一番高いので!」

「それじゃあ、僕も一番高いのを五人前注文するぅ~」

「バド・バズ、エロガ・パー……おまえら……! くっ、クズカメラに二言はない……!!」


 さすが炎上三人組――正確には男二人だが、遠慮なしで一番高いのを攻めてくる。

 お、俺の貯金が……。


「……私はこの野菜スープで」


 オッツ・ボネールは意外にも比較的値段の安い野菜スープだけでオッケーなようだ。

 助かった……コイツはベジタリアンか何かなのだろうか。

 次はクロが口を開いた。


「うーん、うーん……。焼いた肉と野菜の付け合わせ……あっ、パンも付くんですね。すごい」


 どうやら俺の財布は殺されずに済みそうだとホッとした。

 すると、クロはこちらを再びジッと見てきた。


「あ~……やっぱりそれに一番高いこれを追加してください」


 こ、コイツ……俺の表情を見てから!?

 コメントに超速反応するが如く、俺の表情から即座にだと……!?

 心臓が……いや、懐が痛いが、まだギリギリ平気だ。

 ニシカは子供だし、きっとお子様ランチでも頼んでくれるだろう。


「大切な日の前日だし、余は食べ慣れたコレとコレでいいぞ」


 王侯貴族ということを忘れていた……超高価格帯を食べ慣れた食事として選んでいく……。

 コイツはフォアグラやキャビアをオヤツで食っているような世界にでも住んでいるのか……。

 見事俺の財布は爆発してしまった……ガンハンマーで戦うときだけにしろよ……。


「えーっと……」


 現在の俺のお財布事情を一番理解しているディヴァリアは迷っているようだ。

 俺は溜め息を吐いてから諦めた。


「好きなのを頼んでいいぞ……」

「あらあら、じゃあ……食べたことないのでコレとコレとコレとコレとコレで」


 特に珍しそうでもない食事だが、もしかしてディヴァリアも俺の財布から搾り取ろうとしているのだろうか。

 俺は水を頼むことにした。




 それから大量の料理が運ばれてきて、俺のないはずの胃が痛く……ではなく、話の本題に入っていくことになった。


「明日、なぜか六人とパートナーで塔型のダンジョンに行くことになったわけだが――」

「おう、ヤマダ。それってパスしたらダメなのか?」


 バド・バズが当然の疑問を投げかけてくる。

 たぶん、俺もコイツの立場だったら最初に〝棄権〟の二文字が思い浮かぶだろう。


「ダメだな。クリアしないと配信システムが消されてしまう」

「でもよぉ、あの配神代理ってのは本物なのか? ただの語りじゃねーのか?」


 ミミルが本物だと説明するのは、今の俺だと色々と難しいな……。

 それに対してクロが間に入ってきてくれた。


「あの方は私を何度か、普通ではないやり方で助けてくれました。そうですよね、ヤマダさん」

「あ、ああ。そうだな」


 クロは俺の様子から直接言いたくないことを察しているのか、うまくパスを出して証明をしてくれた。


「それじゃあ、クリアできなかったら本当に消されちまうってことかぁ……。さすがに配信システムが消えたら世界中で大ごとになっちまうし、オレも炎上配信ができなくなっちまう……参加するしかねぇか……」

「いや、炎上配信はやめておけって」

「あ? それじゃあ、参加してやらねぇぞ!!」

「お前、今参加しないと自分が困るとか言ったばかりだろう」

「うっせー! ばかあほ!」


 バド・バズは図星を疲れまくったためか、不満げながらも捨て台詞を言ったあとは黙ってしまった。

 とりあえず話を進めて良さそうだ。


「一応、一日時間をくれたのだから事前にできることはしておこうと思って、この会食をやっているわけだが」

「ふはは! さすが我がパートナーだった者! クズカメラにしてはやるではないか!」


 そういえば、ニシカはロールプレイだというのを外部にバラしてないから、今も素を出せないのか。

 たぶん俺を素直に褒めてくれているのだろう。


「方針としては、ダンジョン内で協力するということで良いだろうか?」

「あらあら、賛成するしかないじゃない。バド・バズさんたちもそれでいいかしら?」

「チッ、わーったよ。飯がウメェから協力してやるよ」


 なかなかに単純なやつだが、ここでひねくれられてもややこしくなるので困る。

 水ウメェーッ!! 飲んでも無意味だけど、きっと冷却水くらいにはなるだろう!!

 お金ねぇんだわ!!


「しかし、塔タイプのダンジョンは特殊で、入った瞬間分断されているということもあるのでは? ヤマダさんなら想定していると思いますが」


 たしかにクロの言うとおりだ。


「えっ、ヤマダ!? お前そこまで考えてたのかよ!?」


 バド・バズが俺をどう見ているのかが、よーっくわかる。

 一応、口に出して説明しておくか。


「それはそうなんだが、ボスがいるということはその前で待機していれば絶対に合流できるはずだ」

「もし、ボスも三つ入り口があったら?」

「そのときは誰かが戦闘を開始したら、音や振動、魔力の余波などで気が付くから急いで入って合流すればいい。ボス戦の激しい戦いなら尚更だ」

「なるほどなぁ」

「それに道中で合流するケースもあるだろうしな。事前に意思確認せず、出会い頭に敵と認識して同士討ちとか笑えないし――」

「ヤマダ……お前もしかして頭がよかったのか。オレたちの安全も考えて……」

「――配信としても面白くない。同士討ちで撮れ高を減らすとか」


 周囲からの視線が急に変わった気がする。

 もしかして、ドン引きされているのだろうか。


「あらあら、頭が良いだけでなく、配信に関して頭がおかしいのがヤマダさんですね」

「同意……モグモグ」


 今の俺のパートナーなのにそんなことを言いながら頬に手をやるディヴァリアと、ハムスターのように飯を食いまくっているクロだった。

 ニシカはワンテンポ遅れて、お上品な仕草で口元を拭いたあとに無言でコクコクと頷いていた。

 俺がどう見られているのか何となくわかってしまう。


「うーん、でも大丈夫かしらね……。私は魔術をまだ実践で使えるかどうかわからないし……」

「心配するな、ディヴァリア。戦闘力の高いクロかニシカがいれば安心だ。最初から分散スタートというのも〝ただの可能性〟だし、数的な確率でも一緒の可能性が高いしな」

「あらあら、たしかにそうですわね」


 バド・バズが『フラグ乙』と言ってきたが気のせいだろう。


「それにしても、なんで配神代理はこんなことをやっているんですかね?」


 ミミルに色々助けられたクロだからこそ、気になってしまうのだろう。

 その疑問は正直、俺もわからない。

 こんなことをミミルがやっても何の益もない。


「実際にクリアしたらわかるかもねぇ~?」


 あまり存在感がなかったオッツ・ボネールが、そんな言葉で今日の会食を締めたのであった。

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