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配神が支配する異世界で【クズカメラ】に転生した俺 ~「お前は配信向いてないからw」と追放された華の無いヒロインをSランク冒険者にプロデュースしようと思います~  作者: タック@コミカライズ2本連載中
第三章 歌う魔術師ディヴァリア・スカルド

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あらあらお姉さん

 今回は特徴あるダンジョンなのですぐに場所が割り出せた。

 ジャングルのような熱帯雨林めいた地形に急行すると、距離が近いのも幸いして目的のディヴァリアはすぐに見つかった。

 俺は木にぶら下がり、上下逆向きで挨拶をした。


「初めまして、ディヴァリアお姉さん」

「……ッ!?」


 ディヴァリアは大きく口を開けて驚くも、声は出さずに我慢したようだ。

 尻餅をペタンとつきながら、紙とペンでこちらに意思表示をしてくる。


「えーっと、『何で木の上からいきなり逆さに出てくるんですか』だって? いや、だってこのパターン二回目だし、初見の印象って大事かなって……」


 ディヴァリアは大きなお尻に付いた土を払いながら立ち上がった。

 太ももも太いし、戦闘時の姿勢が安定しそうだ。

 そういう意味で世間では胸の大きさが騒がれるのだが、俺としては下半身の大きさも重要だと思う。

 前前世ではダンサーが、安定感ある尻を見せて自慢していたことも懐かしい。


「良い尻をしているな!」

「ひっ!?」


 何か誤解されてドン引きされてしまった。

 俺の性別はどちらかわからないが普通にセクハラになりそうなので急ぎ、身振り手振り尻振りと早口で尻の有用性を説明した。


「って、違う! 俺はディヴァリアをスカウトしにきたんだった!!」

「小さなカメラさんがお尻フリフリ……ふふっ……」

「やっと喋ってくれたな」

「あっ」


 ディヴァリアは顔を赤らめ、再び黙りこくってしまった。

 自分の個性的な声が恥ずかしいのだろうか。


「俺はその声、好きだぞ」

「ほ、本当……?」

「ああ、配信映えする良い声だ」

「で、でも……みんな気持ち悪いって……」

「みんな? この世界の全員にアンケートでも取ったのか? 耳穴が詰まった奴らか、たまたま機嫌が悪かった奴らなだけだろ」


 俺の怒気を含んだ言葉を聞いたディヴァリアは、いきなり大粒の涙をポロポロとこぼし始めてしまった。


「えっ、おい、急にどうした。泣くな、困る、どうして良いかわからなくなる」

「私……喋ってもいいの?」

「当たり前だろう。むしろ配信者は四六時中喋って欲しいくらいだ。特にディヴァリアは配信者向きの声だしな」

「私の声が……配信者に向いている……?」


 俺は手を差し出しながら言った。


「俺のパートナーになれば、立派な配信者にしてやる」

「はい」


 ディヴァリアは余裕のある笑みを浮かべながら、こちらの手を取って了承してくれた。

 やはりお姉さんタイプはこちらの表情の方が素敵だ。




 ***




「ふふ、ヤマダ君てば、家に連れ込むだなんて」


 いつものように打ち合わせなどがあるので家に案内したのだが、もうリードを取られてしまっている。

 声だけでなく、お姉さん力も半端なかったようだ。

 いや、というか俺は合計で百年以上生きてるのにディヴァリアのことをお姉さんと認識してしまっていいのだろうか?

 いつの間にか年下になってしまったアニメキャラをお姉さんと思ってしまう現象もあるし、普通のことなのか?

 チラッとディヴァリアの方を見ると、包容力のある表情で視線を向けてきている。

 ……もうお姉さんでいいや。

 さて、冷静になったところで話を続けよう。


「ディヴァリアの声は配信向きだ。なぜだと思う?」

「私の声、配信向きじゃないと思うけどなぁ……。変な声で笑われちゃうし……バド・バズ君よりずっと前からそんな感じに言われてて……」

「変? 結構なことじゃないか! 言い換えれば変というのは、珍しいということだ! 最強の生物と名高いドラゴンだって、言うなれば変な生物だ! つまり、変な声と言われているディヴァリアは、最強の声でもある!」


 俺が一気にまくし立ててしまったためか、ディヴァリアはポカンとしている。

 オタク特有の早口で一気に飛躍させすぎてしまったかもしれない。


「つまりだな、この世界には配信者が増えつつあるだろう?」

「うん、そうだね」

「増えれば増えるほど、平均的な声を聞くことになる。そんな中で、変な声――つまりレアボイスの配信者がいたら目立つ!」

「たしかに……」


 大物声優さんも初期の頃は声をバカにされたりしたことが多かったらしいが、時代が進めばその珍しい声が武器になると認識された。

 配信者も同じだ。

 たとえ最初はバカにされていても、珍しい声というのは唯一無二のレアスキルとなる。


「この世界で一番最初に、珍しい声を売りにした配信者になろう!」

「で、でも……」

「不安かもしれないが、俺を信じてくれ! 俺はディヴァリアの声が好きだ!」

「うふふ、嬉しい」

「あ、そこは『あらあら』でオナシャス」

「ヤマダ君、なんで……?」


 ヤマダに君付けされると、座布団を全部持っていってしまいそうな雰囲気があるのだが気にせず真剣に答えた。


「それは……お姉さん力が増すから!」

「あ、あらあら……困ったカメラさんね」

「ありがとうございます」


 お礼は大事。


「でも、実際に人前で喋れるか不安だわ……」


 ニシカのときは身体の使い方だったのでダンジョンに放り込んでなんとかなったが、今回は精神的な影響が強い。

 さすがにいきなりダンジョン配信をするのは危険だろう。


「ふぅむ。……となると、衣装を仕立ててから、雑談配信で慣らす感じになるだろうか」

「あ、ミミル様に相談するのはいかがでしょうか?」

「なんでミミルに? 別に今の段階では平気なような……。というか、なんでディヴァリアがミミルのことを知っているんだ? 表に名前を出していなかったような気がするんだが――」

「あらあら、先ほど仰っていたので」


 あれ、そうだったっけ?

 転生による記憶の影響かもしれない。

 前前世の記憶には抜けが多くて、前世の記憶はあまり抜けが無い代わりに、現在の記憶に影響が出ているのだろうか?

 自覚無しだとなかなかにホラーだ……。


「まぁ、とりあえず衣装を仕立てることを考えるか。準備に時間がかかるしな」

「あらあら」

「あらあら万能説」

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