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配神が支配する異世界で【クズカメラ】に転生した俺 ~「お前は配信向いてないからw」と追放された華の無いヒロインをSランク冒険者にプロデュースしようと思います~  作者: タック@コミカライズ2本連載中
第二章 聖なるガンハンマーの担い手ニシカ

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5000人の心を掴む

 もうそろそろニシカの初配信が始まろうとしていた。

 ……バド・バズのアレは初配信としてカウントしないが問題ないだろう。


「配信前の待機所に5000人近くいるな」


 この数字は新人にしてはかなり多い。

 なぜかというと今回は事前に俺がパートナーだということを、クロが宣伝してくれていたのだ。

 スタートダッシュは重要だ、使えるものは何でも使わせてもらおう。


「5000人……王家の演説を聞きに来る方々より多いのでは……」


 ニシカは数字を聞いて緊張しているな。

 たしかに実際に集まれる数よりも、配信の方が数字はデカくなりがちだろう。

 距離も場所も、それこそ国すら関係ないのだから。


「やれそうか?」

「わ、わからない」

「素直でよろしい」


 一応、配信に集中させる意味もあって初めては雑談配信を選んだ。

 場所もジャマが入りにくい俺の家からだ。

 ニシカはガンハンマーの制御ができるようになったとはいえ、あれは喋ったり見られたりしていない状態だった。

 慣れてない内はどんな事故が起こるか分からない。

 まぁ、クロはできていたが、それをニシカにも求めるのは酷だろう。

 最初は緊張してまともに配信できなくてもしょうがない。

 ニシカのフォローをしっかりとしてやろう。


「それじゃあ、配信開始だ」

「う、うん……じゃなくて、愚民共に余の美しい姿を見せてやろう!」


<始まったらいきなり愚民とか言われた>

<おはつ~>

<愚民w>


 配信開始すると言っただろおおおお!!

 いきなりのアクシデントになってしまったが……ニシカは大丈夫か?


「はっ! 愚民共に愚民と言って何が悪い! グズでノロマな民、略して愚民であろう!」


 どうやら大丈夫なようだ……いや、大丈夫かこれ?


<ヤマダがサポートしてるから見に来たけど……>

<いきなりバカにされてるな>

<こっわ>

<頭だいじょうぶ?>


 まぁ、こんなリアクションは想定していた。

 何も知らない人々から見ればこんなものだろう。

 前前世のアニメやY○uTubeも、世代の違う上の人間とかが見れば同じようなリアクションをされていた記憶が朧気にある。

 コメント欄がざわつき始め、ニシカも言葉が止まってしまった。

 それでも不安げな表情を見せないようにしているが、直接近くで見ると涙目になっていて肌にうっすらと汗も見える。

 そろそろ俺の出番だ。


「ニシカ、ちょっと耳を塞いで、目を閉じていてくれ」

「側近よ、余に命令するとは良い度胸だ! あとで罰を与えてやる!!」


 そう言いつつも素直に従ってくれた。

 その隙に俺はコメントに向かって話しかける。


「やぁやぁ、コメント欄のみんな。ニシカはどうだ?」


<お、ヤマダだ>

<ニシカ……何か悪い王族みたいな感じ>

<好きじゃない>

<もう配信見に来ないかも>


「まぁ、そうなるよな。わかるわかる」


<なんでヤマダはアレのサポートしてるんだ>

<クロみたいに優しくて落ち着いた子がいい>


「クロは確かに素晴らしい配信者だけど、もっと色んな奴がいていいと思うんだ」


<だからってニシカはひどいだろ>

<何かニシカって子は怖いし>


「ここでネタばらしをすると、実はロールプレイなんだ」


<ロールプレイ?>

<ロールプレイってなんだ>

<ロールパンの親戚か?>


「演劇で役者さんが役を演じるみたいなものだ。ニシカは裏では普通なんだけど、配信ではあんな感じの暴虐の王っぽい役を演じている」


<演技だったの!?>

<すごいな、わからなかった>

<役者さんが悪役を演じてるなら怒っちゃダメか>

<あのヤマダがサポートしているのも何か納得した>


「それを踏まえて配信を見ると一味違った面白さがあるぞ。あ、このネタばらしは本人には内緒な! 鳩行為――つまり伝書鳩を飛ばしてヒミツを伝えるようなコメントは禁止だぞ!」


<わかった>

<了解>

<りょw>


 俺は助け船を出したというか、物事の楽しみ方を教えたにすぎない。

 映画の悪役を殴りに行く観客はいないし、ゲームで詰まったらゲーム機を破壊して勝利宣言する奴もいな……いや、こっちはたまにいるか。

 とにかく、これは〝お約束〟というやつだ。

 おっと、まだ律儀に目と耳を塞いでいるニシカを忘れていた。


「ニシカ、もういいぞ。って、聞こえないか。ボディタッチ」

「ひゃっ!?」


 俺に触れられてニシカはビクッとした。

 名誉のために言っておくが変なところは触っていないぞ。


「もう配信を再開していいぞ」

「ふはは! 待たせたな、愚民共よ! どうだ、再び余の声を拝聴できる栄光に身を震わせるがいいわ!」


<ははーっ!>

<ニシカ姫、光栄にございます>

<ニシカ姫、バンザイ!!>


 ノリが良いな、コイツら……。


「ほう、どうやら分をわきまえたようだな、愚民共よ。側近、このあとは何をすればよいのだ?」

「とりあえず自己紹介だな」

「よかろう。皆の者、(こうべ)を垂れよ! 我が名はニシカ・ド・ラクロワ! ラクロワ王国の第五王女にして、龍の血を受け継ぎし聖なるガンハンマーの担い手!!」


<げっ、ラクロワってことは……うちのお姫様じゃん>

<立場的に第五王女は地味だから気が付かなかった>


「余は愚民共を調教するために配信をしている!! そう、コメント欄の貴様たちのような愚民にな!!」


<本物の王女様に罵ってもらえてるってわけ!?>

<他意は無いけどチャンネル登録してきました>


「余が着ている服も見せてやろう」


<クルッと回って見せてくれるのありがたい>

<こけそうになってて草>

<喋り以外は幼女>

<画家なのでファンアート描きます>


「これは世にも珍しい黄金トカゲの鱗からできている装備で、そこの側近――ヤマダが貢いできた物だ。側近にしてはまぁまぁ良いセンスをしている」


 ニシカが着ている装備は、この前の黄金トカゲのやつだ。

 黄金鱗を溶かして素材にした甲冑っぽい作りだが、どこか幼女であるニシカに似合う可愛さがある。

 イメージカラーはこれで金色決定だろうか。


「側近に『どうしても着て欲しい』と言われたから、仕方なく着てやっているがな! ……あ、作ってくれた防具職人さんありがとう……だ!」


<急に最後、態度が変わったか?>

<素が出たか>


「は? 聞き間違いだろう。余が他人に感謝をするときは、余を殺したときだけだな! なぜなら、余は世界に飽きたら暇つぶしで愚民共を皆殺しにしてしまうかもしれないからなぁ! ハハハハ!!」


<どゆこと?w>

<なんか独特な世界観を持っていて草>

<バド・バズの配信の時にすでに死にそうだった気が>

<ちょっと癖になってきた>

<ワイはニシカちゃんの可愛い姿を見れて感謝感謝やで>


「えーっと、次に話すことは……」


 ニシカが俺に目線を送ってきた。

 俺はカンペで『次はファンネームの話だ』と指示を出す。


「ファンネーム……。そう、次はファンネームの話だ! クロ……(様)と同じ流れだな!」


<今ちっちゃい声で様って言ったか?>


「言ってない」


<オレも聞こえた>


「言ってない」


<必死に否定してかわいい>


「愚民共、あとで処罰を与える!! とりあえず今はファンネームとやらを決めるぞ!! 余の配下になれることを涙を流して喜ぶといいわ!!」


<配下設定なんだ>

<おい、設定とか言うな>

<恐悦至極です、ニシカ姫!>

<愚民とかじゃダメなのかな?>


「愚民は余以外の全人類のことであろう? 配下はコメント欄にいる者限定だ」


<スケールがおっきいな……>

<背は小っちゃいのにな>


「黙れ、殺すぞ」


<言葉つっよ!>

<圧がすごい>

<逆にそれが心地良い>

<調教された奴が出てきたぞ……>


「とにかく早く決めろ。命令だ」


<もう配下でいいんじゃない?>

<クロ巣ファミリーが一ひねりあったから、こっちももうちょっと要素欲しい>

<ニシカ・ド・ラクロワ。ニシカ姫。ガンハンマーの第五王女……要素はこんな感じか>

<チビ、幼女、クソガキ属性も忘れるなよw>

<ニシはいか>


「ニシはいか……。余、ニシカの配下っぽい言い回しか」


<ちょっとわかりにくいような>

<ニシはイカ>


「イカと言ったお前、あとでイカの触手で絞め殺される夢を見ろ」


<ありがとうございます>

<ニシカ……ニシ風の従者とか?>


「ほう、ニシカと西風をかけているのか。なかなかにセンスがいいではないか」


<光栄にございます>

<ニシカ姫のイメージカラーが金色で、王家は竜の血族だから、ニシ風の黄金竜団とかどうだろう>


「余の要素が詰まっているな! よし、採用! 今日からは余の配下たちは〝ニシ風の黄金竜団〟を名乗るがいい!」


<ははっ、ニシカ姫様!!>

<ニシカ・ド・ラクロワ第五王女に栄光あれ!!>

<オレ、本当に騎士団所属だから掛け持ちになっちまうw>

<もしかして私と同僚か? 王女様には秘密にしておけよ>

<リアル騎士たちも配信を見る時代>


「さて、余のファンネームも決まったところだし、これからの目標とか――」


<ニシカ・ド・ラクロワは邪悪な女>


「む、急になんだ」


<高貴なる者への礼儀も尽くさない愚者>

<人を見る眼が無い這いずり虫以下>

<王家のでがらし>

<ニシカス・ドカスってみんな呼んでる>

<おえっ、見ているだけで吐き気がする>

<あああああああああああ>


「こ、これはID的に一人で大量にコメントを付けているのか……何これ……」


<存在してはいけない>

<お前の家を燃やしてやる>

<ニシカス死ね>

<死ね死ね>

<死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね>


「ひっ」


 まずい。

 悪意ある異常者に対して、ニシカが怯えて泣いてしまっている。

 配信ストップだ。

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