8 騎士科の楽しい行事
さて学園は春に入学式を行い、半年が経った秋に学園祭が行われる。学園祭というけど各科ごとにそれぞれの得意なものを披露する場である。
魔法科は魔法の精度の披露と魔法理論の発表の場で。
淑女科は刺繍などの展示と、来園者のおもてなし。つまりお茶会を開くのだ。高等使用人科の執事コース、侍女コースの者たちがサポートをするという。
領主科はそれぞれの領地の特徴などを発表する。中には淑女科に掛け合って、茶会に使用する食器やお茶、菓子などを使ってもらうところもあるらしい。現に今の王都で流行っている茶器セットは、ここで使われたことで注目を浴びて持て囃されるようになったという。
騎士科はトーナメント戦を行うのだ。このトーナメント戦は選ぶ武器によって別れて行われる。学年別で。
それとは別に四年生から六年生の学年関係なしで参加できるトーナメント戦がある。
これは先生方の推薦によるもので、参加できるのは十六名のみ。使うものは剣と盾。剣は小剣から大剣まで様々な物から、使いたいものを選ぶことになっている。
もちろん性別は関係ない。これまでにも西の辺境伯家に仕える男爵令嬢が選ばれ、四強の一人に名を連ねたことがあった。
幸いにも十六人の中に私も選ばれた。武器別は細剣の部に出場した。一年時から連続優勝をしているのだ。その実績もあったから選ばれたのだろう。
今年は私のほかに六年生の子爵令嬢も選ばれている。彼女は戦斧、それも大斧を得意としているそうだ。もちろん他の武器が使えないわけではない。
今年も四年生の細剣の部は私が優勝をした。それぞれの武器別のトーナメント戦が行われた翌日、十六名によるトーナメント戦が行われた。
私と第二王子は対角線上に名前があった。つまり第二王子と戦うことになるのなら、決勝戦でということだ。
第二王子は初戦の六年生を下し、次の六年生の子爵令嬢もあっさりと倒した。準決勝の相手、五年生に少し手こずっていたが勝った。
私も初戦の四年生男子を下し、次の五年生男子にも勝ち、準決勝の六年生男子にも勝つことができた。
休憩をとったのち相対した第二王子はロングソードを手にしていた。準決勝の試合までもう少し刀身も幅もあるブレードソードを使っていたはずだと、私は軽く首を傾げた。
「アリストリア、今日こそは負けないからな」
第二王子がきつく睨んできた。確かに今まで対戦して、第二王子が私に勝ったことはない。けど。
「殿下、それでいいのですか」
私はロングソードを見ながら言った。
「お前に合わせたまでのこと」
……合わせたというのなら細剣にするのでは? いやいや、それは……?
「いいか、私が勝ったら、言いたいことがある!」
「言いたいことですか? 今、言ったらどうですか? ちゃんと聞きますよ」
「勝ったら、と言っただろう」
少し頬を赤くした顔で第二王子は言った。
「はあ? まあ、わかりました」
さて、対決(?)ですが……かなりいい勝負でしたよ。うん。
あはははは(乾いた笑い)。
そうなのです。私が勝ちました。身軽さを生かしてうまく避けて、ここぞというところで踏み込んで首に剣を当てたのです。
がくりと膝をついた第二王子はしばらく立ち上がれないようだった。そんなにショックだったかな?
まあ、すんごく自信満々でしたものね。負けるとは思っていなかったのでしょう。うん。
友人が側に行き、王子を立たせて演習場から出て行った。
さて、トーナメント戦のあとの全学年の合同授業に変化があった。今まではトーナメント戦以降、それぞれの得意な武器ごとに分かれて訓練をしていたのが、一年から六年までを班に振り分けたのです。
それで一緒の班になりましたよ、私と王子が。どこかのなにがしかの意図を感じなくもないけど、気付かないふりをしておきます。
班は各学年二名ずつで女性が二人入っていた。私たちの班は四年の私と三年の子だった。この子は弓が得意で視力、聴覚がとてもいいです。
合同授業では近くの森に行き、班ごとに協力して小型の魔物を狩るというものだった。他の班は六年生を中心にまとまるようだけど、うちの班にはジェイスター第二王子がいる。彼が指示を出すことになった。
が、以外にもリーダーが向いていたのか、うちの班員の特性を生かした指示を出しています。おかげでうちの班は大きな怪我もなく魔物を仕留めることができた。
月に一度、魔物を狩る合同授業があり、回数を重ねる度に連携が良くなっていき、一年生たちも慣れるにつれ自分から動けるようになっていった。
だけど慣れというものは油断を誘うものですね。四回目の時に自分の力を過信した二年生が飛び出し、狙っていた魔物以外の魔物に襲われた。幸いにも私が反応できたので、二年生を庇うことが出来た。魔物を切り伏せた第二王子が振り返り、私たちを見て顔色を変えた。
「ベルゲール嬢!」
側に来ると左腕をとって、二の腕のところから上着を剣で切り裂いた。
「大丈夫ですよ。こいつは毒を持っていません」
「大丈夫なわけあるか。誰か消毒液を」
班の人たちがサッと動き、怪我をした部分は消毒をされて血止めの効果のある薬草を当てられて、包帯を巻かれた。
治療の間、六年生と五年生が周りを警戒していた。
治療を終えると私たちの班は本部が置かれている森の入口に戻ったのだった。
Q ジェイスター第二王子はトーナメント戦で勝ったらアリストリアに言いたいことがありました。さて、それはなんだったのでしょうか?




