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4 王妃様の英断です

「うーむ、難しいか」

「あら、いいと思いますわ」


 王様が思案した結果をぽつりと漏らすように言った。それに王妃様がにこりと笑って答えている。王妃様に皆の視線が集まる。


「わたくしも常々思っておりましたの。どうして男性しか騎士は居ないのかということを。女性の騎士がいればいいのにと」

「いや、だが、騎士というのは強くなくては」

「そうでしょうか」


 王様が言いかけた言葉を遮るように王妃様は首を傾げながら王様に言った。


「騎士に強さを求めるのは、国を守るためですわよね。ですが近衛騎士はどうでしょうか。最近の近衛は、身元は確かでも見栄えばかり気にして、実力はそこまでではない者がおりますわよね」


 ……あー、あれかな? 貴族家の出で身元が保証される次男とか三男とかということなのかな?


「そういうことでしたら、女性でも務まるのではないでしょうか」


 王妃様の笑みが深くなったけど、言い知れぬ圧を感じるんだけど?


「あー、た、たしかに……いや、違う、そうではなくて!」

「どこが違いますの? 有事の際に少しの足止めが出来ればよろしいのでしょう」


 ……うわー、どうやら王族を守る近衛の実力は、相当ひどいものがあるようだ。それとも素行に問題があるとか?


「近衛にいるとひけらかして、女性に人気があるからと、行いが悪い者が増えておりますのよ」


 あっ、そっちだった。


「そんな者にわたくしの警護を任せたくないですわ」


 王様は口を開けて何かを言おうとして何も言えずに閉じるという行動を数回繰り返して、結局黙ってしまった。王妃様の視線が父へと向いた。


「ベルゲール伯爵、いえ、副団長と言ったほうがいいかしら。全部の部隊を見るのはそんなに大変なのかしら」


 あっ、父にまで飛び火した。


「いえ……。申し訳ございません。近衛のことは近衛騎士団長に任せておりまして、そこまで目が届いておりませんでした」

「そう。言い訳をしないのは良いことよ。団長と話して早急に対処なさい」


 あれ? この指示って本来なら王様が出すべきでは?


「リーシェ、私の立場が無くなるのだが」

「そう思うのでしたら、ちゃんとなさってくださいな」


 王様が情けない表情で王妃様へと言ったけど、王妃様はツンと済ました顔で返していた。


「ところでベルゲール副団長、もう一つご提案があるのでしたわね」

「あっ、はい、そうです」

「それは何かしら」


 王妃様の問いかけに父は私のことをチラリと見てから口を開いた。


「学園には騎士科があります。その騎士科に女子も通えるようにするのは、いかがでしょうか」

「それは、すぐには無理だろう」


 父の提案をすぐさま否定する王様。

 ……いや、王様、よく考えようよ。父がそんな提案をするわけないでしょ。


「陛下、提案してすぐ実行しろと、申しておりません。数年後に女子が通えるように整えたいと申しているのです」


 父の言葉に王様の視線が私に向いた。


「そなたの娘は……確か五歳であったか」

「はい」

「ふむ、その娘が学園に通うまでに体制を整えろと申すのだな。うむ、来年からでは間に合わぬだろうが、五年後以降であれば可能であろう……か」


 思案しながらの王様の言葉に、心の中でガッツポーズをした。

 よっしゃー! 言質取ったり!

 気を抜くとニマニマしかかる口元を引き締めながら、私は神妙な顔で座っていた。


「うふふっ、先が楽しみね。そうね、それならうちの子たちと顔合わせしておいたほうがいいかしら? 誰か、王子、王女たちを呼んできて頂戴」


 王妃様の指示に文官……かな? そんな感じの人が部屋を出て行った。いや、知らんけど。そもそも王宮は初だもん。官位の区別がつくわけないじゃん。


 待つことしばし、国王夫妻と両親は楽しくお話中。私? もちろんおとなしく座っていましたとも。


 入ってきたのは三人の子供。確か第一王子はうちの長兄と同じ十歳だったはず。それから第二王子は私の一つ上の六歳でその次が王女。王女は私の一つ下の四歳。その下に第三王子がいるけど、さすがにここに来ることはなかった。まだ一歳にもなっていないからだね。


 部屋に入ってきた第一王子は長兄を見て笑みを浮かべた。第二王子は少し目を瞠ってから第一王子の隣に座った。王女は王妃のところへとトコトコ歩いていき、その隣に座った。


「ベルゲール副団長のご家族だよ」


 陛下が簡単に紹介をした。雑すぎませんか、王様。えっ? それだけ? 王子様方の紹介は?


「陛下、それだけではどうかと思いますわ。アリストリア嬢、この子たちは私の子よ。娘はあなたの一つ下なの。仲良くしてくれると嬉しいわ」


 ……王妃様、それもちょっと……。というかそれでいいのか? 私にだけ紹介するのは。えっと、名前は??


 王妃様を見ればにっこりとほほ笑んでいる。


 あー、自己紹介ぐらい自分たちでしろということですね。わっかりました。


 そして、私を含めた子供たちは別室へと行かされた。別室に入ると心得たように第一王子と長兄がそれぞれの兄妹の紹介をしてくれた。そのあと、兄達は王子達と遊び始め、私と王女は……。


 侍女の後ろに隠れた王女。声をかけて遊びに誘っても隠れたまま。他の侍女が気を利かせてお菓子と果実水で誘っても動く気配は無し。これはどうしろと?


Q 近衛騎士たちは王妃様に良く思われていません。このあと彼らはどうなるでしょう?

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