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3 うちは騎士を多く輩出している家ですよね

 何とか笑い出さずにすんだ父が母に訊ねた。


「ルーチェ、アリスの勉強時間はどれくらいかな」

「そうねえ、確か午前に二時間、午後も二時間だったと思いますわ」

「それぐらいなら普通だな」


 父は納得したように言うと私のことを見てきた。

 勉強時間としては、普通かなと私も思うよ。ちゃんと間に休憩時間も入れてくれたもの。

 でも、私が言いたいのはそこじゃない!


「お父様、お母様、私が言いたいのはそこではありません!」


 ん? という顔を向けてくる両親。本当にわかっていないようね。


「お父様、我が家は代々騎士を輩出している家ですよね」

「……ああ、そうだが」

「なのでお兄様方の勉強には騎士になるためのものがありますよね」

「ああ」

「どうしてお兄様たちは騎士になる勉強があって、私にはないんですか」


 そう言われた両親は顔を見合わせた。


「それはアリスが女の子だからだな」


 当たり前のように言われた。けど、納得できるわけがない。


「それ、おかしいと思いませんか」

「何がおかしいのかい」

「ですから、女性だからって騎士の勉強が出来ないことです」

「そういってもな、女性が騎士の勉強をしても、騎士にはなれないんだから、する意味がないだろう」

「そこです。どうして女性が騎士になれないことをおかしいと思わないんですか」


 キッと父のことを睨むように見れば、父はそれまでの子供のたわごとを聞くという姿勢を改めて、表情を引き締めて真面目な顔をした。


「何か、意見があるのなら話して見なさい」

「私はこの家に生まれたので、他の家より騎士という方々を見てきていると思います。それで気がついたのですが、貴族の女性は何かあった時の護衛がいないということに」

「おいおい、いないわけがないだろう。ルーチェが出掛ける時にはちゃんと護衛の騎士をつけているからな」


 父が慌てたように言った。


「お父様はわかっていませんね。護衛の騎士がついて入れないところがあることに」

「入れないって?」

「場所によっては男子禁制の場所もあります」

「だ、だが、その場合、侍女が付き添うだろう」

「ええ、知っています。ですが、それって何か起こった時はその侍女に死ねといっているのですよね」

「待て、待て、なんでそうなるんだ」

「うちの侍女は体術を習っているので、素人相手ならそこそこ戦えると思います。短剣くらい隠し持っていると思いますし。ですが相手がこちらの事情にあわせた武器で襲って来るわけがありません。長剣に短剣ではリーチが違い過ぎて、分が悪すぎます。その場合侍女に出来ることは壁として立ちはだかるくらいですが、一刀で切り伏せられて壁になることも出来ないで終わるかもしれません」

「いや、そんなことは」

「ないと言えるでしょうか。今までも侍女といる時に浚われた貴族女性がいますよね。ですがそこに女性の騎士がいたら? 少なくとも短剣対長剣という不利な状況で戦わないで済みますし、外で待っている他の騎士たちが来るまで持ちこたえることもできるでしょう。そういう利点しかないのに、女性が騎士になることを認めないのは、どういうことでしょうか」


 父はグッと呻き声ともつかない声を出して、眉間にしわを作ると考えこんでしまった。

 なので、私は母へと目を向けた。


「お母様、先ほどの話に戻りますが、私は体を動かすのが好きです。もちろん勉強をする大切さもわかります。ですが、長時間椅子に座っているだけなのは、ストレスが溜まってしまうのです。ですから発散させるためにも、体を動かしたいのです。でも、どうせなら目標を持ちたいです。幸いにも我が家は父が騎士団の副団長を拝命するくらい武に優れた家です。出来ることなら、私もその一助となりたいでしゅ」


 ……わーん、またかんだー。しまらないよー。


 嘆いている私に気づかずに両親は考えに沈み込んでしまったのだった。


 ◇◇◇◇◇


 さて、またしても三日が経ちました。


 あのあと両親には少し考えさせてほしいと言われ、部屋へと戻されました。そして、翌日に何故か王都に行くと言われ、支度して向かいました。うちの領地は王都から二日の距離にあります。


 で、なぜか一家で王宮に来ています。それも王族のプライベート空間に。


 えっ? なんで?


 王様が謁見を済ますまで、ここで待つようです。そして王妃様が歓待してくれています。

 が、部屋に通された両親は王妃様の後ろを見て、なにやら頷き合っていました。


 そうそう我が家が領地に居たのは久々の父の休みだったのと、領地の様子を視察することと、近隣の貴族との交流のためだったそうでした。


「待たせたな」


 王様が部屋へと入ってきました。


「それで、話というのはなんだ」


 両親が立ちあがって挨拶をしようとしたのを、手ぶりで止めて単刀直入に話し出した王様。あとで教えてもらったけど、王様と父、王妃様と母は学園の同級生で仲が良かったそうです。


 お話は両親から国王夫妻に女性騎士についての提案を告げました。私の発案だとは言わずに。


「ふむ、確かに一考する余地はあるな。どこから手を付けるべきか……」

「そのことですが、二つ案があります。一つ目は女性が騎士になるための選抜制度を作ることです。今現在でもうちのような騎士の家の女性で、騎士相当の実力がある者もいるはずです。なので、女性騎士のための選抜を行ってみるのはいかがでしょうか」


 王様は難しい顔をして考えてしまいました。


Q アリストリアは家族に可愛がられています。一番かわいがっているのは誰でしょうか?

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