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10 そして告白は!

 四年生最後の合同授業後に第二王子から謝罪され、でもそれ以上のことは何もなかった。


 もやもやとしたものを抱えながら時は過ぎ、学年が進んだ。第二王子は最終学年の六年生、私は五年生。


 今年も全学年の合同授業、昨年と同じ班分けをされた。女子は五年の私と三年の子だ。そしてなぜかまたも第二王子と一緒の班になった。

 最初は第二王子と一緒の班ということで王子と同じ六年生と私以外は、緊張感を漂わせていた。


 去年と同じように班ごとに行動して、魔物を狩っていった。二回三回と回数を重ねるごとに、下級生も動きが良くなっていく。二年生以上は昨年体験しているから、慣れたのもあるだろう。一年生の面倒を進んでみてくれていた。


 だが、わが班にも問題が一つ発生していた。三年の女子のことだ。最初の緊張状態が抜けると、第二王子に纏わりつくようになった。

 流石に魔物を狩る時にはそんなことはしないが、森の中を移動中や班でミーテイングする時は、王子の隣を陣取るようになった。さりげなく同じ三年生の男子が注意しているようだが、聞く気はなさそうだった。


 私からも注意しようかと思ったが、その前に王子が直接その子に物申した。けど、めげないその子は、それでも王子の隣に居続けようとした。


 結局、他の班員たちがキレて、その子は責められることになった。責める言葉を聞いていれば、どうやら他の班員たちも王子と仲良くなりたかったらしい。

 あまりにきつい言い方に彼女は泣きだしてしまった。彼女を宥めていたら、なぜか懐かれて、この後からは私の隣を独占するようになった。

 これはこれで班員が恨めしそうに彼女を見ていたけど、さすがに同性でいることでもあるので文句は言ってこなかった。



 気が付けば秋。学園祭の季節になった。毎年恒例の騎士科のトーナメント戦。今年も私は細剣の部の学年別での優勝と、今年から行われることになった各学年上位二名による武器別トーナメント戦でも優勝した。


 そして推薦による十六名のトーナメント戦。これにも私は出ることになった。

 去年の再演ではないけど、今年もジェイスター第二王子と私は対極の位置にいた。それはそうだろう。去年の優勝者と準優勝者だ。


 お互いに順調に勝ち進み、決勝戦で顔を合わせた。


「ベルゲール嬢、私が勝ったら言いたいことがある」


 去年と同じことを言われた。


「勝ったらと言わずに今言ったらどうですか」

「いや、今日は勝つ!」


 フラグを立ててどうするのさ。これって去年の再演? 本当に?


「そうですか。まあ、いいですけど。ああ、そうだ。私も言いたいことがあるので、試合が終わったら聞いてくださいね」


 私からも言いたいことがあると言えば、王子は目を丸くしてみてきた。


 さて、勝負だけど……うん、なんとなくわかっていたけど、王子は私を傷つけたくなくて、いま一歩を踏み出せないようだ。

 それだけ私のことを思ってくれているのだろう。


 うん。これはしようがないね。王子が完全に本気を出せないんだもの。


 ということで、やはり僅差で勝ちました。私が。またしてもがくりと膝をつく王子。


 私は剣を頼んでおいた友人に渡すと王子の前に立った。王子が陰になるように太陽を背にしてね。見上げた王子は私の表情が見えているのだろうか?


「さて、ジェイスター第二王子殿下、試合前に言ったことを覚えていますか」


 びくりと肩を震わせた王子は、瞬間立ち上がって逃げ出そうとした。そうは問屋が卸すかっての!

 お願いしたとおりに我が班員が私たちの周りを囲んでいます。


「逃げ場はないですよ。ちゃんと聞いてください」

「嫌だ! まだ何も言ってないのに、振られるなんて嫌だ!」


 思わず班員揃ってため息をつきました。


「殿下、私はまだ何も言ってませんよ」

「今から言うんだろう。拒否の言葉を! わかってるんだからな」


 キッと睨みつけてくるけど、どうして私の言葉を聞く前にこうなのか? 拗らせすぎでしょ。


「ええい、四の五の言わずに聞け! ジェイスター第二王子殿下、将来私と共にこの国の騎士団を纏めていきましょう」

「……はっ?」


 耳を塞ごうとしたのを同じ班の六年生に抑えられた王子。なので私の言葉をちゃんと聞いて、抵抗を止めただけでなく怪訝な顔をして見つめてきた。


「だからですね、ジェイスター殿下は将来騎士団長になるのでしょう。それならば私は、女性騎士及び騎士団長夫人としてあなたを支えていきます」

「あっ……そ、それ……えっと」


 思考が回らないのか意味のない言葉をつぶやく王子。


「好きですよ、殿下。私を婚約者にしてくださいますか?」

「えっ、あっ、うっ」


 王子は背中を叩かれて一歩前に出た。目が潤んでいたけど、袖で拭いて真面目な顔をした。


「好きだ、アリストリア!」

「それだけですか?」


 少し意地悪いかなと思いながら、聞いてみた。

 王子は一瞬動きを止めたけど、すぐに私の前に跪いた。


「アリストリア、共にあるというあなたの言葉を心強く思う。私は貴女だけを愛し、大切にすると誓う」


 私の左手を取るとそっと甲へと唇を寄せた。


 キャー!


 黄色い歓声が演習場を包んだのだった。



 さて、それからのことだけど、私が王子に告白したことを知った家族が荒れました。父と兄たちは第二王子を締め上げると息巻いたけど「私が選んだ人よ。文句があるなら私に言ってよ」の言葉に、撃沈しました。

 母は私から相談を受けていたので、そんな男たちを笑ってみていました。


 学園では女性から告白するということが流行りました。もちろんうまくいかない人たちもいたけど、概ね良好な結果になっています。


 だけど、あいかわらず私たちは甘い雰囲気にはなりません。


 いやだって、班活動でいちゃつくのは無しでしょう。それ以外でもね。というか、あまり一緒に居られる時間が無いんだよね。

 仕方が無いんだけど。


 先は長いからね。ゆっくりいい関係を築いていくことにするよ。



 Fin


Q 告白をしたけど恋人らしくなれない理由はなんでしょうか?

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