08
ビーッ! ビーッ! ビーッ!
突然、鼓膜を引き裂くようなけたたましいサイレンが鳴り響いた。
金属同士が擦れる音が響き渡り、数m先のシャッターが勢いよく下り始める。
「チッマジか!走るぞ!リリベル!」
急がねぇと閉じ込められる!
リリベルの手を掴み、走る。
クソッ間に合え!!
地面を強く蹴り、風を切るように駆け…
「……あ!!!」
リリベルの足がもつれ、よろける。
…ッ!まずい!!
掴んだ手を引っ張り、リリベルを引き寄せ支える。
「っぶねぇ!大丈夫か?」
「…うん。」
ガシャンッ!
シャッターの閉まる衝撃が空気を伝い全身を揺らす。
「ごめんなさい…。」
引き寄せた体が小さく震え、顔を伏せる。
「いや、俺が悪かった。ごめんな。」
「……。」
引き寄せた体の震えがぴたりと止まった。
「ん?何か言ったか?」
リリベルは俯いたまま少しも動かない。
反応がねぇ、考え事か?
いや、それより…
周囲を見回すが、前も後ろも完全に閉まり、それ以外はただの廊下だ。
チッ、完全に塞がれたな。
───その時。
『注水を開始します』
サイレンが警告音のような音に変わり、抑揚の無い放送が掛かる。
「…あ?注水?」
思わず声が漏れた瞬間、天井の両端に四角い穴が開き、床を叩きつけるように勢いよく水が流れ込んできた。
ッ嘘だろ!マジか!
等間隔に開いた穴は、計六つ。
その全ての穴から流れ込む冷たい水が、床を覆うように広がり、すでに靴底を濡らし始めている。
この状況を打開できる何かが無いかと慌てて周囲を見回す。
瞬間。
今より少し戻った位置の壁に、何か文字が書いてあるのが見えた。
《緊急ハッチ》
もう水は膝下まで達し、足には絡みつくような重さがのし掛かっている。
───走るより、担ぐ方が早い。
「…ッ!あった。行くぞリリベル!」
「…テオ? …!」
俺はリリベルを担ぎ、急いでハッチに向かう。




