03 ─リリベル視点─
「…ごめ……な…さぃ……ごめ…」
……いたい…
…さむい……
…お腹…すい…た……くる、しぃ…
ガッシャーン!!
なにこれ…キラキラ光って…る
これ……ガラス…?
…ドンッ。
床、ゆれて…
あたま、ひびいて…いたい…
「…だれだ!!」「いや…!!」
…とおくで…みんな、さけ…んでる…?
「い…だ!死…たくなっ…ガハッ!」
「来るな!この…」
『悪魔!!!』
…あく…ま……?
みんなのこえ…どんどん消えてく…?
…もう、きこえない…
すごく…しずか……
…そうだ……あくま、がきた…の…?
わたしも…つれてって、くれるのかなぁ…
静まり返った部屋の真ん中。
霞んだ視界の中に、1人だけが立っている。
割れた窓から差し込む月光に照らされ
キラキラと輝く赤い血。
夜が溶け込む烏の羽のような髪。
こちらを見る、紅い瞳。
き…れい…
でも、あくま…は、こわ…いはず、じゃ…?
『…ぃ……きろ……』
…ぁ…そっか……あくま…じゃ、ないんだ…
「………か…み、さま……」
「……………は?」
低い絞り出したみたいな声…
だれ…?かみさま…ち、がう…?
目の前には、ポカンと口を開けた、
……熊?
違う、クマのフードを深く被ってる…人…?
あれ…?でも、さっきは神様だった…気が。
……ジジッ……ジ……
「被検体の起床を確認。
只今より、実験を開始します。
被験体は速やかに行動を開始してください。」
ノイズ混じりの放送が鳴り響く。
……そうだ。殺すんだ。
ご主人様に言われた通りに。
……でも、
ガチャッ キィー
目の前の鉄扉が実験の始まりを告げる。
「キミ、名前なんて言うノ?」
「私は………。」
『ソフィア』
そう言いかけて、喉が凍る。
だめ。
この人には、言いたく…ない…。
「…………リリベル・ネリネ。」
「リリベルか。
俺はテオドアだ。テオって呼んでもいイ。
キミも一緒に来るだろ?」
「はい。」
私は頷いて、テオドアの後を追う。
「…そういえばキミ、
さっき何で神様なんて言ったンだ?」
「…分からない、です。……夢と重なって…。」
「ふーん。そっか。」
どんな表情をしてるのか見たくない。
また、重なったら…
「あ、キミも食べる?これ。」
赤と緑の包み紙…
………あの時の。
『こんなゴミ要らないでしょ』
だめ!まって!やだ!
…ぁ……もらった……のに………
…胸が、苦しい。
…………。
「それ、あんまり好きじゃない…です。」
「そっカ。」
「…ぁ」
視界いっぱいに広がる、黒い背中…。




