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言っている意味が、わからねぇ。

リリベルもだ。


パチ、パチとブーツの留め具を外す音が響く。

開いたブーツの隙間から、白い毛が覗く。



あぁ。まぁ、そうだろうな。


出てきたのは、白い獣の足。

リリベルは、スカートの中からナイフを取り出す。



…最後は、お前か。




リリベルはその場で数回跳ね、消えた。


瞬間、俺の左下に白が走る。

後ろに仰け反り、刃を避けた。


「…ッ」

脳が、揺れた。

足が、後ろへ数歩ふらつく。



マズい、次が。


反射的に剣を取り出し、刃を受け止め───。



剣が、弾かれて飛ぶ。

手に力が…



振り抜けてしまったリリベルは、体勢を崩す。



隙。

もう片方の剣の柄に手を掛け──




止まる。



理由もなく、力を抜いた。

リリベルを目で追う。


リリベルは、体勢を整え跳んだ。



…遅えな。


肩を押され、地面に強く背中をぶつけた。



息が出来ねえ。

胸が…。



腹に乗り、ナイフを振り上げる。



…終わりか。

来るだろう衝撃に、目を閉じる。



ハハ…何してんだ、俺。

小さく息を吐く。




……………来ない。



腹の上から動いた気配は無い。

遅え。なにしてんだ。





……あ?




目を見開いた。

俺は、重い腕を無理やり持ち上げ、




頬に伝う涙を拭う。



その時。

静かに、呟くような声が響いた。



「…どうして、反撃してくれないの。」



その声が、今にも壊れてしまいそうで。


「…大、丈夫か?」


ただ、それしか出てこなかった。



「私は、ソフィアなのにっ。

殺さなきゃ、いけないのに…」



…手が、足りねぇな。



「なぁ…お前、名前は?」



無理やり体を起こす。

震える目を、覗き込む。



「…お前は、どっちで…呼ばれたい。」




リリベルが小さく息を飲む。




「私…。私の名前…は……」



震える青い瞳が、俺の目を捉える。




「…リリベル。リリベルが、いい…」


その声は泣いていた。




「あぁ、わかった。

…リリベル。もし、よければ…。」



視界が歪む。



「俺と、一緒に…来ない、か……?」



体が落ち、意識が回る。



…ま、て。まだ…



体が浮いて、揺れる。


まだ…おちないでくれ…



視界が、暗くぼやける。







──瞬間。

風が、ふわりと頬を撫でる。

赤が、視界を舞った。



「やぁテディ。死んだかい?」



ここに来る前も聞いた、腹の立つ声。

だが。



「リリベルを、頼む」



その言葉が、届いたのかは分からない。

確認する前に、意識が深く沈んでしまった。





読んでいただき、本当にありがとうございました。



テオドアが高熱で倒れてしまったため、

ネリネの約束は、ここで終わりとなります。


この後に、

リリベルが組織に入り、日常を過ごせたかもしれない

――そんな「可能性の未来」のお話を、おまけとして置いています。

ただの日常の一コマですが、

もしよければ、覗いていただけたら嬉しいです。

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