02
「被験体は速やかに行動を開始してください」
スピーカーから流れる無機質な声がそう告げると
ガチャッ キィー
と、目の前の鉄扉が開く。
開いた扉の隙間から漏れ入る光が眩しく、
青年は眉を顰める。
「被験体って…。あぁ、このパターンか。」
呆れた顔でため息をつきつつ、
青年は少女へと視線を移す。
無表情のまま真っ直ぐと青年を見つめている。
普通だったら慌てる場面だというのに。
……連れてく方がいいか。
「キミ、名前なんて言うノ?」
「…私は、……。」
少女は言いかけて口をつぐみ、瞳を揺らす。
「…………リリベル・ネリネ。」
「リリベルか。
俺は、テオドアだ。テオって呼んでもいイ。
キミも一緒に来るだろ?」
「はい。」
リリベルと名乗る少女は小さく頷く。
俺はそんな少女を警戒しつつ部屋を出る。
部屋の外は案外明るい。
似たような鉄扉の部屋がいくつかあるが中には、
何も無いな。
「…そういえばキミ、
さっき何で神様なんて言ったンだ?」
「…分からない、です。……夢と重なって…。」
「ふーん。そっか。」
どんな夢だ。
どう考えても俺の格好見て”神様”なんて言葉でないはずなんだが…。
そう言いたい気持ちを抑えつつ、
ポケットからチョコを取り出す。
「あ、キミも食べる?これ。」
少女は少し目を見開き、
顔を逸らす。
そして、親指をギュッと握り込んだ。
「それ、あんまり好きじゃない…です。」
「そっカ。」
俺は、チョコを口の中に放り込む。
甘いチョコレートが口の中でゆっくり解ける。
┉┉嘘だな。
親指を隠すように握り込んでる。
ってことは…
……………。
さっきから足音一つしない廊下。
長いスカートは全然揺れねぇし、歩幅が小さい。
…あぁ、面倒くせぇ。
俺は、ポケットを探りもう一個チョコを取り出す。
食べようと思ったが、
隣でリリベルがジッと見てきて、気まずくてやめた。
チッ、好きなら好きって言やぁいいのに。




