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「リリ」


指を通る髪が、柔らかくて少し重い。

まんまるくなった青い目が揺れている。



夢か。


リリは、もういない。

でも、夢だとしても。


リリ、俺は…



「───。」

リリが、口を動かしてから目を伏せた。


今、なんて言ったんだ?


そう思った瞬間。

髪を梳く手が止まる。



…………ん?


柔らかくて、重い…?




サーっと引くように、頭が冷える。


「…リリベル?」


返事は無い。

目を見開いて、頭を下げている。


俺は、梳いていた手をゆっくり離す。


「悪い、寝ぼけてた。」


何やってんだ、俺。


さっと視線をズラし、

深く息を吐く。


「ッ…」


まだ痛え。そりゃそうか。


床に落ちた上着が目に入る。


そうだ、上着。


起き上がり、袖を通す。

濡れてっけど、ちょうどいいな。

気持ちよさに目を閉じる。



輪郭がぼやけ、頭が浮く感覚がする。

しばらくそのままでいた。




ダメだ。さすがに動かねぇと。

周りに視線を巡らせる。

すると、廊下の突き当たりにドアがあるのが見えた。


チッ。次は何だ。

眉を顰め、奥歯を噛む。


力を入れ、立ち上がる。

体が、重え。


「リリベル、大丈夫か?そろそろ行くぞ。」


リリベルは、少し遅れて立ち上がる。

無言で俯いたまま。



「歩けるか?」

反応は、無い。

でもついては来るみたいだ。


俺は、歩幅を合わせるようにゆっくり歩く。



ドアの前に立つ。

ドアノブに手をかけ、息を整える。

慎重に、ゆっくりと回す。





「ソフィアーーーー!!」




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