18
「リリ」
指を通る髪が、柔らかくて少し重い。
まんまるくなった青い目が揺れている。
夢か。
リリは、もういない。
でも、夢だとしても。
リリ、俺は…
「───。」
リリが、口を動かしてから目を伏せた。
今、なんて言ったんだ?
そう思った瞬間。
髪を梳く手が止まる。
…………ん?
柔らかくて、重い…?
サーっと引くように、頭が冷える。
「…リリベル?」
返事は無い。
目を見開いて、頭を下げている。
俺は、梳いていた手をゆっくり離す。
「悪い、寝ぼけてた。」
何やってんだ、俺。
さっと視線をズラし、
深く息を吐く。
「ッ…」
まだ痛え。そりゃそうか。
床に落ちた上着が目に入る。
そうだ、上着。
起き上がり、袖を通す。
濡れてっけど、ちょうどいいな。
気持ちよさに目を閉じる。
輪郭がぼやけ、頭が浮く感覚がする。
しばらくそのままでいた。
ダメだ。さすがに動かねぇと。
周りに視線を巡らせる。
すると、廊下の突き当たりにドアがあるのが見えた。
チッ。次は何だ。
眉を顰め、奥歯を噛む。
力を入れ、立ち上がる。
体が、重え。
「リリベル、大丈夫か?そろそろ行くぞ。」
リリベルは、少し遅れて立ち上がる。
無言で俯いたまま。
「歩けるか?」
反応は、無い。
でもついては来るみたいだ。
俺は、歩幅を合わせるようにゆっくり歩く。
ドアの前に立つ。
ドアノブに手をかけ、息を整える。
慎重に、ゆっくりと回す。
「ソフィアーーーー!!」




