11 ─リリベル視点─
07冒頭からです。
少し前からテオの足が速い。
早く追いつかないと、怒られる。
でも、ブーツきつくて歩きにくい。
それに、床ザラついててつま先が引っかかる感じがする…いつもの方がいい。
「あ、悪い。速かったか?」
え…
「お詫びにどれか好きなのやるよ」
おわび?おわびって何?
歩く速さ合わせてくれてる。
どうして?分からない。
でも、怖い感じはしない…?
テオは、ポケットから次々と種類の違うお菓子を手に並べている。
どんどんと積まれていくお菓子をつい目が追ってしまう。
見たことないのばっかり。
「……お菓子、たくさん…です。どうして?」
あれ、テオ笑ってた…?気のせい?
「ん?あー… 昔、初めて甘いもん食った時に救われた気がしてな。
そっから、持ってねぇと落ち着かなくなっちまった。
まァ、あとは単に好きなだけだな。」
テオのフードで隠れた顔で唯一見える口もとが、少しへの字に曲がる。
「……そっか。」
ダメ…だったかな。
でも、怒ってない。
…あ。
視線を落とした先。
テオの手のひらの中の、赤みがかった綺麗な飴。
神さまの目に、似てる。
「これか?」
そう言って差し出されるいちご味の飴。
私が見ていた飴。
なんで?
「違ったか?」
そう聞くテオの口は緩く微笑んでいて。
不思議。どうしてわかったんだろう。
けど…もらって、いいのかな。
そっと下を向く。
不意に手に何かが触れた。
「…別に後で食えばいいカら、とりあえず持っとけ。」
そう言いながら私の手に飴を乗せる。
手の中に…飴。
私の…
「………あ、りがとう。…テオ。」
頭がふわふわする。
でもいやじゃない。
あったかい…。
「いいんだよ、詫びだし。無理やり渡したようなもんだからな。
でも、欲しくなったらいつでも言えよ。」
…テオが、笑ってる。
どうして?
わび…は嬉しいもの?
でも、飴は良いものなのに。
…私、嫌じゃないのに。
なのに、どうして笑ってるの…?
分からない。
でも…
「どうした?大丈夫か?」
目の前にテオ。
「……なんでもない…です。」
いらない。
たぶん、こんなの知らない方がいい。
「そうか?」
…。
そっとスカートの中に飴を仕舞う。
私は、ご主人様のペット。
……こんな感覚、必要ない。




