第65話 ミギムネ
上村に刺された来斗だったが、その力は上村を遙かに凌いでいた。来斗によって喉を裂かれた上村の姿に、バイクのソードたちは戦意を失う。
だがその背後には、バイクたちを上回るソードの主力が迫っていた。
そこで麻理子が見たものとは・・
-もう終わったの?本当に終ったの?
そう思いながら、麻里子は辺りを見渡した。そしてあることに気付く。
「あ、あれ見て、尚巴さん!ほら、あっちも!!」
麻理子が指差す先には、襲撃に加わらなかったバイクの一団がいた。来斗の言葉に従ったソードだ。
「あぁ、あいつらが全員で掛かってきてたら勝てなかったかもな。黒主君のおかげだよ」
「違うの!尚巴さん、その後ろよ!!」
尚巴が目を見張った先、バイクの一団、その遙か後方に、バイクや車、トラックの集団が迫っている。
それは、九州各県から集まったソードの主力だった。
-バイクの連中の倍はいるぞ。こりゃまずい。
「麻理子!今のうちに叔父さんを中に入れるぞ!あれは止められん!!」
「尚巴さん違うの!あれのまた後ろ!それから・・こっち側も!」
「え?あれのまた後ろ?で、こっち側?」
ヒムカは海岸線から広大な宮崎平野を抜け、山手にまっすぐ登った場所、つまりなだらかな坂の中腹に位置する。この周辺には高い建物もなく、見晴らしもいい。
だから、遙か遠くまで見渡すことができた。
上村からの情報でヒムカに集まったソードの主力たち。しかしその後ろを見渡せば、道を埋め尽くす程の車が、バイクが、そして人々がいた。
それはヒムカに向かうただの民間人、いや「ただのPCL」だった。
4日目を否定し、裁きを主体とした過激な思想を持つソード。だが本来のPCL、”クロスライトの予言”という組織は、誰も悲しまない3日間の世界を望む者たちだ。その者たちが、ヒムカから配信されるクロスライトのメッセージに応えて集結したのだ。
その数はソードの主力を圧倒している。
更に上空には、轟音と共に3機の輸送ヘリも近づいている。各県機動隊とSATを乗せているのだろう。
その圧倒的な光景に、ソードの主力からも戦闘の意思が消えた。
4日目への希望を断とうとするソードと日本警察、そしてクロスライトたちの闘いは、こうして終結したのだった。
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「終わったね、尚巴さん。これで叔父さんも実験に入れるわ。そしたら・・」
「ああ・・あるといいな!4日目が!!」
ヒムカの前で、それぞれがそれぞれの思いを噛み締めている。だが、来斗だけがまだ、声を上げていた。
小鉢は来斗にカメラを向けた。
「誰か、だれかユウを、上村を助けてやって!血は出てるけど完全には切ってないんだ。すぐ止血すれば助かる!僕のことは後でいいからっ!上村を!!」
来斗の胸には、上村のナイフが刺さったままだった。下手に抜けば大出血するからだ。
担架で運ばれる上村を見ながら、来斗は呟いた。
「ユウのヤツ、ほんとダメだなぁ・・」
「心臓ってな?左にあるんだぞ?」
上村のナイフは来斗の右胸に刺さっている。
あと少し左なら、来斗は死んでいた。
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つづく
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