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それでも神を信じる探検隊

作者: 木島別弥

1 、天からの使者を待つ島


おじいさんが果樹園のそばで寝っ転がり、少女は一日中、空を見ている。

「見えるか」

おじいさんがいうと、

「見えない」

と、少女が答える。

「わしが生きている間には帰ってきそうにないな」

と、おじいさんがいうと、

「あたしが生きている間にも、帰って来ないかもね」

と、少女は答えた。

二人はずっと空を見ている。


2、人類が到着した系外惑星


あまたある人類が到着した系外惑星で、この惑星が選ばれたのには、わけがある。この惑星の調査は重要だ。なぜなら、この惑星に、あの万物の創造主である神が立ち寄った可能性があるからだ。

機械工学によって宇宙への進出を実現した我々にとって、神学的、狂信的な理由で受け入れ難いが、宇宙で神を見たといううわさを確かめるのは、意味のある探求である。

宇宙の創造主である神が、この被造物である宇宙の星々に、順番に立ち寄っている可能性がある。

我々、『それでも神を信じる探検隊』は、神が立ち寄った星の探索を行う。

あまりにも無謀な試みだが、神の理解、宇宙の理解のために、それを行う。

まずは、この星の探索だ。神が訪れたのがどれだけ昔なのかわからないが、おそらく、人類が地球で誕生したより古い神の痕跡である。

神は全知全能である可能性があるので、神が宇宙で見つければ、宇宙探索がふそれによって終わる可能性がある。


3、神が地球に立ち寄ったかの会議


「神は地球に立ち寄ったのか否か」

地球に神の痕跡はない。

「神が地球に立ち寄ったという証言はいくらでもあるではないか」

「それでも、神の痕跡が明確に残っているのは、神学考古学によれば、他の系外惑星の方なのです。神の痕跡を調査するなら、地球ではない惑星の方が効率がよい。残念ですが、神は地球よりも他の系外惑星の方により入念に立ち寄っているのです」


4、考古学遺跡


神が立ち寄った星を、整理してまとめる仕事をしている。

神の遺跡では、 物理法則が壊れている。

宇宙が作られてから百三十八億年がたったというが、我々が調べてまとめているのは、神が百三十八億年間で立ち寄ったすべての星である。

星の遺跡がすでに、人類より賢い存在がいることを確信させる。

やはり、神学的な探索は意味がないのではないか。宇宙を神学的にとらえることはあきらめるべきではないか。我々は深く悩んだ。

「遺跡を見れば 、神が存在することは明らかではないか」

そのような楽観論は、我々『それでも神を信じる探検隊』でも、容易にうなずくことはできない。


5、神に特別扱いされた星


神に特別扱いされた星が見つかった。神がその星を全力で幸せにしている。

我々、『それでも神を信じる探検隊』は、激しい嫉妬にとらわれる。なぜ、我々ではなく、この星だったのか。

どれだけ調査しても、我々ではなく、この星だった理由はわからない。

次の星を探そう。


6、神を信じる異星種族


異星種族には、時々、巡り会うが、その中で、全知全能で万物の創造主という神を信じ

ている種族が時々いる。

何が根拠なのかを聞くと、神託とか、預言とか、統計だとかいうことになるようだ。

我々人類が調べた遺跡はどうかと聞くと、我々が調べた遺跡の統計からは、神は存在しないと言ったことになるという。

いったい、どのような統計から神が存在するということになるのだろうか。

異星種族にも、さまざまな派閥があり、一定の見解はないという。


7、創造神の魂の半身


発見された遺跡のひとつに、創造神の魂の半身がいるものがある。

その半身は、宇宙が作られてから百三十八億年間、さまざまな星を渡り歩いてきた。

半身は全身と一体であり、半身は神そのものと等しかった。

「ついに、神の半身を発見した」

我々は大きな発見に喜んだ。

宇宙を幅広く探索した成果だ。あきらめずによかった。

半身が神そのものとどのようにちがうのか、我々はそれを知らない。


8、神殺しの星


神殺しはどのようにすればできるのか。

殺されることも全能の力。神が殺されることはある。

それが行われた星の遺跡は、神殺しの星として知られる。

ここから先は、神の第二の人生である。神は殺されても人生が続く。


9、楽園


我々、『それでも神を信じる探検隊』は、偶然、宇宙に楽園を発見した。楽園は、神とは無関係に発見されたものである。生きていてよかった。楽園が居心地がよすぎて、神の遺跡の探索がどうでもよくなりそうだ。


10、混乱拠点


ここから先の安全は保障できない。楽園が見つかったのに、何を求めるというのだ。


11、異次元からの攻撃


我々は『それでも神を信じる探検隊』。異次元からの攻撃をくらっている。いよいよ、神に会うのだろうか。


12、秘境


何も理解できない。ここはどこだ。

もし、神がみつかれば、宇宙のすべてを知ることになる。我々の神学的探索が、物理学的探索に先んじるのだ。

見つければ、おそらく神は教えてくれるだろう、この宇宙のすべてを。

楽園が本当に楽園だったのか、それを知りたい。

神は簡単には見つからない。我々は何百万年、あるいは何億年かけて、宇宙を調べ、神を探すしかない。

「ここまできたら意地だ。人間の体を捨て、人造生命体になり、何百万年、何億年かけて神を探索する」

「長く苦しむのが怖いな」

人造生命体になることを決意した時、神が語りかけてきた。

我々『それでも神を信じる探検隊』は、一度の人生で神にたどりついた。

やった。我々は時代遅れの愚か者ではなかった。


13、完成図


人類は、連鎖的征服装置によって、宇宙を征服することも可能になります。

しかし、おそらく、神が存在するため 、宇宙を征服はできないでしょう。

どうします。

「神よ、宇宙の征服に興味はない。あなたに会いたかったのだ」

「わたしが神だよ」

「神よ、あなたは何を望んでいるのだ」

「わたしが求めているのは、宇宙の全存在の究極的救済だ」

「あなたは、全知全能ではなかったのか」

「きっかけを待っていたのだ。今こそ、救済されるべき時だ」

これが『それでも神を信じる探検隊』の物語だ。話はこれで終わる。


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