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ドラギアス  作者: オリテアント
第3章 ノアズガーデン【ノアの匣庭】
18/21

新たな門出は前途多難

「う…ううん…。」


「気が付いた!」


「すみませんー!目を覚ましました!」


グリムバハムート【御伽の竜王】とサイクロプスアイズ【偉大なる隻眼】との戦いから一夜明け、最後の最後でカロイからの一撃を食らったサーティは見慣れない部屋で目を覚ます。


「ここは…?」


「ここはハルパニア国立病院だ。お前はあの後でこの病院に担ぎ込まれたんだ。」


見慣れない天井の正体は病院の天井であり、よく見てみると自分は病院服を着用していたのだ。


「良かった…良かったわぁ…!?」


「ロゼおねえちゃん…あれ…?」


気が付いたことにロゼは涙を流しながらサーティに抱き着くが妙な違和感に気が付く。


「ロゼおねえちゃん…なんだかおっきい?」


「あ…違うのよ…その…落ち着いて見てちょうだいね…。」


いつもよりロゼの身体が大きく見えて思わず圧倒されていたが、その理由を知っている彼女はおずおずと鏡をサーティに見せさせる。


「え…これ…ぼく…?」


鏡に映ったサーティはいつもの小柄な身体が更に小さくなっており、あどけなさや幼さがより強調するようなプニプニした雰囲気を醸し出していた。


「これ…ぼくなの?」


「あの後でサーティちゃんは身体が縮んだ…と言うよりも若返っちゃったのよ…。」


なんとサーティはカロイの最後のイタチっペを食らった時に何故か身体が十歳から五歳ほどにまで若返ってしまっていたのだ。


「それと少し服を捲ってください。」


「え…なにこれ…?」


病院服を捲ると左胸の心臓辺りに『の』の字の形をしたツルの先端に双葉が生えたようなアザがあったのだ。


「身体に異常はないようですが…その状態だけは今だに分からないようです。」


「大丈夫…?」


「ぼ…ぼく…ぼく…どうして…こんな…小さく…う…うわあああん!?」


若返ったのは身体だけでなく心まで若返ってしまったらしく、突然の出来事に訳が分からなくなり感情が抑えきれずに泣き出してしまう。


「父上、連れて参りました。」


「うむ、我が国を守った英雄達よ。よくぞこの国を守り、無事に帰って来た。」


ドラゴン族とギガント族、そして彼らを崇拝する組織との衝突による国を巻き込んだ戦いによって城内も多少荒れた状態ではあったが原型は保っていた。


その玉座にレスディンは腰掛けながらも戦い抜いた息子とその仲間達を労っていた。しかしこの場にはドラギアス達の姿がなかった。


「ひっく…ぐす…。」


「…しかし一部は無事ではなさそうだな。」


労うものの失ってしまった物もあるらしく、それは当然感情を抑えきれずに今だにロゼの腕の中で泣きじゃくるサーティに向けられていた。


「…あの、サーティちゃんの身に何があったんですか?」


「アンナ、現時点で分かっていることを申せ。」


「はい。失礼ながらサーティくんは寝てる間に精密検査をさせて貰いました。」


レスディンの代わりにサーティのことを分析してあたアンナが代理で説明をする。


「身体には特に異常はなく、それでいながらサーティくんの身体が若返ったのは恐らく『呪い』を受けたからだと思います。」


「呪いですか?」


「呪いなんて実在するのか?」


アンナの検査によるとサーティが若返ったのは呪いによる物だと言う。しかしながら呪いなんてのは治す手段のない疫病の一つであると言われているため、単なる言葉の()()か迷信かと思っていた。


「生物学的に言えば若返ることが出来る生き物は限られています。何よりも呪いと言うのは外の世界ではないこともないのです。」


しかしそれは大きく言えばこの大陸、小さくてもこの国の中だけによる物だった。実際には呪いと言う物は存在しそれに苦しめられる人が後を絶たないのだ。


「では、サーティくんは治せないのですか?」


「呪いは医療や医術ではどうにもならないんですよ。そもそもカテゴリーが違い過ぎますし…。」


病気は病原菌などによってもたらされるが、呪いは魔力からなる魔法や魔術の類の一つだ。そのため医療や医術では治療のしようがないのだ。


「じゃあサーティくんはこのままだと呪いで死ぬんじゃ…。」


「縁起でもないことを言うなよミイス!…ですよね?」


呪いとなれば知っている限りだと命を蝕む場合だってある。つまり呪いを受けたサーティはいずれ死んでしまうのではと全員が心配になる。


「大丈夫ですよ。呪いと言っても色々あってですね、死ぬような呪いなら既に死んでいるか常に激痛や苦痛に苛まされるはずですよ。」


「身体は何処も痛くないの?」


「うん、だいじょうぶ…。」


病気にも色々あるように呪いにも様々な種類があって、少なくとも命を脅かす呪いではないことだけは確かだった。


「だったらサーティくんは何の呪いでこんな…それに何でこれが呪いだって分かったんですか。」


「皆さんの目撃情報からするに最後に使われた剣のようなアーティガル…恐らく『魔剣カースセイバー』の仕業だと分かり呪いだと判断したんですよ。」


あの後で小さくなったサーティを病院に運んだ際に、ケガの容態としてカロイが何をしたのか話していたがアンナはその原因としてあるアーティガルに宛てがあったのだ。


「魔剣カースセイバーは斬りつけた相手に呪いをかける力があるんですよ。」


魔剣カースセイバーと言うアーティガルは、斬りつけた相手に様々な呪いをかける力があり、サーティのこの異常事態はその呪いの仕業である可能性があった。


「呪いは人それぞれで個人差がありますが…サーティくん、あなたに取っては何が望みですか?」


「え…その…ううっ…。」


「あ、私が代わりに聞きます。」


呪いはその人に取っては苦痛である事が多く、呪いの全容を解き明かすためにサーティに聞こうとするが幼くなったためまともに受け答え出来そうになかった。


「あのね…サーティちゃんに取って何が一番の望みだったのかしら?」


「うんとね…みんなをまもりたいって…つよくなりたいって…のぞんだの…。」


「ありがとうね。私達を守るために強くなりたいって願ってたそうです。」


ロゼが何とか落ち着かせてから話を聞き、泣きじゃくるサーティの代わりにアンナに説明するのだった。


「なるほど、つまり『守るために強くなりたい』と望んでいたから、彼はカースセイバーの呪いでその逆である『守られる弱い存在』にされたと言うことですね。」


「確かにサーティくんに取ってはこれ以上ない呪いになりますね。」


確かに若返ることは人類の夢かもしれないが、ただでさけ最年少だったサーティに取っては若返ってしまうことは呪いにも等しかった。


「これって成長とかは出来ないんですか?あくまで若返るだけで成長しない訳じゃ…。」


「そ…そうよね!若返るだけで成長しない訳じゃ…。」


ビートの発言でサーティは若返ったもののそこからまた成長し直せば問題はないと希望を持てる。


「しかし呪いの厄介な所はそこなんですよ。呪いは掛けた一度きりで終わるのではなく、常に付いて回るように相手に呪われた運命を強いるのですよ。」


「つまりどう言うことだ?」


「この呪いは単に若返らせるだけで終わるのでなく、常に『守られる弱い存在』にするために成長を阻害する可能性があるかと…。」


「それってサーティちゃんはずっとこのまま子供のままってことなの!?」


常に弱い存在であるために成長すらも奪う。確かにこれはサーティに取っては最悪の呪いとも言えるだろう。


「ぼくはもう…おおきくなれないの…?」


ようやく仲間を守れる程に強くなったと思ったら、呪いでその逆の弱い存在にされてしまった上に、二度と成長出来ないと聞かされて絶望の余り目からハイライトが消え、かなりいたたまれない表情だった。


「いいえ、まだ諦めるのは早いですよ。確かに呪いは厄介ですがそれを解く方法はあります!」


「本当ですか!」


「はい、こことは違う国では魔術文明や呪いを解く技術があります。ひょっとすると…。」


この国では呪いを解く方法はないが他国なら可能性があると希望を伝えるのだった。


「その国って何処ですか!」


「恐らくここよりずっと西へ行った所にある『ウィザルフ族』が治める『魔術国家イリュガル』だろう。」


「私も聞いたことがあります。魔術文明が盛んに進んでおり、全ての魔法や魔術はそこから始まったとされています。」


その希望の国はイリュガルと言い、魔術や魔法が盛んであると言う。そこでならサーティに掛けられた呪いを解けると話すのだった。


「ウィザルフ族ってもしかして耳の長い人達のこと?」


「え?ビート、お前なんでウィザルフ族が耳が長いって知ってるんだよ?」


「ウィザルフ族が住んでいるのはバレル山脈の付近ですからね。彼が知らないはずがないでしょうね。しかも彼はバレル山脈から来ているから、そこまでの道のりは知っているはずでしょうし。」


意外にもビートはウィザルフ族のことは知っているらしく道案内としても心強そうだった。


「ちょっと待って。それってつまりサーティくんをそこに連れて行かないとダメってこと?」


「長旅になるわよ。まさか自分達の足でそこまで向かうの?」


しかし話からしてサーティをそこへ連れて行くために長い旅をしなければならないことになる。仲間のためとは言え、かなりの長旅になることは間違いなかった。


「いや、途中までは問題ないはずだ。我が国には同盟を結んだ国とでテレポータルを設けている。」


テレポータルとは瞬間移動の魔法陣…いわゆるテレポートによって遠くの国を行き来する移動手段の一つだ。


「イリュガルとは同盟を結んではいないため、そこに直通するテレポータルはないが、近くの同盟国へ通れば…。」


「…残念だがそれは出来ん。」


イシュガルまでは一気には行けないが、その近くの国までは行けるはずだと考える。それならばまだ希望が持てるがレスディンは難しい顔で否定してしまう。


「な…何故ですか父上!確かにおいそれとテレポータルを使う訳にはいかないとは言え、この国の英雄を元に戻すためにも…!」


「確かにそうするべきだが、グリムバハムートとサイクロプスアイズのどっちかは分からんが…奴らの息が掛かった連中が密かにテレポータルを破壊していたのだ。」


レスディンもサーティの呪いを解呪してやりたかったが、なんとあの騒ぎの中でテレポータルを破壊されてたためどうにもならなかったのだ。


「そのため他国からの救援が遅れたのだ…。」


「言われてみれば…他国からの救援や遠征に向かっていたトライブレイトもすぐには帰還しませんでしたね。」


あれだけの大騒ぎがあったのに救援が来なかったのも既にテレポータルを破壊されたからだった。


「壊れたら修復したらいいんじゃないの?」


「その通りではあるが新しく魔法陣を展開した後に、同盟国からもう一度テレポート出来るようにその国の魔法陣を再起動させる必要があるのだ。」


「つまり一度はその国に行かないとテレポータルは使えないと言うことですね。」


ミイスの言うように修復はするが、もう一度テレポート出来るようにするにはその国に一度行く必要があるのだ。


「と言うことはやっぱり自分達の足で何とかしろってことだな…。」


「残念だがその通りだ。」


結論から言ってどうあっても自分達の足でその国へ向かうしかないと言うことだった。


「…だったらぼくはこのままでいいよ…みんながぼくのためにそこまでやる必要は…。」


「そうはいかない!お前は私達の国を救った英雄なんだ!このまま呪いでお前の運命を狂わされるのは王位継承者として我慢ならない!」


「もう自分を犠牲にしないの!私はサーティちゃんが大好きだから頑張れるの!このまま呪いを受けたままなんて絶対に許さないんだからね!?」


消極的なことを口走るため、サーティはこのままで良いと諦めかけるがホレスやロゼはそのことを叱咤する。


「それにアーティガルやドラギアスのこともある。今回の大騒動でこの国の外へと逃亡したらしくてな…実際に他国でもそれらしい目撃情報や被害が相次いでおる。」

 

解放され国内にいたアーティガルやドラギアス達は、今回の騒ぎで国外へと逃走しており被害が出たり目撃されるなどの情報が入って来ていたのだ。


「それにグリムバハムートのカロイもアーティガルやドラギアスを何体も用意してた辺り…敵も油断ならない相手と言うことですね。」


アーティガルのこともだが、今回の騒動でドラゴンとギガントの出現は敵側がドラギアスを何体も用意していた辺り戦力や実力は計り知れないだろう。


「その通りだ。のっぴきならない事態になっているのは確かだ。こんなことを英雄達に頼むのは心苦しいが、責任のこともある…何よりも呪いを解くにしてもテレポータルを再起動するにも国外に行って貰うしかないと言うことだ。」


敵対組織がアーティガルやドラギアスの力を今回のように悪用し続ければ被害はより拡大するだろう。解放した責任もあるため、サーティ達には引き続き捕獲の任務を続行させるつもりだった。


その道中で他国へと向かいサーティに掛けられた呪いを解き、更に断絶された他国への繋がりを元通りにするためにも国の外へと向かって貰う必要があったのだ。


「こうなったらやっぱ行くしかねぇな!」


「サーティちゃんを元に戻すためにもね!」


その理由を聞いてロゼ達はもはや躊躇う理由はないと躍起になる。


「…父上、その理由は分かりました。ですが、よろしいのでしょうか?今のこの国は復興中で少しでも戦力を置いておく必要があるのでは…出発は防衛の基盤が出来てからでもよろしいのでは?」


「そのつもりだ。何よりもお前達の休息が先だからな。戦力と防衛の基盤が出来次第までは暫く休養を取るが良い。」


「「「はい!」」」


あの激戦を潜り抜けたため全員ボロボロで体力も完全には回復していなかった。国内の防衛力も戦力もガタ落ちになっていることもだが、英雄達の休養が最優先事項とされるのだった。


「それとホレス、ロゼ、ビート、パスナ。お前達もドラギアスと契約して貰うぞ。入って来い。」


まだ契約していない四人のためにドラギアスを用意してたらしく契約を執り行うと言う。しかしながら他にドラギアスがいただろうかと首を傾げる。


『お腹空いたなぁ〜…。』


『うるさいわよあんた!』


『今日は良い天気ねぇ〜。』


『おい、さっさと進まんか!』


扉が開かれてアイラ達に連れられて見慣れないドラギアス達が四人入って来る。


「あのドラギアスの子達は?」


「お前達もよく知る四人だぞ。」


見慣れない顔触れだがレスディンはその四人のことを知っている上に、ロゼ達もよく知っている人物だと告げる。


『この子達は私達と戦ったドラゴンとギガントの四人よ。』


「あー、あの時の!」


入って来た四人の後でアイラ達が補足するように付け加える。この四人はあの戦いの中心にいたストーンドラゴン、スパークドラゴン、ネイチャードラゴン、そしてギガントのタイラントだった。


「随分と様変わりしたな。」


「どんな方法を使ったか不明ですが、両組織はドラギアスをドラゴンやギガントへと変身させていましたからね。元に戻せばドラギアスになるのも当然ですよ。」


国を壊滅一歩手前まで追い込んだ彼らは見る影も無くなり、今では大人しくなっていた。


『あ!君はあの時の!ご飯ちょうだい〜!』


「うえあっ!?」


すると黄色いロングパーマの髪をしたドラギアスがビートに飛びついたのだ。しかもビートに取っては聞き覚えのある単語を口にしていた。


「ご飯って…もしかして君はタイラント!?」


『そうなるよ!』


「そうなる…?」


台詞からこのドラギアスは戦いの中で唯一のギガント族となったタイラントだった。


『あたしはタイラント!お腹空いたの!早くご飯ちょうだい〜!』


「あの…食事を振る舞うのは別に良いんですけど、これは一体…?」


ドラギアスに戻っても食欲旺盛で無邪気であるところは変わらないタイラントだが、ビートはあの戦いの後なのにこんな形で受け入れて良いのかと躊躇っていた。


「その者達は僅かながらに支配を受けていたようだが、残念ながら奴らとの面識はなかったそうだ。」


「しかし父上、サイクロプスアイズはタイラントを崇拝してるようでしたが…。」 


サイクロプスアイズはタイラントのことを神のように崇めていたが、他の三人はまだしも崇められていた彼女が何の面識もないと言うのはおかしい話だ。


『私はタイラントって名前じゃなくて、ラルトって言うの!ママのママがタイラントって名前だったはずだけど…。』


「それはつまり…あなたのご先祖様がタイラントと言うことになりますね。恐らく子孫であるために崇拝の象徴にされたのでしょう。」


タイラントと言う名は先祖の名前を通り名として使ったことでそう呼ばれていたようだ。それなら彼らとも面識がないのも頷ける。


「それにしても…しはいされてたって…。」


「どうやって変身させたかは不明ですが…アーティガルの力を利用したり、彼らが襲われない所を見ると少なくともチェインタクトで支配下に置いていることは確かですね。」


「言われてみると…元のドラゴンやギガントに戻されたのなら人間に従うはずがないですしね。」


ある程度は自由にされていたが、カロイやマシュラの命令には一応は従っていた。本来の姿になったのなら人間に付き従う訳がなく、命令をしようものなら喉から噛みちぎられるだろう。


「ってことはやっぱりじゆうじゃなかったんだ…あのひとたちにあんなすがたにされて…。」


「やっぱり小さくなっても優しいわね。」


サーティは意図せずアーティガルやドラギアス達を解放し自由にした。


しかしグリムバハムートとサイクロプスアイズは解放のためと言ってドラギアスを、ドラゴンやギガントに変身させていたが結局は自分達のために支配下に置いていたことに悲しい顔をする。


「元に戻ったとは言え、奴らがまた狙わん訳でもない。お前達と契約すれば取り敢えずは問題なかろうし、これからの旅の道中では奴らの力が役に立つだろう。」


「ありがたき幸せです、父上。」


契約すれば二つの組織が狙ってたとしても簡単には奪えないだろうと考えてのことだった。何よりも自分達も契約して力を身に着ければこの先役に立つことは間違いないはずだ。


「じゃあ、君は僕と来る?」


『決まりー!美味しいご飯ちょうだいー!』


「その前に…チェインタクト!」


もはや拒む理由はなくビートはタイラント改めラルトと契約を結ぶのだった。その途端にビートの全身に力がみなぎり始める。


『あら、可愛い子ね?お名前は?』


「え…あの…。」


緑の長いストレートの髪に二つのメロンを彷彿とさせる胸部をしたおっとりしたお姉さんのようなドラギアスがサーティに話しかける。


「サーティちゃんが怖がってるでしょ!あなたは誰?」


「初めまして、私はベルナ。よろしくねサーティちゃん。」


「ちょっと!話すなら私を通してちょうだい!」


敵意などはないとは言え、気安く大好きなサーティに話しかけたベルナが気に食わず番犬のような顔つきになる。


「あなたは?」


「サーティちゃんのお姉さんであり保護者であるロゼよ!」


自己紹介と言うよりも自己中心的なことを知らしめるかのように言うロゼ。


「ロゼちゃんって言うんだ。私、可愛い子とお花が大好き!お友達になりましょう!」


「え…あ…そうね…チェインタクト…?」


敵意を見せまくっていたのに、友達になりたいと言われ調子が狂ってしまう。しかしその分言葉に裏表がないのが見て取れたため、少なくとも気が合いそうだと考えて彼女と契約するのだった。


「何これ…植物が生えてくる…!それに陽の光を浴びると元気が出てくるわ!」


するとロゼからエメラルドグリーンの光を放つ植物が生えてきて、彼女の意思のままに動き陽の光を浴びると力が溢れてくる。


『あたしは…。』


「私と組みませんか?」


年齢的にはアイラより年上の十四歳くらいのツインテールのドラギアスの少女がパスナから契約を持ちかけられる。


『はあ?何であんたみたいな冴えないメガネと契約しなきゃいけない訳!?バッカじゃないの!』


せっかく声を掛けたのにパスナのメガネがずり落ちる程にまくし立てる。


『まあ、あんたがどうしてもって言うならそれで良いんだけど?』


「どうしても何も…。」


メガネをかけ直したパスナはある方向を指さした。


「私はホレス。この国の王の子供の一人だ。」


『私はファート。ドラギアスではあるがお主とは気が合いそうだ。』


「同じことを考えていた。チェインタクト!」


出会ったドラギアスの中では一番の年上で厳格そうな青年のドラギアスはファートと名乗り、雰囲気が似ているホレスと意気投合し契約するのだった。


「これは…ぬおおお…!」


するとホレスの周りに岩や土が出現し城壁を作り出し彼自身を持ち上げるのだった。


「これが私の力なのか…。」


『そのようだな。』


「もう既に契約してないのは私達だけだったので。どうしますか?」


『んな…!?』


力を得て互いに満足し合うホレスとファート、更に自分達が余り物の立場であることを目の当たりにしたツインテールのドラギアスはショックを受けていた。


『べ…別にあんたなんかどうでもいいけど!どうしてもって言うなら…。』


「私は最初からあなたって決めてましたよ。」


『なっ!?』


もうパスナと契約するしかないが素直になりきれない彼女だが、パスナは最初から彼女と契約するつもりだった。


「そう言えばあなたの名前を聞いてませんでしたね。名前は何と言いますか?」


『わ…私はキャズよ!契約するならさっさとしなさいよ!?』


「それではチェインタクト。」


照れながらそっぽ向くキャズと契約を果たすパスナ。デコボココンビな感じだが、なんだかんだで相性が良さそうな二人だった。


「これでお主達、全員の契約が完了した。戦力的には申し分ないだろう。しかしは休養を取りつつも武器や装備などを取り揃えて置くのだ。我々も旅に必要な物は用意して置こう。」


「ありがとうございます、父上。」


「うむ、最後に息子と英雄達よ。成り行きとは言え、世界を旅して立派に帰って来るが良いぞ。」


英雄となった自身の息子とその仲間の英雄達に激励をしてその場を解散するのだった。

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