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ドラギアス  作者: オリテアント
第2章 グリムバハムート【御伽の竜王】VSサイクロプスアイズ【偉大なる隻眼】
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勝つ方法は仲間の数だけある

『ハイサ!』


「でぇやあ!」


新しく仲間に加わったホウルはジャオと共にギャングトルーパーを己の拳と足で次々と蹴散らしていく。


「あのドラギアスの子…武器も無しに戦ってるわ。」


「あれは『武術』って言って武器をあまり使わず、己の肉体のみで戦う技術のことだよ。バレル山脈の住人も肉体一つで戦うけど何処か違うね。」


肉弾戦を見たことがなかった訳ではなかったがホウルの独特の構えに加えて無駄のない動き、そしてジャオとの一糸乱れぬ連携を取るなど武術の達人の動きをするため思わず魅入ってしまう。


『ギギギ!』


「親玉アリがまた兵隊アリを出してくるぞ!」


仲間が減ってきたためにアリカポネは再び産卵してギャングトルーパーを増やすのだった。


「頭領、行くぜ!チェインタクト!」


『よし!』


こちらも本領発揮だとジャオの手首とホウルの首から赤い鎖が出現して一つとなる。


「忍法…分身の術!」


チェインタクトによってホウルと契約したジャオは新たなる能力に目覚めると、彼女の身体から何かが複数飛び出すのだった。


「「「うおおおっ!」」」


「ええっ!?ジャオちゃんがいっぱいいる!?」


なんとジャオから飛び出したのは八人のジャオ本人であり合計九人となったジャオ達は一斉にギャングトルーパーへと向かっていく。


『グオオオオオ!』


「ストーンドラゴン!お前の相手は俺らがしてやる!」


『おうよ!フレイムガン!』


ストーンドラゴンにサルサとアルフが迎え撃つも、かなりのダメージを受けているにも関わらず戦車のように突き進んでくる。


「「だあ!」」


『グアア!?』


だが、不意に視線にジャオが映った瞬間に強い痛みを伴い一時的に前が見えなくなる。分身のジャオがストーンドラゴンの目を攻撃したのだ。


『グオオオン!?ウオオオン!?』


「ぐああ!?」


「負けるかよ!?」


痛みによる悶えと分身のジャオを振り払おうと建物に身体をぶつける。分身のジャオは岩のような鱗の影に隠れて身を守るのだった。


「ジャオちゃんスゴい…あんなことが出来るなんて。」


「あなたの可能性はそれ以上なのですよ。さあ、我々と共に…!」


マシュラがどさくさに紛れてサーティに近寄り勧誘しようと手を差し伸べてくる。


「そんなのダメー!」


「邪魔立てを…!」


しかし彼とマシュラの間に水が流れ、ミイスがサーティを自身に寄せてお断りだと告げる。


「サーティくんはもっと離れて!君が連れて行かれたらきっとロゼちゃんや皆が悲しむよ!」


「う…うん…。」


ミイスに言われ後ろ髪引かれながら瓦礫の後ろに隠れるサーティ。


「そこを退け!」


「ヤダよーだ!」


四本腕で剣を握り締めてミイスを攻撃するも、水流で刃を受け流していた。


「ネイチャードラゴン!」


『グオオオン!』


そんな二人にカロイに仕向けられたネイチャードラゴンが向かっていき黄色いガスのような物を吹きかける。


「くしゅん!?」


「はっくしゅん!?何これ…花粉!?」


黄色いガスは花粉らしく吸った瞬間に鼻や目に異物が入り込んだかのようなムズムズとした感触に襲われてくしゃみと涙が止まらなくなる。


「ミイス姉ちゃん!」


「スパークドラゴン!」


『ギシャアアア!』


心配になって身を乗り出そうとするがスパークドラゴンが目の前に立ち塞がる。


「もはや意思の有無は関係ない!すぐさま彼を連れてくるんだ!」


『そんなこと…させない!ムーブロック【動作封印】!」


こちらは無理やりにでも連れて行こうとするが、スパークドラゴンの頭上からアイラが飛び乗り、身体の動きを封印してしまう。


『ギ、ギ、ギエエエ!』


『きゃあ!?』


しかし身体の動きを止めても電気の能力までは止められないらしく、諸に放電を受けてしまったアイラは吹き飛ばされてしまう。


「アイラ!」


『見〜つけた〜!』


アイラの心配するも今度はギガント族ゆえの巨体を持つタイラントが、瓦礫をオモチャのように持ち上げてサーティを見下ろす。巨大怪獣と目が合ったかのようでサーティは思わず硬直してしまった。


「危ない!?」


「ロゼお姉ちゃん!」


手が伸ばされるもロゼが素早く掻っ攫って難を逃れるのであった。


『待てー!』


「くうっ…しつこいと嫌われるわよ!?」


「ロゼさん!?…あ、そうだ!」


ロゼとサーティの危機を見たビートは何か思い付いて大砲のある所まで駆け出す。


「確か…あった!バルコーン!」


ビートはリュックからトウモロコシのような粒が入ったビンを取り出し、それを油や塩などと一緒に大砲に入れる。


「バルコーンは瞬間的な熱を加えると一気に破裂する性質がある…!さあ、たっぷりごちそうしてあげるよ!」


かなりの重さがあるのに火事場のバカ力と言うべきか、ビートは大砲をタイラントの進行方向へと方向転換させて引き金を引くと複数の粒がパチパチと弾けながら宙を舞う。


『ん〜?何これ…。』


「さあさあ、食べてって食べてって!ビート特製の大砲ポップコーンだよ!」


『食べる…あむ…ん!美味しい〜!』


食べると聞いたタイラントは迷わず雪のように降ってくるポップコーンを口にすると蕩けてしまいそうな顔を浮かべていた。


「おかわりはたくさんあるよ!どんどん行くよ〜!」


『あむ♡あむ♡あむ♡』


大砲でポップコーンを撃ち出して、雪のように降らせるビート。それを美味しそうに頬張って食べるタイラントは互いに良い勝負が出来そうだった。


「ビートくんも考えたわね。あれなら大丈夫そう。」


「おわあっ!?」


『ゴアアアア!』


安心したのも束の間、ストーンドラゴンがサルサとアルフをロゼ達の側へと突き飛ばしたのだ。


『スゴいなこいつ…あれだけ手負いでもまだやるのか…まだ立てるか。』


「もちろんだぜ…!」


さすがのストーンドラゴンも疲れた様子を見せ始めるも、アルフもサルサも何度も岩の鱗にぶつかってボロボロになっていた。


「二人とももう止めて!ボロボロだよ!?僕があの人達について行けば皆は…!」


「サーティちゃん!それは…!」


「へへっ…そう言うもんなんだぜ誰かを守るってのは?」


痛ましい様子にサーティは再び身売りしようとし、ロゼは猛反発しようとしたがサルサは不敵な笑みを浮かべながらサーティの頭を軽く小突く。


「守りたいからこそどんな傷だらけになっても守ろうとするんだよ人ってのは…傷だらけになっても守り切ったらそれは最高の喜びなんだぜ?」


「でも…でも…僕は何も出来ないのに…。」


サルサに励まされたり、カロイ達からも願いを叶える力があると讃えられるも過大評価ではないかとより落ち込んでしまう。


『そんなことはありません!我が主君は立派です!我々を解放してくれたこともですがあなたにはやはりスゴい可能性があると信じています!』


「そうよ、皆あなたのことが大好きだから頑張ってるの。」


しかし諦めずにジャンヌ・ダイアは可能性をロゼは皆の思いをサーティに伝える。


「…だったら僕はどうしたら…。」


「皆の思いに応えてあげて…今はダメでもいつか分かる時が来るから…。」


いつもはベタベタに甘やかすロゼだが、今は本当の母親のように優しくサーティに諭すのだった。


「まだここに隠れてて…全て終わったら皆でまた過ごしましょう。ジャンヌちゃん、サーティちゃんをお願いね。」


『承知した!』


宮殿の中にサーティとジャンヌ・ダイアを置いて、ロゼは戦線へと戻って行くのだった。


「ロゼお姉ちゃ…っ!?」


「きゃあ!?」


宮殿から後を追うようにロゼを見ていたが、分身のジャオがロゼに飛んできて押し倒してしまう。


「いたた…何なの?」


『ギシャアアア!』


『下がって!』


起き上がるとスパークドラゴンが分身のジャオ達を放電で薙ぎ払っていて、ホウルと本物のジャオは後退りしながら戦っていた。


「頭領!もう一度…うっ!?」


『足が…!?』


『グルルル…!』


もう一度攻撃しようとしたが足にツルが絡まって動けないことに気が付く。それを見ていたネイチャードラゴンはしめしめと近づいて来た。


「ごめん…皆…捕まった上に力が抜けて…。」


『ううっ…。』


身体に根っこのような物が絡みついたミイスとギザがネイチャードラゴンの胴体に貼り付けられてエネルギーを吸われていた。


『グオオオン!』


『ぬあっ!?』


「アルフ!?おわあっ!?」


ストーンドラゴンの吐いてくる岩石によって周囲を取り囲まれてしまう二人。炎を出してもビクともしなかった。


『グルルル…!』


「ヤバい…!?」


逃げ場がなくなった二人を岩石の上から睨むストーンドラゴン。口を開けて岩を大量に吐いて生き埋めにするつもりだった。


「止めろ!」


「止めろ!幾ら何でも無謀だ!?」


剣を抜いて友達の危機に駆けつけるも、岩の鱗の前ではハエが体当たりするような物であった。


『ブガアアアア!』


「危ない!?」


「ぐわあっ!?」


振り下ろされた岩石の塊のような尻尾がホレスと庇おうとしたパスナの二人を叩き潰してしまう。


「ホレスー!?パスナー!?」


『グオオオン!』


友達が押し潰されたのを見て絶望するサルサとアルフにも岩石が大量に吐き出されて押し潰されてしまう。


『ギシャアアア!』


「はっ!?うわあっ!?」


タイラントをポップコーンで引いていたビートだが、スパークドラゴンの稲妻が大砲の火薬に当たり大砲を巻き込む大爆発をするのだった。


『皆…!?』


「アイラ!?危ない!?」


『グオオオ!』


次々と仲間がヤラれていくのを見て絶望していたアイラにネイチャードラゴンの樹木が辺りを覆い尽くしていき姿が見えなくなる。


『ジャオ!?』


「頭領!?」


「サーティちゃん!?逃げて…!?」


しかし樹木の大群は一気にホウル、ジャオ、ロゼを呑み込んでしまうのだった。


「皆…!?」


自分以外の仲間が全員ヤラれたことに絶望して力なくへこたれ、もう大好きな人達がいないことに涙を流すサーティ。


「さあ…これでもう君は独りだ。我らグリムバハムートと共に…!」


三体のドラゴンを伴いながらカロイが手を伸ばしてくる。それを見たサーティは孤独からの救いを求めるかのように手を取ろうとする。


『守りたいからこそどんな傷だらけになっても守ろうとするんだよ人ってのは…傷だらけになっても守り切ったらそれは最高の喜びなんだぜ?』


『皆の思いに応えてあげて…今はダメでもいつか分かる時が来るから…。』


そんな中で兄のようなサルサと姉のようなロゼが優しくそれでいて奮い立たせるように言ってくれた台詞を思い出す。


「……そうか…僕があなたの手を取ることは…。」


「どうしたんだ?」


寸での所で手を止めたサーティにカロイは何事かと見つめる。


「僕のために戦ってくれた、皆の願いを裏切ることになるんだ…皆が僕のことを思ってくれるなら…。」


仲間達が何を願ったのか?それはサーティを守りたいと願ったに違いない。確かにそれは果たされたがそれなら守られた本人は何を願うのか?


「僕は最後のその時まで戦ってみせる!それが僕の願いだ!!」


仲間達が守ってくれたのなら、サーティはその願いを果たすために最後までカロイ達と戦うべきだと決意する。


その途端に胸の奥が熱くそれでいて太陽のように暖かくなるのを感じ、それほどまでの強い力が心臓から始まって血潮に載って流れて全身に駆け巡る。


『サーティ…!あなたは…うおおおっ!!』


そんなサーティに呼応するようにアイラもまた白く輝き始めて呑み込んでいた樹木を押し退けようとした途端に白い光のドラゴンとなって空へと飛翔する。


「こ…これは…何なの!?」


「あたし達…力が強く…!?」


同じく植物に押し潰されていたジャオ達も助かるのだが、同時に自分達の身体には信じられないほどのエネルギーと力がみなぎるのだった。


『それにこれは…私達を解放した光!?』


「まさかサーティちゃんが…?!」


何が起きたかは不明だが、ホウルの言う通りこれはアーティガルやドラギアス達を解放したあの時の光と同じであった。そんなことが出来るのはそれ行った本人…つまりはサーティしかあり得ないのだ。


『グオオオン!』


「アイラ…シンクロコネクト【相思伝心形態】!」


光のドラゴンとなったアイラがサーティを優しく抱き締めると、血のような赤い鎖が二人を一つの姿へと変えていく。


「僕とアイラは一つ…!皆の思いを果たすために僕達は一つとなった!」


今のサーティはまるで竜騎士のようになっており、背中にはドラゴンの翼に腰からはドラゴンの尻尾が生えた形態となっていた。


「グリムバハムート!サイクロプスアイズ!僕らの大切な人達や国を脅かすお前達だけは絶対に許さない!何よりも大切な人達を守りたいと言うこの願いだけは…絶対に負けることはない!」


一つとなったアイラとサーティはグリムバハムートとサイクロプスアイズに最後の対決を挑むのだった!

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