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クリスマスに願うもの

作者: 北野とほ

 僕は心の中でどこか、まだサンタクロースを信じている。

 小学校二年のとき同級生だった幼なじみの麻衣が、冬休みの宿題の作文でこんなことを書いてみんなの前で発表した。

「イブの夜、わたしはサンタが来ると思って、ずっと起きて待っていました。するとお部屋にお父さんとお母さんが入ってきて、枕元にプレゼントを置いていきました。次の朝、そのことを言うと、お母さんはお父さんに向かって、バレたわねと言いました」

それを聞いたとき、僕は混乱してしまって、「サンタはいるに決まってる!」と本気で反論したことを覚えている。

 その事件以来、根拠のない迷信は消え去ったが、心の中ではサンタは特別な存在のままだ。

だからわが家には毎年サンタがやってくる。小五の末っ娘はもとより、中二の息子も高一の長女も、クリスマスイブには、サンタに手紙を書いて、居間のテーブルに置かれた大きな靴下の袋に添えている。

 しかしだんだん、「〇〇の衣装がいい」とか、「△△の変身ベルトが欲しい」という具体的なのはなくなり、「私が欲しそうなものをください」とか、シンプルに「プレゼントをください」というのになってきた。もちろん、本当はもうわかっているのだろうけれど。

 これが、「地球温暖化を止めてください」だとか、「日本の景気を良くしてください」とかというのだったら親は何もできないのだけれど、わが家では幸いそういうトラブルは起きていないのでよしとする。

 

 子供達が寝静まったときサンタに願おう。

 これからも家族が幸せな気持ちでいられますように。この時間が続きますように。世界中の子供たちが幸せに過ごせますように。


(了)

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