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7.宰相の息子の場合

「ああああぁぁぁぁぁ……」

「父上、まだ終わっていません。落ち込むのは後にして、仕事に戻って下さい」

「……なぜだ。小さい頃は、お父様のお嫁さんになると、言ってくれていたのに」

「世の女性たちは、大体同じことを言うそうですよ」


 落ち込んで愚痴る宰相に、宰相の息子であり婚約者の弟は、冷静に突っ込みを返す。大体、父の作戦が無茶苦茶過ぎるのだ。


 姉に感情を出すなというなら、それを家でも実戦させればいいものを、そんなことをされたら父が悲しいという理由で、家ではごく普通だった姉である。きっと、姉自身も色々父に対して思うところがあったに違いない。


「お前は姉が別の男に盗られてもいいというのかっ!」

「幸せになってくれればいいな、とは思いますが」

「それはつまり私の側だろうっ!」

「はいはい、いい加減諦めて下さいよ。そろそろ愚痴は止めて、仕事して下さい」

「……お前も、小さい頃は父上みたいになると言ってくれていたのに、味方をしてくれないのか」

「今でも僕の目標は父上ですけどね」


 目標であることと味方をすることは、全くの別物だと含みを持たせる。だが、息子の言葉に宰相はほんのわずか、口元に笑みを浮かべた。


 そして一瞬の後には、父は仕事の顔に戻った。


 そうでなくちゃいけない。自分が"婚約破棄の日"に参加するのを放棄して、父の側にいる意味がなくなってしまうから。息子も笑みを浮かべて、仕事に集中したのだった。


これで終わりになります。ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 最初は不穏な雰囲気で始まったのに、第3話で胸キュンです……! それ以外のお話も色々なエピソードがあって、面白かったです(´ω`*) 普段から思ったことを言い合える間柄だったらいいんでしょうけ…
[良い点] 遅くなりましたが、完結おめでとうございます\(^o^)/ とっても面白かったです(^^)/ 文官たちの奮闘の日、ハラハラドキドキしながら拝読させて頂きました。 でもコミカルに書かれていた…
[良い点]  婚約破棄の表側の様な派手な物の裏で、密かに行われているであろう出来事を、裏方視点から面白おかしく書かれているこのオムニバス? でいいのかな? とても面白かったです!  色々な事に奮闘、…
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