紅に染まった桜
鬼の一族ってなんかかっこいい…!と思って書き始めました。本当に短編ですが最後まで楽しく読んでいただけると嬉しいです!少しですが自分なりに伏線貼ってるのでぜひ探してみてください!(タイトルにも…?)
−–何故こうなってしまったのだろう。
先程まで「桜!」と私の名前を呼びながら笑顔を浮かべていたソレは、辺りを紅に染めながら……死んでいた。
16年前、私たち姉妹は双子としてこの世に生まれた。家族構成は姉の椿、私、母、そして父は鬼族の当主である。いや…だった。と言った方が正しいだろうか。
当主の娘である私たちは、当然次期当主となる。次期当主は、本来成人の儀を終えると体に紋様が現れる。そして、その紋様が現れるのは現当主の血を濃く受け継いだ者、つまり当主の子供にしか現れることはない。しかし、私たちが双子として生まれてしまったことで、どちらが次期当主なるのかは誰にも分からなかった。
昔から姉様は優秀だった。成績優秀、運動神経抜群、容姿端麗。まさに完璧な女性で、周りからも「次期当主は椿だろう」と期待されていた。
それに対して私は全てにおいて平均的であった。どれだけ努力しても姉様の足元にも及ばない。初めは姉様に追いつこうと必死だった。でも、いつしかそんな事は考えることも無くなった。才能という、自分にはないものを見せつけられ、私と姉様が並ぶ事はないのだと思い知らされた。何故双子なのに私たちはこんなにも違うのか。−–何故、私たちは双子として生まれてしまったのか。
「姉様なんて、いなければ……」
月日が過ぎ、私たちは成人の儀を迎えた。そして想像していた通り、紋様は姉の方に現れ、皆は歓喜に震えた。−–妹でなくて良かったと。
成人の儀を終えた日の夜、桜と私は父に呼び出された。そして言われた。
「–−桜を殺せ」と。本気だった。意味が分からなかった。何故、桜を殺さなければいけないのか、何故この男は実の娘を殺そうとしているのか。すると父は言った。
「私の娘は2人もいらない。次期当主であるお前さえいれば何の問題もないだろう。それに……出来の悪い娘など私にとって恥でしかないさ。大丈夫、お前は何も悪くない。ただ
いらないものを処分するだけだ。優秀なお前ならできるだろう?」
そう言われて私は思った。
−–ああ、やっと……殺せる。
「はい」
そう答えると、父は満足そうに笑って私にナイフを手渡した。次の瞬間、自分の片割れであった「モノ」が辺りを紅に染めながら床に倒れていた。人を殺めてしまった罪悪感と、ほんの少しの優越感が私を襲う。そして、殺してから気づいた。−–こんなにもあなたを愛していたのだと。だから、
「私も今逝くね、……姉様」
そう言って私は、自分の心臓にナイフを突き立てた。その死に様は、まるで紅い桜が散るように−–美しかった。
END
まずはここまで読んでくれてありがとうございます!
みなさん伏線には気づいたでしょうか?
あるとこから姉の椿と桜が入れ替わっています!
ということは実際紋様が現れたのは…?
あとは分かりますよね!タイトルの紅に染まった桜は妹の桜の手が姉を殺してしまった事で血に染まってしまったという事です!
また他の作品も気が向いたらぼちぼち書いていこうと思います!そのときはぜひ読んでいただけると嬉しいなと思います!