④ 公共サービスの自由化と東京一極集中の罠
筆者;一般的には緊縮財政を行うことが推奨されています。
これは、国の財政赤字がいけないという“悪い固定観念”が流布されていることが原因です。
一般家計の例えで国の財政を例えるという明らかに間違った感覚で伝えていることが国民が騙されている原因となっています。
先ほども申しましたように、国債を発行することによるダメージがあるとすれば貨幣価値が世界的に低下して円安になることとインフレになることぐらいしか考えられません。
質問者:その誤った価値観による「財政健全化」には増税か公共サービスの民営化があるんでしたね?
筆者:そうです。過去行われた大きなこととしてはJRへの自由化と郵政民営化です。
以前から読んでくれている方のためにも今回は少し違った切り口で見ていきましょう。
2022年2月14日のNHKの記事で『存続危機の地方鉄道 廃線など見直し視野に議論開始 国の検討会』と言うものがありました。ここから引用させていただきます。
『国が新たな検討を始めた背景には、新型コロナウイルスの影響で鉄道会社の経営環境が一段と厳しさを増し、地方路線の維持への危機感が強まったことがあります。
JR西日本の長谷川一明 社長は、NHKのインタビューで
「経営が厳しい状況で、利用が少ない路線をこのまま放置できない。自治体とともに今後の展望を見いだしていきたい」と述べて危機感をあらわにし、
特に利用者が少なくなっている地方路線の今後のあり方を沿線の自治体とともに検討したい考えを示しています。
昨年度の2332億円の最終赤字に続き、JR西日本は今年度(2021年度)も最大で1165億円の最終赤字になるという見通しを示しています。
経営の立て直しが急務で、会社は中国地方の支社の大規模な組織再編を行うほか、在来線の大幅な減便を行うなどして経営の効率化を進めています。』
今も少しずつJRにおいては廃路線、減便がされていますが、地方では今後さらにそれが進むことでしょう。
また、郵便サービスにおいてはポストへの集荷の減少が今でもありますが今後さらに加速するようです。2019年には経営効率化のために1万人郵便局員削減のニュースもありました。
更に朝日新聞の2021年8月19日『かんぽ営業拠点を3割程度に集約へ 1万2千人出向予定』によりますと、
『社内資料によると、いま全国2061局で働く日本郵便のコンサルタント社員(旧金融渉外社員)約1万2千人を623局に集約。来年1月中旬から段階的に異動させ、顧客の保険契約の多くも集約先へ移す。東京都内には50超の拠点ができる一方、地方では数拠点となる県もある。窓口で受けた契約の担当局はこれまでと変わらない。』
でも、この流れは民営化された時には分っていたことです。
“一時的な移行状態”として全国一律のサービスは据え置かれていましたが、民間企業化することにより“経営効率化”が自ずと推奨されますからサービスの縮小は避けられないのです。
こうやって民営化によって人口を都市部に集中させようという流れに関しては正直あまり良い事ではありません。
質問者:どうしてでしょうか? 東京は確か所得に関しては全国1位だと聞いたのですが……。
筆者:これも世間に知られていない事ではあるのですが、
実を言うと、東京都の場合「所得」に関しては全国1位ではあるのですが、中身を開いて見ると実情は酷いのです。
例えば、国土交通省の令和3年1月29日より開催された『企業等の東京一極集中に関する懇談会』での参考資料『企業等の東京一極集中に関する懇談会 とりまとめ』というところからの78ページ目以降のデータを参考に書かせていただきます。
全世帯の可処分所得 は東京は全国3位
中央世帯の可処分所得は東京は全国12位
中央世帯の可処分所得-基礎支出(食費や水道光熱費、家賃など)は全国42位
中央世帯の可処分所得-基礎支出+通勤時間の費用換算)は全国47位
ということになっています。
質問者:え? え? 使える金額は全国最下位ってどういうことですか?
筆者:このデータから言えそうなことはつまり、東京では「一部のお金持ちがいる」というだけでほとんどの「地方からお金目当てで集まってきている人達というのはかなり貧困」であることが分かります。
当たり前ですが、最低賃金も高いのですが出費する金額も少し地方より物価が高いために少しずつ高くなります。そのことが徐々に影響していくのでしょう。
この後のデータでは通勤のための費用は1時間辺り全国最高金額を要しており、これは路線網が入り組んでいることから乗り換え回数が多いと通勤のための金額は増えます。
また、1㎡当たりの家賃は東京都は全国平均の2倍以上で圧倒的にトップ。平均可処分時間は全国45位とあらゆるデータにおいて悲惨です。
こうした、使える金額が少ない、自由時間が少ない事というのは合計特殊出生率にも反映されており、
2019年都道府県別の合計特殊出生率は1.15と全国最低レベルになっています。
質問者:なるほど……。
筆者:このように、色々な要因が絡んではいるのですが結果的に見ると、
『民営化の流れが東京1極集中に繋がり、そして日本人は自由に使えるお金や時間が少なくなる』
ということが見えてくると思います。
正直な話、これらのことは民営化が進んでいなければ、ある程度は防げていた流れです。
「自分の地域が不便だから東京に出たい」という若者は減ったでしょう。
少なくともこのような「東京の惨状」というのはもっと知られて良いと思います。
そして可処分所得が東京よりマシな地域もJRや郵便局などの更なるサービス低下は避けられません。
いずれにせよ、民営化という国策の誤りが日本人全体を貧困化、経済成長の停滞を招いていることは明らかです。
最低でも廃止になりかけているJRや地方の郵便局については再公営化を図る必要があると思います。
質問者:なるほど、1側面だけ見ても見えてこないことが複数の側面を見ていくことで全体像が分かってくるのですね……。
筆者:僕はしかも、とんでもないところからデータを引っ張ってきているわけでも無く、
報道機関や国のデータを見ていますから、単純に浸透していないことと1つ1つを見ていると大したこと無いように見える又は仕方の無いように見えることが原因だと思います。
つまりは、マスコミの報道姿勢に問題があります。
今後行われそうなことは、水道の自由化です。
これは都道府県のサービスですからお住まいの地域次第のことではあるのですが、すでに宮城県から始まっています。
宮城県においては議会の可決を経てから水道民営化がなされたので、それを推進する議員や知事は投票しないことをお勧めします。
また、民営化というのは単なるサービスの低下という如実に表れることだけではなく、
海外資本に日本のインフラを抑えられてしまうリスクも付きまといます。
実際に、宮城の運営会社はフランス外資が運営しておりそれは既に始まっています。
質問者:民営化と聞くと世間では「コストをカットし財政健全化のために良い」みたいな風潮がありますけど、こんなにも弊害が大きいのですね。
筆者:これも完全にマスコミのミスリードですよ。
国民は正直言って無知であることを良いことにほとんど馬鹿にされているのです。
元々、長期的には採算が合わないのは分かっているんで、サービスの低下は利益のためには必然です。
どこに住んでいようが悪政の影響はいずれ火の粉となって自分の身に降りかかってきます。
決して他人事とは思わずにしっかり調べることが国民にとっても大事なことだと思っています。
次に、日本にとっては少なくとも間違った環境問題への取り組みやエネルギー資源への対応について話していこうと思います。




