豚バラ肉
約400字の短編小説です。
よろしくお願いいたします。
優しいのに。
担任が変わるのが怖いのだ。クラス替えの無い、各学年一クラスのみの外国語科。
「ホントウザいよね」
「分かる~」
新しい担任はウザい。そんな空気に流され、何とも思っていない私も口を合わせる。
何が分かるのか。
注意されるようなことをしている方が――。
「来週、劇の道具を教室に運びたくて」
「日曜日だよね。開けておくから持ってきな」
二学期になっても変わらない。
そんな折りの会話を、私は数年経った今思い出した。
「過度な疲労と、ストレスです。ご家族の方で、何かケアはなさっていましたか」
「あ、えと」
親が、倒れた。
突然だった。
悲しいのに、閃いたのはあの担任だ。
平然と開いていたから二度目は頼まなくても開いているものだと、思い込んだ。果たして、校門は閉まっていて。
「分担してる、つもりだったんだけどな」
見えない所で、沢山頑張ってくれていたのだ。
あるいは、周りが見ようとしていなかっただけだったのかもしれなかった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。