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入学式

順番はあまり考えてませんが、なんとなくそれっぽく書いてみてます。

「おはようございます」「おはよう」「これからよろしく」「おはようです」

それぞれが朝の挨拶をしている。

造花に彩られた入学式という看板が校門に立て掛けられ、隣に教師や在校生とおもわれる生徒が立ちながら挨拶をしている。

それに対して、返事をしたりしなかったりとバラバラな新入生たち。その中の一人が僕だ。

稲富高校に今日から通い始めることになる。

松岡優人、16歳、男、水瓶座。

勉強も運動も性格も交遊関係も、見事に可もなく不可もなく。家から電車を使って40分の距離のこの高校。県内のレベルとして平均点。よくいえば文武両道、あえていうなら自由な学校、言い方変えると至って普通。

完全に僕向きの可もなく不可もなく。だから選んだといえば聞こえは良いが、一番の理由は成績がここより上は危なかったから。…高校は行っときたいもん。

地元から微妙に距離があり、校風もろもろの影響で中学の同級生は一人もいないということを知ったのは合格発表の日だった。

受験の日、最寄り駅に集合して教師の引率があり高校へ受けにいくという友人たちが多い中、僕は現地集合現地解散。…変だと思ったよ。

合格発表の日、中学の担任に報告に行ったときに、受けたのも一人だと知った。

「うちの中学からは合格率100%だ、ははは」

担任は嬉そうに笑っていた。…誰も受けないの教えろよ。

「しかし、なんでここ数年うちの中学からは誰も受けてない高校にしたんだ?まあ今後の生徒のために我々としてはありがたいが、クラスのやつとかとあんまりうまくいってなかった、とかじゃないよな?」

担任が少し心配そうに聞いてきたそれは本気の表情で、時と状況によっては頼りになる、そんな表情だ。

「…先生が勧めてきましたよ?」

でもそれは今じゃないし、これからもない。

「ははは…そうだっけ?あれぇ」

…あの野郎、思い出したらイラっとしてきた。

まあいい。これはこれで新鮮な高校生活というのが始まる。知らない人しかいない高校で、新しい友人たちと楽しく面白い高校生活を繰り広げればいいだけだ。そう、知らない人しかいないのだ。高校デビュー、というやつだっ!

しかも近くには中学がある。そこから入学者数は新入生の五割と聞く。つまり知り合いが多数いる人たちの中に、知らない人しかいない僕がいる。

高校デビュー、というやつだっ!そう心で自分に言い聞かせながら、クラス分けの掲示板をみている。

「一緒じゃーん」「あ、別だわ、でもあいついるわ」「えー知ってる人一杯いるし」「ほぼメンツ中学と一緒」「高校きても一緒て」「つまんねー」

…うん、無理だ!僕にはハードルが高すぎる。孤独に負けないようがんばろう。

そう思い、とぼとぼ教室に向かっていると

「君、中学ここの近くじゃないよね?」

「…そうだけど」

振り向きながら答えて振り向く。

「やっぱり!だと思った。どこ中?ちなみに俺は青中ね」

納得といった風の男がそこにいた。うんうん、と頷きながら満足そうにしていた。

「滑中だけど、やっぱって?」

気になったので、聞いてみた。

「あー、滑中か、納得!うん、深く考えないでくれ!」

「いや、気になるから」

正直気にはなるし聞きたい気持ちもあるが、それよりも青中というのが気になった。たしか近くなかったはずで、僕の中学同様、この高校にはそんなにいないはず。

もしかしたら仲間、そんな期待をしてしまっている僕もいた。

「哀愁漂う背中からの、孤独感半端なかったから!」

まじ無理だわ、こいつ。



「それでは各クラスの担任の先生を紹介します」

進行役の教師がマイクを使わずに宣言した。

入学式が終わり、上級生が椅子を片したりしている体育館に残ってその場でドキドキの担任発表。

担任候補が並んでいる中に紅一点の女性がいたのを果たして生徒達の中で何人気づかない振りをしていただろう。いや居まい!やっぱりせっかくなら女性がいいなと思うのが男子ってやつさ。…いや二人居たけどね、女性。女性というか、おb…皆まで言うまい!

つまりは一年間、しかも高校生活最初の担任。不安な高校生活、でもちょっと背伸びをしたいお年頃の男子には刺激のある日常が必要不可欠!そんな時には女教師というのは、なんと素敵な単語なのd「やった」「よかったー」「これから楽しそう」「一組で良かった」「よろしくー」

…儚い夢となりましたとさ。

ふとみると、前のやつの項垂れていた。同じように考えていたのか、首を横に振りながらぼそぼそ何かを言っている。聞き耳を立ててみると、「素敵な単語だったのに」と言っていた。

普段なら危ないやつで関わるのを避けるであろうに、俺も同じことを考えていたこともあり、慰める意味で肩を叩いた。

「「…」」

そいつが驚いた表情で振り向き、目があった。声が出てたことに気付いたのか顔を赤らめながら、小さく頷いた。

僕も小さく頷いた。

見つめ合ったまま数秒、落ち着きを取り戻して冷静になって気付く。こいつ、青中だ。

相手も気付いたのだろう。少し目を見開き、頷いた。

「「…」」

同じクラスだったのか。第一印象は最悪だったが、まあ悪いやつじゃないのかもしれない。そう思ってしまうのは早計だっただろうか。不思議な感覚がしている気がする。似た者同士、類は友を呼ぶといった言葉があるように、考え方が近いと悪い気がしn

「女教師って素敵な単語だよな!」

満面の笑みでやつは言う。…聞くと気持ち悪い。

あ、これ、あれだ。同族嫌悪だ。



「起立」「礼」「着席」

挨拶の一連の流れを担任主導のもと、ガタガタと椅子を動かして行う。入学式が終わり教室に戻って改めて挨拶をして、これからについての説明が始まる。

「君たちは今日から高校生となりこの学校で日々過ごすことになります。義務教育ではなくなり自己責任が生まれます。学生の本分は勉強です。はい、そうですよね?」

「「…」」

教室を見渡し生徒の顔を見て聞いてくる。誰一人返答はしない。そりゃ、勉強が本分は理解してるが、今言う?

「はい、じゃあそういうことなので、明日テストします。範囲は入試レベルなので、安心してください。では、私からは以上。下校時間のチャイムが鳴るまで自習。何かあればご自由にしてください」

「「…」」

全員がえーという表情になっていることにはお構い無く、話を切り上げた上に、ぶん投げたよ。さっさと教卓から離れて隅っこに座ってなんか書き始めたよ?

「「…」」

控え目に周りを見渡すと、全員がキョロキョロしている。話をしていいものか、そもそも…。

「あのー、先生、ちょっといいですか?」

女生徒が手を挙げて担任に質問をした。

「…どうぞ」

今、迷惑そうな表情しなかった?担任、初日でマイナスイメージ全開ですけど~うそー。

「えっと、自己紹介とか、しないんですか?」

「…あーどうぞ」

はい、迷惑そうな表情してます、進行形で!

「あの、えっと、私たちもそうですが、先生も…」

「「…」」

そういえば、誰?左の掌に右手をポンっとついしてしまった。あまりにも自然に喋り終わってるから聞いたつもりでいたよ。周りを見渡すと、同じ手の位置が何人かいた。

…悪くないクラスかもしれない。

「体育館で名乗ったと思うが、聞いてなかったのか?ふぅ、まあいい。担任の尾上だ。物理だ。研究の邪m、集中しているときがあるが、気にするな。以上」

完全に邪魔て思ってるよ。

「あ、よろしくお願いします。先生」

「以上」

「「…」」クラスの心がひとつになった気がした。

「えっとせっかくなので自己紹介でもしよかな、と思います」

少し大きめのぱっちりとした目が特徴的な女子髪は肩までのストレートで、僕の天パとは違いサラサラしてて羨ましいなと考えて見ていると、目が合った。そして微笑みながら「よろしくね」そう言った。だから「よろしく」そう返した。

「「…」」

教室がさっきまでと違う静けさに包まれる。

…あれ、誰に何で何を今言った?

「君、意外とハッキリしてるタイプなのね。俺びっくり。控え目に人見知りでウジウジかと思ってたよ」

前の席に座っている例の青中が失礼な感想を述べた。…が、否定できない上に状況がわからん!

「…はい、よろしくお願いします」

女生徒が顔を赤くしながら最後にそう言い座った。

「あいつ、やるな」「さらっと返事したよ」「意外性ってやつか」「誰だ、あいつ」「むかつく」

最後の人よ、何故だ。

「…自己紹介聞いてなかったろ?」

「ちょっと考え事を…」

「「高校生活楽しみたいです。友達いっぱい作りたいし、それに恋にも興味津々、よろしくね」「よろしく」以上」

「まじか」

「まじだ」

「「…」」

俺のバカ。


歩いて通うこの道を

今日が最初に通うこの道を

これからを思いながら今日という日を

楽しくなること

悲しくなること

悩んでしまうこと

いろいろと思い浮かべながら

入学式という最初の一日を

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