卒業式
初めて始めてみました!
ほのぼのとやっていきます。
読んで、あああの頃はよかったな、と少しでも昔を懐かしむ時があるといいなと思います。
今日から改めて中身を補充していきます。
「おはよう」「おはよ」「うい」「おはー」
それぞれ好き勝手に朝の挨拶をしている。
知ってる程度の顔もあればバカを一緒にした顔もあり、明日からは会わないだろうなと思いに耽って挨拶をしている下駄箱で靴を変えていると
「おはよ」
「おはよう、悟」
「元気そうで何よりだよ、優人」
「ほっとけ」
悟とは高校の一年の時から三年間一緒のクラスで、一番一緒にバカをした友人だ。
「今日で最後か」
校内用の靴に変えて教室に向かいながら悟が窓から校門を見ながらいった。
今日で最後。高校生活最後の日。
「そうだな、今日で卒業だな」
高校生活が今日で終わる。明日からまた別の人生が始まる。高校生活は楽しかった。その理由に隣を歩く友人が関係ないとは言えないが、本人にそれを言うのはやはり恥ずかしいから、言わなくても良いことは言わない。でも、とそう考えていると
「独り身、最後の…」
こっちを見ながら、それはもうニヤケながら、嬉しそうに、それはそれは楽しそうに口にした。
「「…」」
沈黙が訪れる。
「…」
「…」沈黙がおとz、
「いや、え、、言うよね、今日こそは、というか今日逃すとダメじゃね?」
悟が焦っている。焦りながら、言ってきた。
「ノーコメントで」
「…お前、まじか」
悟が呆れている。開いた口が閉じられないのを実践中。
「そういわれても、ほら、さ、いろいろあんじゃん!」
「いろいろって?」
真顔で当たり前のように質問をされてしまった。答えなければならないだろうか。思案中の顔をしながら、顎に手をつけて、さすさすしていると
「言わないって本気か?」「あいつダメすぎね?」「え、なになに?うそーかわいそう」「相手にむしろ失礼」「チキンだ、チキン」「しょぼ」
その他大勢の知ってる顔だけじゃなく、誰?という方々にまでボロクソに言われている俺って。
「…」
「…少しだけなら同情はしてやる」
悟に肩に手を乗せて慰められた。
「お前が悪いよね!」
「優人がチキンなのが悪いから!」
「…はい」なんもいえねぇ。
「優人君、悟君、おはよう。どうしたの?鶏のごはんはおいしいよね」
明るく元気な可愛い可愛い可愛い声と若干ズレた内容を話す声がした。
「…おはよう」
「おはよう、雫ちゃん。朝から元気で変わらずの良いズレ具合で、ピッタシ!ね、優人君!」
「んー?ズレ具合?ピッタシ?バカにされてる?優人君?」
首を傾けて疑問を口にしている雫。
「ズレてはいるけど、バカにはしてないから、気にするな」
事実を告げてあげる。
「ズレてる?のは気になるし、バカにしてるよね!あとピッタシってなに?」
「…さあ、今日一日がんばろー」
「ちょっと、待って!話がまだ…」
足早にその場から逃げる俺。隣にはまったく同じ速度でこっちを見ながらニヤケながら口を押さえながら悟が並走している。
「気持ち悪っ!この並走やめろっ!いや、本当に気持ち悪っ!」
「ふふふふふ…」
教室に着くまで続くのだった。
そして教室までの間も
「あれ、どうなの」「いやもう名物というか」「まああの二人なら」「チキン」「逆に腹立つ」「不幸になれ」
などなど。…誰だよ、お前ら。
「卒業生代表挨拶」
司会進行役の教師の低め声が静けさの中にある体育館に響く。
ガヤガヤと卒業生達が声を潜めながらの話し声が聞こえてくる。
「代表生 松岡優人」
「はい」
少し間を持って登壇するために席を立ちキュッキュと内履が床を歩くときの音を響かせながら最前列の前を歩く。…そう、歩きながら考える。…代表挨拶、なんで、俺?いや今さらだけど、今更なのはわかっているし、そもそもずっと疑問に想いみんなき聞いて回った結果、優人だし?の一言で全員一致の意見って…わからん。
「「…。」」
真面目な顔で歩く俺を目で追う卒業生達…自分達の代表者を敬う的なのではなく、何かを求めている目で口許の笑いをこらえているのがわかってしまう卒業生達、というか悟!目配せで、やらかしを期待してます感を出すな!
「…。」
雫さん、そんなにキラキラした目で見ないで。…本当にごめんなさい。
卒業式が終わったあとの教室での寄せ書き、写真撮影、ダラダラとおしゃべりタイム。各々が好きに過ごす、高校生活最後の時間。話し声を耳にしながら窓辺で外を眺めながら黄昏ていると「つまらん」と話しかけられるが、無視をする!
「無視はいかん!」
「心の声を読まないでもらえます?」
悟に不満を言いつつ諦めた声で返事をする。
「いやなんのための、代表になったと思うよ?優人が代表になった意味!」
「しらんわ!いやむしろ知りたい!なんでっ?!」
「告白?」
…惚けた顔して何を言うとる?
「…全員(二人除く)の総意を代弁しただけよ?」
そう言われて周りをみて、後悔…みんなの目が怖い。
「…いや、無理だって、さすがに、あの場でh」
「つまり場が違えばってことだね?」「はい、言質とったー」「みんな聞いたかー」「やっと決めたか」「本当にやっとだよ」「周りの迷惑考えろよな」「…シネバイイノニ」
最後の誰だ!
「俺にも俺のペースというk」
「優人。真剣な話、このままでいいと思うのか?進学先たしか違うよな?今までみたいにすぐに会える訳じゃなくないんだぞ?今日で毎日会う、ってのが終わりなんだぞ?いいのか、それで?本気でいいのか?」
悟の表情がいつになく真剣に見えた。普段のふざけた感じではなく友人を心配してくれている、そう思えてしますぐらい。
「悟」
付き合いは3年にも満たないが、ここまで親しくなる友人はこれから出てくるだろうか。気が合う、それだけの言葉で片すことができない友を持ったと恥ずかしながら思ってしまった。
「優人、お前が真面目に、友達のままがいいな、と言われて、えー?ってなるのを俺は見たい!!!」
「台無しだよ!?」
きょとんとした表情の悟君…むかつく。
「なんの話してるのー?」
…ここでくるか、雫さん。さすがだよ。
「ナイショ♪」
「えぇーいじわるー教えてよー」
「僕たち二人の秘密だから、雫ちゃんにも言えないぜ!」
「もう、本当に二人は仲良しさんだよねー」
「相思相愛だからね、内緒だよ?」
「うん、ナイショ♪」
「「えへへ」」
…この二人の掛け合いって。
「そういえば優人君もこの後のお別れ会参加だよね?楽しみだねー」
「「あ」」
ん?悟だけではない複数の声が被って聞こえたぞ?
「雫、お別れ会って?」
「え?このあとクラスみんなでカラオケ行くんでしょ?」
きょとんと小首を傾げる雫さん、可愛い。ではないっ!
「悟、どういうことだ?」
「あー、いや、ほら、さー」
目が泳ぐとはこの事か、的な悟君。まじで一回絞めようかな。
「優人君行かないの?」
「いやカラオケには行くのは知っている」
そう、カラオケには行くのは前々から決まっていた。ただし男のみだったはず。だから悟以外の男子を見ていると、誰も目を合わせないし、逸らされた。
「「…」」
女子もグルかっ!
「良かったー優人君いないんじゃつまんないもん。楽しもうね」
「あー、うん。そうね」
「「…チっ」」
俺は悪くないよねっ!?
歩いて通ったこの道を
今日を最後に通うこの道を
これまでを思い出しながらこの道を
三年間を懐かしみながら今日という日を
楽しかった日々
悲しかった日々
悩んだ日々
いろいろと振り返りながら
卒業式という最後の一日を過ごす