たった一人の伏兵作戦
猫目丸出陣です
宿に戻った猫目丸は二人をを訪ね何も言わずに抱きしめる
いきなりのそれに戸惑った二人だったが言葉を交わすことなく理解する
目の前の大切な人は自分たちを守るために命を賭けるのだと
二人の乙女は愛する男に祝福を与えるように口付けを交わす
「無事に帰ってきてよね」
「帰ってこなかったら承知しません」
二人は自分の言葉で男を見送る
頷く猫目丸は宿を出ると一陣の風となり町を走り閉ざされた門をすばやく飛び越えると闇の中走り続ける
そしてゴブリンの大群を見つけ出すだが敵は
その数で王を内側に守っており更には攫われてきた女性たちも数多く居りこのままでは彼女たちを人質にと
られかねない猫目丸は歯を食いしばり血の涙を流しながら時を待つ
夜明けが迫る頃ゴブリン達は動き出す大群となって
それに合わせ姿も気配も消した猫目丸も動き出す
大地を朝日が染める頃対峙する冒険者とゴブリン達
冒険者の意識が対峙する目の前のゴブリンに注がれた瞬間ゴブリンキングは強引に意識を自分に向けさせる
自らの作戦がはまり勢いをそがれる冒険者達
「ふふミロお前達の仲間がもうすぐできるぞ」
そう言って笑みを浮かべるゴブリンキングに待ったをかける猫目丸
その動きは昨日とは違い風の如き素早さで気配は空気よりも薄められすぐ後ろに立っていても気付かれない
レベルだった
そして放たれる魔法
「クリスタルプリズン」
慌てて避けるゴブリンキングの前で女性達はその中に保護される
「これで人質は居ない覚悟するがいい」
真後ろから掛けられる声に振り向くとその顔を憤怒に染めた猫目丸が腰の刀を抜き払って立っている
鼻で笑ったゴブリンキングが配下のゴブリン達を一斉に襲い掛からせる
だがその笑みはすぐに消え失せる事になる
猫目丸を包み込んだゴブリン達が一瞬にして弾け飛び残骸すらも残さずに消え失せたのである
「なるほど人間なれどできるようだな」
そう言って舌なめずりをすると異形の大剣を振りかざすと
「いかほどの物か見てやろうあの女達の仲間の様にすぐに倒れるなよ」
下卑た笑みを浮かべ振るわれる剣と群がり押し倒そうとする敵勢を弾き切り捨て歩を進める
ゴブリンキングが背中から聞こえる歓声に振り向くと自分の周りにはあれほどいた配下はわずかに残るだけ
で残りはすべて討伐されていた
その光景にそれまでプリズンの中で諦め力なく横たわり見ていた女性たちが思い願いをその声に籠めて叫ぶ
「私達のそして散って逝ったみんなの仇を討ってお願いします」
女性達の悲痛な願いに奮い立つ冒険者達と王を追い詰めた猫目丸
「さあ欲望に幕を下ろす時が来た覚悟するがいい塵さえ残さず斬捨ててやる」
「侍おやじこっちは気にするな引導を渡してやれ他者を害するしか能のない腐れ野郎にな」
そう言って冒険者たちはゴブリンキングからゴブリン達を切り離す
「私はまだ負けぬあまたの女を犯し欲望を貪るのだ」
執念にも似た勢いで猫目丸に切りつけるゴブリンキングだったが
その時は訪れる猫目丸がわざと見せた隙に乗せられ死の間合いに踏み込むゴブリンキングを待っていたのは
猫目丸が放った無数の剣閃だった欲望の王は文字通り塵さえ残せずに消え去った
残せたのは自らの断末魔の叫びだけだったのである
歓声を上げる冒険者達と保護された女性達ここに幕は下ろされたのであった
初めてのダンジョンアタックです