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蒼き鉄の双撃者(ツインブレイカー)  作者: 西村暗夜
序章 遊撃手と誓約の魔神
2/6

第2節 始まりの刻

晩飯を食べ終え子供たちを寝かし付けた後、ディード、ガイ、フランはリビングで夜の会話を楽しんでいた。

「そしたらさ、大司教ってば、「貴君らが本当に遊撃手になりたいのならばこの程度の試練、楽勝であろう」とか言ってアンデットの群れと戦わせて来たんだよ、ほんと酷いと思わない?」

ディードがくたびれたように言うと、隣でガイがうんうんと頷いていた。

「あはは、災難だったね…」

フランが苦笑しながら言う。

そんな風に3人が駄弁っていると、窓がガタガタと揺れだした。

「「「?」」」

3人が何事かと首を傾げていると、窓の揺れは次第に大きくなっていき、やがてが食器棚やテーブルなどを揺らすほどの揺れへと変わった。

「これ、不味くない?」

ディードが顔をひきつらせてガイに向けて言う。

「ああ、かなり不味い…」

同じく顔をひきつらせてガイが言うと、フランが怯えた表情をしながら窓の外を指差して言った。

「あれ、なに?」

フランの言葉につられてディードとガイが窓の外を見る。

窓の外に見えるのはこの寮の庭にあたる所で、広さは少し小さい公園程度の物だ。

その庭のちょうど真ん中辺りに、人が一人入れる位の幅の光の柱が作られていた。

その柱は徐々に小さくなっていき、中から一人の少女が傷だらけで跪いていた。

柱が完全に消えると共に少女は地面に倒れ込んでしまい、寮を揺らしていた地震は鳴りを潜めた。

「ヤバっ!?」

少女が倒れ込んだのを見るや否や、ディードが窓を開いてそこから飛び降りた。

「おいっ、ディード!」

ガイが窓から体を乗り出してディードへと叫ぶが、ディードはそれを無視して少女の側へと駆け寄る。

「大丈夫か!?」

少女の姿を確認すると、ディードはすぐに違和感を感じた。

その違和感の原因は少女の姿にあった。

衣服はこの世界では考えられない素材で編まれたフードの付いた黒いパーカーに紺色のジーパン。赤い刺青が入った色白の肌。

この世の物とは思えないほどの整った顔立ちなどが、ディードに違和感を与えた。

恐る恐るディードが少女の体を揺さぶると、少女は瞼をピクピクとさせたあと、眼を開いた。

「…!?触れるな!」

少女は体に触れていたディードの手を払い飛び起きた後、格闘の構えを取ってディードを威嚇し始めた。

「あ、触られるの嫌だった?ごめんね?」

ディードが穏やかな声で少女に聞くが、少女に許す気はないらしく、構えを解くことは無かった。

「貴様に問おう。何故に我が身に触れていた?」

少女の言葉は明らかに怒りが含まれており、いつディードに飛びかかってもおかしくはないだろう。

「君が、倒れていたから、安否確認のため、に…」

ディードは少女を刺激しないように、言葉を選びながら理由を話す。

少女は一度首を傾げ、ディードの目を見つめた後、納得したように頷いた。

「ふむ、嘘では無いようだな。これは失礼をしたな」

そう言うと少女は頭をペコリと下げた。

「別にそれはいいんだけど…。体、大丈夫?」

「へ?」

ディードが心底心配そうに聞くと、少女は一度首を傾げたあと、糸が切れたように崩れ落ちた。

「…って、大丈夫!?」

ディードが少女の体を支えるのと同時に、ディードの名を呼ぶ声が二人分聞こえた。

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