表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
復讐の黒猫達は暗闇に笑う  作者: 本山修一
case13 超大物からのミッション
594/677

#15

あけましておめでとうございます。今年も良い1年になりますように頑張っていきますので応援をお願いします。

 透からお説教が終わって30分後に別の人間が正しい方の映像資料を持って来た。

「それじゃあ早速ケース13の映像を見ましょうか」

 透の言葉を合図に全員で鑑賞に入る。まずは先程持って来たケース13の映像を見る。映像は会場に設置された監視カメラを6つに分けて映し出されており、画面の右下にはタイムコードが表示されている。

「うわぁ・・・・これまた目が痛くなりそうだな」

 圭が画面を見るなり思わず声を出す。

「文句を言ってもしょうがないでしょう」

「はぁ・・・」

 圭は渋々画面を見る。しかし、元来こういう証拠集めをしてこなかった彼には集中力が長続きするはずがなかった。

「ヤバい・・・眠くなってきた」

「余計な事を言うのなら黙ってくれる」

 悠は圭に黙れたと冷たく言う。しかし、圭の言う通りで普通の人であれば画面を3分じっと見ただけで目が痛くなりそうな物だ。しかし、それでも悠と透はまばたきを一切せずにじっと画面を睨んでいる。

「止めて咲!!」

 突然、悠が映像を止めろと叫んだの咲は映像を一時停止させた。

「映像を30秒巻き戻して」

 悠は映像を30秒だけ巻き戻するように咲に指示をする咲は言われた通りに巻き戻す。

「皆右上の映像をよく見ておいて・・・・」

 悠は3人に右上に映っているカメラの映像をよく見るように指示を出す。この右上に映し出されているのは会場のフロント近くに設置してあるカメラの映像である。

 再び映像が動き出したすぐに悠が映像を止めさせた。

「咲・・・この部分だけ拡大する事は出来る?」

「少しだけ待ってくれる?」

「良いわよ」

 咲は悠に言われた部分を拡大する為に作業に取り掛かる。

「私にはあそこに映っている配達員の男性はヤマトさんに見えるの」

 悠が拡大した場面は配達員と思われる男性がフロントの職員に荷物を渡そうとしている場面であった。彼女が言うにはその配達員がヤマトではないかというのである。普通に考えればあり得ない話である。何故なら彼はこの時刻にこの場所に到着しておらず別の場所の警備に駆り出されていたのである。もし、ここに彼が映っていたとなれば報告書に書かれていた事は嘘という事になる。

「準備出来たよ」

 咲は先程の映像を拡大した物を画面に映す。拡大やカメラの性能で映像が荒くなってしまう所だがそこは咲の力で修正を行っている。

「これ・・・ヤマトさんでしょう?」

 悠は他の3人に意見を尋ねる。確かに深く帽子を被っているが後ろからはみ出た金髪に東洋人風の顔・・・彼らがここ数日で接したヤマトにそっくりな人物であった。

「ああ・・・間違いないな」

「どうして彼がこんな所に?しかもこんな格好で?」

「詳しい理由は今は分からないけれど、あの荷物って例のワインが入っていた物に似ているのよね」

 悠の指摘通りヤマトが手渡している箱は防腐剤が多量に含まれていたワインが入っていた箱と同じであった。

「アイツがあのワインを会場に持ち込んだってことか・・・」

「そこまでは分からないけれど・・・とりあえずさっき持って来た正しい映像というのを見てみましょう」

 今度は持って来たテープのケース13の映像を見る。先程の件があるので全員が注目して見ているのは右上の映像だけである。注目していた3人の目に映った予想もしていない物だった。

「全然出てこないわね。最初のと同じタイムコードでも姿は無かった・・・というより別の物に差し替えてるわね」

「他の場所に映ってるとかは?」

「私が一応別の場所を見ていたけれど・・・どこにも無かったわ」

「これでどうかしら九十九君・・・」

 悠は圭に尋ねる。すると彼は厳しい表情で答える。

「この事件・・・・警備部の中に内通者がいる」







「とりあえずヤマトさんが何らかの形で関わっているという見方は間違いないでしょうね・・・」

「ここからどうするの?」

「1番効率が良いのはヤマトさんの口を割らせる事だけれど・・・・」

 透はヤマトから証言を得るのが1番良い方法だと答えるが、何故かこの作戦に踏み切れない感じであった。

「九十九君との関係が絶賛不仲ですものね。こういう時にしか貴方のペテン師は役に立たないのに・・・役立たずっていうのはこういう時に使うのね・・・勉強になるわ」

「余計な言葉が多いんだよお前は・・・」

 本当なら悠に掴み掛る所だが透が咳払いをしたので未遂に終わった。

「ヤマトさんの方は私が探ってみるわ。圭は他の警備部の人への証言を集めて」

「分かった」

「大丈夫透・・・」

「何とかするわ・・・どうしてもダメな時は圭を使うけど・・・」

 透はもし自分では無理だと思った時は圭の力を借りると答えた。

「私は大丈夫と思うけれど・・・彼は正直九十九君レベルの頭だから大丈夫よ」

「それで俺を馬鹿にしてるのか?」

 圭はまた悠が自分を馬鹿にするような発言をするので噛みつく。

「どうかしら・・・私はヤマトさんが脳筋ですぐにカッと感情コントロールが出来ない単細胞だと思ってるだけよ」

「それのどこかが俺と一緒なんだよ?俺はもっと理知的だぞ!!」

「聞き間違えかしら?九十九君に似合わない言葉が聞こえたのだけど?」

「私も圭は理知的より直感的って感じだけれど・・・・」

「ごめん・・・圭ちゃん・・・私も2人と同じ」

「うっ・・・お前ら」

 流石に咲にまで否定されて圭は返す言葉がなかった。









「私に聞きたい事ですか?」

「すいません。2度も来てしまってお忙しい所で申し訳ないです」

 捜査3日目。圭は再びミルコの元を訪れた。ちなみに今回は事前に透から質問する内容は決められており、それ以外の内容を聞くのは極力しないように忠告を受けた。

「昨日は済まなかったね。こちらの手違いで迷惑をかけてしまって」

「いいえ、間違った情報を掴まされたら解決する物も解決しませんから」

 圭は笑顔で答えながらも両方の映像を見ている今では愛想笑いでしかない。

「今日は仲間が映像を見た上で気になった所があったのでそれを質問しに来ました」

「なるほど・・・・何でも聞いてくれて構わないですよ」

「まず、ミルコさんから見てこれまでの襲撃を許した原因は分かりますか?」

「前に同じような事を聞かなかったかな?」

 圭の質問を聞いたミルコは表情が少し曇った。ちなみにこの質問は透の考えた内容ではない。

「確かに同じような質問をしました。ただ、今回は気になる点ではなく。ミルコさんから見た原因は何かという事です」

「正直に言って分からない。我々も過去を検証して警備対策をしています。どんな時でも完璧な警備体制を敷いていると自負しています」

「では、何故突破されているのでしょうか?」

「分かれば苦労しません・・・私達で解決するなら君達の手を借りる事も無いとは思わないかい?」

「確かにそうですね・・・・でも、検証とかしているんですよ」

「勿論・・・だが、それでも私がどれだけ考えてもどこに落ち度があったかまったく分からない・・・」

「そうですか・・・・」

 ミルコは本当に原因が分からないようで苦しい表情で黙る。

「では、僕達から少しヒントを差し上げます・・・20件のケースの内1つだけ他のと違う経緯の物があります・・・・どれか分かりますか?」

「ケース13ですか?」

 ミルコ達もケース13が他の事件とは違というのは察しているようである。

「こちらのケースは突発的に決まった物で皆さんも警備準備にはかなり大変だったのではないですか?」

「はい・・・時間も人も足りなかったのは事実です。それに私達は現地に入れたのは前日でそれまでの準備は現地の者達に任せていました」

「しかもこの時は妨害もかなり悪質な物でしたよね?下手をすれば死人が出てもおかしくなかったですし」

「ええ・・・」

「ただ、その妨害に使われた物が会場に持ち込まれた方法も正直に言って稚拙だなとは思いませんか?もし、ホテルのちゃんとしたソムリエが相手していれば会場に持ち込まれる事はなかったと思いますせんか?」

「そう言われればそうですね・・・」

 ミルコは圭の言葉に納得するような素振りを見せる。彼の様子を圭は何も言わずに見ていた。

「これまでの綿密に練られた物と違って随分と強引なやり方です。おそらく、犯人サイドも準備不足だったのではと考えられます・・・しかし、ここで1つ疑問が生まれます」

「何ですか?」

「犯人サイドはどこでこの情報を手に入れたのかという事です」




次回の投稿は1月15日を予定しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ