#132
「オッス」
翌日、圭が帰宅すると既に透が部屋に居た。圭は久しぶりの対面に声をかける。
「早く着替えてきなさい。こっちは日帰りで来てるのよ」
透は圭の挨拶に対して冷静に対応し、彼に対して早く着替えて来るよう指示をする。相変わらずの素っ気無い態度に圭は何言い返してやりたいと思ったが、ここで変に突っ掛かると面倒なので黙って着替えて2人の前にある椅子に座った。
「揃ったわね。まずは若葉が編集してくれた映像証拠を見てもらうわね」
透は早速、若葉に編集してもらった映像をパソコンの画面に映す。
映像は全編1時間程で内容は5つに分かれていた。1つ目は研究室で薬品を製作している所である。これがおそらく生物兵器に作用させる物だろう。
2つ目は会議の様子であった。議長席に居るのは宇佐美で彼の横で1人の研究員がプロジェクターを使用して説明している。説明の内容は生物兵器開発の目的と最終目標である。彼らの最終目標として知性を持った生物兵器を開発を成功させ国、民間果てはテロ組織など関係無く供給する事であった。
3つ目の映像は動物実験であった。ネズミを使用しての投与実験の映像である。そこでは合計で5匹のネズミに薬品を投与していたが、すべてネズミが投与後激しくのたうち回りそのまま絶命した。
4つ目は先程と同じく動物実験の様子であった。今度の被験対象は檻の中にいる猿であった。かなり上手く調教したのだろうか一切檻の中で暴れること無く静かにしている。そんな猿に1人の研究員が注射器を持っている。しかし、手が震えておりなかなか投与出来ないでいた。最終的にその研究員は注射器を床に落として「自分には出来ません」と懇願していたが、それに対して別の研究員が胸ぐらを掴んで殴り飛ばした。殴り飛ばした研究員は「貴様のような臆病者は必要ない」と発して落ちていた注射器を拾い上げ猿に投与しようとする。ちなみにこの殴り飛ばした男は画面が粗いので顔ははっきりと分から無いが声には聞き覚えがある。声の主は人体部門の責任者であった石上である。石上が薬品を投与しようとする中殴り飛ばされた男性研究員は必死に止めるように叫んだが、周りに居た研究員達に無理矢理黙らされた。そして薬品を投与すると3つ目の映像と同じようにのたうち回り暴れた後に気を失った。その後、別の研究員が倒れている猿に近づいて状態を調べた後に実験は成功と告げて次の段階に進むと発した所で映像は終了した。
最後の映像は衝撃的な内容であった。冒頭、そこには柱に張り付けにさせられた男性が映し出されていた。縛りつけにさせられた男性は必死に脱出しようともがいているが外れない。ちなみにこの映像だけは音声がまったく入っておらず、おそらく必死に叫んでいると思わるが何も聞こえない。その後、どこからともなく2足歩行で近づいて来る存在がいた。何故このような表現になるかといえば、その存在の異様さであった。身長は2メートルあり、体のいたる所から何か飛び出しているような物が複数見える。映像が粗いので何かは分から無いが、普通の人間の体にそんな物は存在しない。そして、特に3人が異様に感じた部分は右腕である。左腕よりひと回り大きく、さらに手から伸びている爪はまるでまるで刀とでも言わんくらいに伸びていた。全体を見るとその姿は某サバイバルホラーゲームのボスがそのまま画面から飛び出て来たと言っても通じるレベルである。その生物は縛りつけられている男性にゆっくり近づいて行く、男は必死に逃げようと抵抗するがすべて無駄であった。その後、近づいた生物は男の前で足を止めた。そして、右手で男の画面を貫いた。悠達のような人間でも目を覆いたくなるような残酷な物であった。
「これで映像は終わりよ。各々言いたい事はあると思うけど、これではっきりとした宇佐美をこのまま野放しにするような真似はは絶対に出来ないわ!!」
透の言葉に2人も頷く、この5つ映像だけでも3人の怒りを買うのに充分であった。この映像の中で行っている事は彼らが最も忌み嫌う事の1つである。『命を粗末に扱う行為』であるからである。他人の命を奪う仕事柄上命の重さに対して強く感じている。
「ええ、この映像はおそらく研究課程のごく一部でしょうね。おそらく、本当はもっと多くの命を弄ぶ行為が行われているのでしょうね・・・・考えるだけでも吐き気がするわ」
いつも冷静な悠の口調も厳しく、表情を怒りに満ちている。
「同感だ。こんなクズ野郎さっさと懲らしめて二宮先生と若葉を助けてやらないとな!!」
「そうね・・・そうなると善は急げね。今週中にはケリを付けないとね」
「なら、金曜日でどうかしら?」
悠は今週中に制裁をしたいという透に対して金曜日はどうかと提案した。
「宇佐美は金曜日の17時以降は予定を入れないようにしているの、だからこの時間以降では会社に不在という事はない」
「分かった・・・決行は金曜日。つまり、明後日って事になるわ。カードの方は私の方で用意しておくから2人は・・・・」
「ちょい待ち」
透は決行日を決めた上で犯行声明などのカードは自分が用意すると告げた上で2人に指示を出そうとした所で圭が止める。
「どうしたの?何か良い忘れた事でも」
「その・・・・持って来て欲しい物があるんだけど?」
次回の投稿はGW明け5月10日を予定しています




