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復讐の黒猫達は暗闇に笑う  作者: 本山修一
case5 偽りの仮面女優
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#55

「これで満足か?俺達の知っている事はこれだけだ」

 川島は自分達が知っているのはここまであると告げて透の追求から逃がしてくれるように頼んでいた。

「まだ終わりじゃないわ。さっき貴方が名前を出した城というのはこの間殺された飯島城いいじまじょうさんの事じゃないのかしら?」

「ああ・・・そうだ。あの男も俺達と同じで玲子とは孤児院の頃からの付き合いだ。以前までは俺達と同じようにアイツの命令で色々と手を染めていた。だが、ある時からアイツや俺達の連絡を一切取らなくなったんだ」

「どうして連絡を取ら無くなったの?」

「さあな・・・そこまでは俺達も知らねぇよ。それでその数日後にあんな目にあったって訳だ」

 川島は飯島という男と自分達や玲子との関係を話した。そして、彼がある時から自分達や玲子にまったく連絡を取ら無くなった事は知っているがその理由は分から無いと告げた。

「彼を始末した人間の事は知ってるかしら?」

「詳しくは知らねぇが・・・野川って名前だ」

 川島はおそらく彼を始末したのは野川という男であると透に告げたが、自分が知っているのはここまでで詳しい事は知ら無いと言った。

「分かりました。後は自由にしても構わないわ。さっさとこの場から消えなさい!!」

 透はそう告げると川島は一目散で逃げて行った。彼女に対する恐怖からか川島は仲間の東を放っておいて逃げてしまった。

「まあ、それなりに収穫があったわね」

 透はポケットから一瞬ある物を見せたそれは彼らにバレないように密かに録音していたICレコーダーである。









 事務所に帰った透は圭が帰って来るを待って今日の彼らの証言を録音していた物を3人に聞かせた。

「良い収穫になったわね。これで私達の依頼に関する証拠が手に入ったわね」

「そうね・・・この証言だけで今回の依頼に関する証拠には十分な物ね。だけど・・・」

 透は今回の川島の証言で自分達の依頼である小倉香織を襲った犯人が姫川玲子どうかそれを確かめるのが今回の彼らの依頼である。しかし、透はそれだけでは満足していない人物がいるのではないかと思っていた。

「これだけじゃあ満足いかねぇ・・・明日香を襲った罪も認めさせてそれと・・・」

「今までの罪の謝罪と仲間であるはずだった飯島城を殺した人物と罪を認めさせること・・・それを確かめないとこの依頼は終われないわ」

 圭と悠はこの証言では満足いかず、明日香への謝罪とこれまでの罪の謝罪と飯島城を殺した人物とその理由を見つけないとこの依頼は終われないと言い張った。

「私も同じ・・・このままだと明日香さんが可哀想だよ。このままじゃあ終われないよ!!」

 咲も2人と同様にこのまま終わらせる訳にはいかないと意気込んでいるようだ。

「ええ・・・私もこのまま結論を出すのは望ましくないと思う。多くの人の夢や希望を奪った罪はとても大きいわ。彼女にはその罪を償ってもらわないといけない・・・・そう思うの」

 透は3人の意見を聞いた上で自分の素直な意見を述べた。普段であれば川島の証言だけで十分と言ってしまう所だが、今回は違った。彼女の心境の変化にもやはり明日香の一件が大きく絡んでいるのかもしれない。

「じゃあ次はその野川という人間が狙いか・・・・」

「あの男の言い方からして彼らとは接点は殆ど無いと考えて良いでしょうね。また、1人の人間を殺して自殺に見せかけている点からして相当危ない相手だと考えて間違いないでしょうね」

 透が言うようにこの野川という男は彼女が会っていた川島や東とは違う。彼らはあくまで嫌がらせや凶器の準備程度であり直接殺しに関わった事は無かった。しかし、この野川は川島の証言からして少なくとも飯島城の殺人に大きく関わっており、殺害及び死体遺棄のすべてを行った張本人なのである。しかも、これがこの1件だけの話ではなく以前にも同じことをやっているのであればさらに危険度は増大する。

「どこに居るかが分かったとしても流石に今度は透1人だけという訳にはいかないだろうな」

 圭は流石にこのレベルの相手を透1人だけで行くのは危険だと3人に提案した。

「なら、私が行くわ」

「悠ちゃん!!」

「それなら問題無いでしょう九十九君?透?」

 悠は自分が付いて行くのであれば問題は無いだろうと静かに告げて2人に意見を聞いた。

「私は問題無いわ。それに貴方がいてくれれば心強いわ」

「お前がいれば透も心置きなく尋問を出来るからな。ただ・・・危ない真似だけはするなよ」

「分かってるわよ」

 悠は目を閉じて静かに答えた。その表情に余裕が伺える。

「咲は彼女の携帯のデータから野川という男の名前を探して頂戴」

「了解!!すぐに見つけるからね」

 咲は大きな声で返事をした。4人は最後の一手をつめべく最後の情報収集を行うべく気合を高めていたが、突然悠が口を開いた。

「ちょっと良いかしら?」

「なに?」

「明日の朝は少し出かけてくるから。悪いけど野川の下に行くのは午後からにしといて」

 悠は明日の朝は自分に用事があるので野川と連絡が付いて会いに行くとしても午後からにして欲しいという願いであった。

「別に問題無いわ」

「ありがとう」

 透は悠の希望を素直に受け入れた。悠は自分の希望を快く引き受けてくれた透に感謝の言葉を伝えた。

「明日の朝どっか行くのか?お前はいつも何も無いから暇じゃないのか?」

 圭は悠などは自分とは違って特にやっている事が無いので暇なのではないのかと思っているようだ。

「貴方には言う必要は無いわ。九十九君は黙って自分の仕事だけしておきなさい」

「ヘイヘイ」

 悠は圭の質問に対して冷めた態度で回答した。それを聞いた圭も特に態度を怒ることも無く答えた。


















「七宮悠・・・いったい何をしに来たの?」

 次の日の朝、悠が向かったのは間宮明日香が入院をしている病院である堤診療内科に来ていた。佑香自身も悠が来た事に驚いていた。それもそのはずである以前に透が自分達は彼女の下へ来ないと行って治療や看病を彼女に丸投げ状態にしていたからである。

「突然の訪問は申し訳ありません。堤先生・・・・明日香さんは今起きていますか?」

「ああ・・・さっきご飯を食べたから今は本も読んでいるよ」

「本ですか・・・・」

「何もする事がないだろうから私の家にある本を貸してあげているんだよ」

「そうなんですか・・・・」

「ところで君の目的は?」

 佑香はようやく悠がここのやって来た理由について尋ねた。

「彼女のお見舞い・・・と言えば分かってくれますか?」

「来ないんじゃなかったのかい?」

「それはあくまで透の私見です。私は彼女の意見に賛成したなんて言ってませんから」

「知ら無いよ後でどうなっても・・・」

「余計な心配です」

「分かった・・・案内するから少しだけ待っておいて」

 悠は佑香に案内されて診察室のある廊下を過ぎて1つの部屋前に案内された。佑香はその部屋のドアを軽くノックした。

「明日香さん。ちょっといいかしら?」

 佑香の言葉の後に内側からドアを軽くノックする音が2回聞こえた。これはしゃべる事の出来ない明日香の為に佑香が提案した応対方法である。OKの時は2回、ダメな時は1回叩くようにしよう決めたのである。先程は2回叩いたのでOKというサインである。

「実は貴方に面会したいという人が居るのだけど・・・・大丈夫かしら?」

 数分の沈黙の後、閉めきられていたドアがゆっくり開いて行くそして半分くらい開いた所で止まり明日香がそっと顔を出して外の様子を伺った。

「お久しぶりです間宮明日香さん」

 明日香は目の前にいる女性の姿を見てすぐさまあの時の光景とやり取りを思い出す。彼女がどんな人物か思い出した瞬間に明日香はドアを勢いよく閉めた。面会謝絶という意味である。

「嫌われるのね・・・貴方」

 佑香は明日香が悠の顔を見るなりドアを閉めたのを見て呟いた。

「明日香さん・・・私は貴方にどうしても伝えたい事があります。だから・・・・この扉を開けて・・・お願い・・・」

 悠は扉に近づき呟いた。彼女がドアに近づいたのも部屋のドアの近くに明日香がいるという可能性があると思ったからである。

「・・・・・」

 明日香は悠の声を聞いて考えていた。彼女を入れるべきかそれとも追い返すべきか1分以上考えた。そして、ようやく答えが出た。重く閉ざされていたドアがゆっくり開いていく、今度は先程までの半分ではなく全部を開けで悠の方を1度見てベットの方に戻って行こうとした。

「ありがとうございます」

 悠は明日香の態度を見て面会許可という結論が出たという事を理解して部屋の中に入って行った。

次回の投稿は7月23日を予定しています

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