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エピローグ

 高橋の一件を終えて、僕はゆったりと日曜日を過ごしている。

 

 すると、エルが声をかけてきた。

「ちょっと、お兄ちゃんいいですかぁ?」

 振り返ると、エルがドアに体を半分隠して、手招きしていた。

 

 その姿は可愛らしく、女神というか天使と言った方が合っているだろう。


 僕は何も言わず、エルへ近づいて行った。

「ん?どうした?」

「そのですねぇ・・・・」

 エルはなぜだかモジモジしている。

「えっとぉ・・・・・私と一曲弾いてほしい曲があるんです・・・・・」

「ああ、そんなことか。別にいいよ」

 僕がそう言った瞬間、エルの顔がパーっと明るくなる。

「で、どんな曲?」

「えっとですねぇ」

 そう言いながら、エルは服のエルの小さな手が、ちょうど入るくらいのポケットに手を突っ込み、中から一冊の本を出していた。

 ってか、どうやってそんな小さなポケットの中に入れたんだ?四次元〇ケットか!

「これです!」

 エルが差しだしてき本を開けると、それは楽譜だった。

「んー・・・・・ちょっと難しいな。三十分練習させてくれ」

「えっ、たった三十分でですかぁ?」

「うん」

「私、改めてお兄ちゃんのすごさを実感しました」

 何の事だかわからないが、とにかく練習しよう。

「どんなプロでも一週間練習してやっとなのに・・・・・」

「ん?何か言ったか?」

 エルの声が小さすぎて聞き取れなかった。




 三十分後・・・・・。

「うん、僕も慣れてきたからそろそろ合わせようか?」

「はい!」

 元気な声で返事をしたエルは、右手を上にあげた。

 そう、それは初めて僕がフレアと演奏した時に、フレアが楽器を出した時のポーズだった。


 エルの周りに小さな光の粒が集まり、エルの右手に吸い込まれていく。

「ハープ?」 

 エルの出した楽器はハープだった。

「はいっ、では早速演奏しましょう!」

「ああそうだな」

 僕もピアノのイスに座る。



 演奏が始まった瞬間、一瞬で僕は音の世界へと引きずり込まれた。

 一人で練習していた時とは違う。

 ハープのやわらかな音。

 そしてなめらかなピアノのメロディー。

 時には軽快なテンポに。

 それは一つの幸せな物語のような曲だった。


 約十分間の演奏は終わった。

 あっという間の十分だった。

「この曲いい曲だな」

「そうでしょ?」

 エルも嬉しそうな笑みを浮かべている。

「これでお兄ちゃんと私は・・・・・」

 エルが何かを言いかけた時、部屋のドアがガチャっと勢いよく開いた。


「フレア?」

 そこに立っていた人物はフレアだった。

 フレアはなぜかぜーぜー、と息が荒い。

「ご主人様!」

「な、何だ?」

 ものすごいスピードで近づいてきたフレアにちょっとビビってしまう。

「どうしてこの曲をエルちゃんと!?」

「この曲って?ああ、さっき弾いたやつか。あれがどうしたんだ?」

「あれはですね、愛を誓い合った男女が結婚することを約束するときに弾く曲なんですよ!本当は私とご主人様が弾く曲だったのに・・・・・」

 フレアはその場で、力尽きてしまう。

「えっ、そんな曲だったのかエル!?」

「はいっ!」

 エルは元気いっぱいに答える。

「ご主人様は、承諾してないから、今回のはナーシです!」

 必死に訴えかけるフレア。

「でもぉ、ちゃんとお兄ちゃんは承諾したよぉ。『ああ、そんなことか。別にいいよ』って言ってましたよぉ」

「本当ですかご主人様!?」

「・・・・・・・・言ったと思う」

「ガーン!」

 フレアはその場で四つん這いになる。

「だから私とお兄ちゃんは結婚するのでーす!あっこれからはあ兄ちゃんじゃなくて『あなた』だねっ!」

 そう言って、エルは僕に飛びついてくる。

「おい、コラッ」

「エルちゃん離れてー!」

 フレアは飛びついたエルの両足を持って引き離そうとする。

 だが、エルは離さない。


 僕とメイド(と妹?嫁?)の生活はまだまだ続く。

これで、女神メイド2は終わりです。最後まで読んで下さりありがとうございます。

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